Excel 関数とは
Excel 関数のお話の前に、一般的な「関数」の基本的考え方を確認する。
x という値が入力されて、一定の法則・計算により、y という値が出力される場合、その「法則・計算」のことを関数という。
コンピュータサイエンス的に言えば、
Input ⇒ Process ⇒ Output
の Process に該当する。プログラムのようなものと考えて差し支えない。
数学的に言えば、x → 関数 → y 、y が x の関数である条件は、(数学的にはなぜかこう表現する)
① y の値が x によって一つに決まる
② x の値を定義域の中で自由に選べる
という2つの条件がそろったときである。
もう少し噛み砕いていうと、「入力値 x が取り得る範囲から一つ選んで『関数』に放り込むと、決まったルールで出力値 y が得られる」ということ。
統計分析では、x を独立変数、y を従属変数とも呼んだりする。
前置きが長くなったが、「2つの値を合計する」という関数を Excel のスプレッドシート上でどのように記述するかを下記に動画で説明している。
ちなみに、「りんご🍎の個数」と「みかん🍊の個数」が入力値(独立変数)で、「合計値」が出力値(従属変数)となる。
そして、Excel関数はもとより、プログラミングを主体とするコンピュータサイエンス的には、関数に与える入力値(x)は、「引数」と呼ぶことが通常なので、ここではごく簡単に、
インプット = 入力値 = x = 独立変数 = 引数
と、ほんのり理解しておくこととする。
注:厳密には、「引数」は、「パラメータ:parameter」の意味で、関数の外の世界と関数の中とでやり取りする「変数」のこと全般を指す。外の世界から見れば、関数に渡す値であり、関数から見れば、外の世界から与えられる値となる。
Excel 関数的に理解しようとすると、「sum関数」に、りんご3個、みかん2個という引数(入力値)を与えると、5個という合計値を返してくれる、ということになる。
sum 関数の名称は、「sum(和)」「 summation(合計)」からきている。当然、米国マイクロソフトが開発したアプリケーションだから、関数名は英語圏の言葉をもじったものになる。
電卓だとすべての値と計算式を手入力しないといけないし、メモリ機能の使用など特別な所作を施さない限り、一度行った計算は簡単にクリアされる(揮発性があるデータ)。
一方で、Excelは、普通の使い方をすれば計算結果に揮発性はないし、様々な入力方法が用意されているため、使い勝手が大変よくなっている。
スプレッドシート(Excel 画面が表示する格子状のセルの集合体)上で、入力値と関数を記述するだけで、結果が得られるので、複雑なプログラミングも不要である。
いわば、電卓より高機能で、プログラミング(コーディング)より便利なのが、Excel関数を使うことのメリットといえる。
Excel 関数の使い方
一番基本的なのは、自分の手でスプレッドシートに関数を入力していくこと。意識的に Excel 関数を習得しようという意欲をもって、必要に応じて Excel 関数を触っているうちに覚えられる。
次に、スプレッドシートを用いて作業している際に、計算に困ったとか、もっと効率の良い記述方法がないかを思案するときは、画面上部にある「タブ:数式」から、お目当ての関数を探すことも多いかもしれない。
カスタマイズをしていなければ、デフォルトで下記のような関数の分類がリボンに表示されているはず(2020年11月時点のExcel365)
財務 | ローン、利息、NPV、IRR、減価償却 |
論理 | 条件(IF, AND, OR)、論理値(TRUE, FALSE) |
文字列操作 | 検索、置換、抽出、並べ替え、文字列連結 |
日付/時刻 | 年月日・曜日の取得、日数計算、シリアル値 |
検索/行列 | 表の検索(VLOOKUP)、配列、セル参照 |
数学/三角 | 四則演算、値集計、三角関数、指数 |
統計 | 分散、個数カウント、相関、回帰分析 |
エンジニアリング | 単位変換、記数法変換、数値比較 |
キューブ | SQL Server Analysis Services 向け |
情報 | セル、ワークシートの内容、数 |
互換性 | 旧バージョンと互換性のある関数 |
Web | Webサービスからデータ取得(XML) |
タブやリボンといった Excel 画面のパーツや画面構成に関する名称は下記サイトを参考にされるといい。
Excel 関数をセルに手入力するのが基本形だが、
- 数式バーに手入力
- ダイアログボックスから関数を選択
- 関数ライブラリを開いて関数を選択
という Excel ならではの多様なユーザインタフェースが用意されている。自分の好みのものを取捨選択していけばいい。
目的にフィットする Excel 関数の探し方
Excel が用意してくれている関数の内、どの基本機能を使うかを決めるためには、主に次の4つのケースごとに対応が分かれるかもしれない。
ケース | 方法 |
---|---|
① 既に使いたい Excel 関数が決まっている | 手入力などでスプレッドシートに関数を記述していく |
② 既知のExcel 関数の機能が使用目的にフィット するか確認してから使いたい | ツールタブ「数式」からめぼしい関数を探して 機能を調べる Excel 関数(順引き)辞典から該当するものを探す |
③ Excel でやりたいことが決まっているが どの関数を使えばよいかわからない | 逆引き Excel 関数辞典、目的別 Excel 関数辞典という ようなレファレンス情報から該当するものを探す |
④ Excel でやりたいことが大体決まっているが 関数を使って解決するかが不明 | Excel でやりたいことを複数のキーワードにまとめて、 Google等の検索エンジンで解説情報を調べる |
Excel 関数(順引き)辞典情報が得られるサイト
究極的には、検索エンジンでキーワードを決めて調べることが一番確実だが、最初からExcel関数(順引き)辞典のデータが整理されているサイトをブックマークしておくと便利。
Excel関数一覧 アルファベット順|できるネット
予め Excel 関数の内容を知っている人、とりあえずざっとどんな関数があるのか概要を掴むのに最適
Excel関数 機能別一覧(全484関数)|できるネット
Excel 関数を機能別に絞り込んで探すのに便利
全488種のExcel関数一覧表!検索/並び替え/絞り込み機能付|Office Hack
とりあえず、アルファベット(A-Z)の昇順/降順、人気順、機能別に検索することができる
Excel 関数 (機能別)|Microsoft 公式サポートページ
公式サポートページなので、鮮度と網羅性に不安を感じずに安心して Excel 関数を機能別(カテゴリ別)に検索できる
Excel 関数 (アルファベット順)|Microsoft 公式サポートページ
公式サポートページなので、鮮度と網羅性に不安を感じずに安心して Excel 関数を名称別(アルファベット別)に検索できる
逆引き Excel 関数辞典、目的別 Excel 関数辞典情報が得られるサイト
日本語でやりたいことと合致する見出しからお目当ての Excel 関数を探したい方は、以下のサイトを参考にされるといい。
Excel関数一覧 目的別|できるネット
〇〇がしたい、という〇〇というキーワードで Excel 関数を探すことができる
基本的な Excel 関数の使い方を学べるサイト
業務で必要になった都度、検索エンジンで調べるのがムダがないと考える。頻繁に使っていくうちに機能は自然と覚えていくし、自分の創意工夫で応用も効かせられるようになっていく。
それでも、予めExcel 関数を学習しておいて、必要な時に備えておきたい方には、以下のサイトを参考にされるといい。
Excelで「必ず覚えておくべき」たった11の関数、COUNTIFやVLOOKUPなど|ビジネス+IT
この記事は、ここ3年のベストセラーとなっている『Excel 最強の教科書[完全版]──すぐに使えて、一生役立つ「成果を生み出す」超エクセル仕事術 』を再編集したもの
Excel関数の基本まとめ – 絶対参照、数式のコピー、ネスト、配列まで丸わかり|できるネット
仕事で初心者がつまどく勘所を抑えている
エクセルの関数とは?関数の使い方とできること(初心者向け)|Office Hack
豊富な画面データと一緒に順番に読んでいけば、Excel 関数が一通りわかるようになる独習向けのサイト
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