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メコン川委員会(MRC)

メコン川委員会(MRC) 分類する

概要

メコン川委員会(MRC: Mekong River Commission)は、タイ・ラオス・カンボジア・ベトナムの4か国が加盟する、主にメコン川の共有水資源と持続可能な開発を共同で管理するための政府間組織である。

日本語表記では、「メコン委員会」とされる場合もある。

メコン川の開発・利用・管理・環境保全・観光などの分野を加盟国間で調整するために設立された。統合水資源管理(IWRM:Integrated Water Resources Management)を指向する組織とされる。

「各国の相互利益と人々の幸福のために、水と関連資源の持続可能な管理と開発を促進し、調整すること」をミッションにしている。

 創設とこれまでの活動経緯

1957年の国際連合アジア極東経済委員会(ECAFE)報告書「メコン川下流域の水資源開発」に基づき、メコン川下流域調査調整委員会規程が採択され、「メコン川下流域調整委員会」(通称メコン委員会)が1957年9月に設立、カンボジア王国、ラオス王国、タイ、ベトナム共和国(南ベトナム)の4か国が加盟した。タイのバンコクに事務局が置かれた。

ECAFEの洪水管理局は、管轄下にある18の国際水路のうちメコン川を優先し、他の地域での協力の前例を作ろうとしたものとされる。

米国は、流域の貧困が共産主義運動の強化につながることを恐れ、同委員会の最も強力な国際的支援者の一つとなった。しかし、ベトナム戦争を契機とする財政赤字の悪化から、米国の財政支援は1975年に打ち切られ、カンボジア(1992年まで)とベトナム(1994年まで)に対する禁輸措置とそれに続く貿易制限期間のために、MRCの活動は数十年間再開されなかった。

1975年以降、タイ以外のインドシナ三国の社会主義国化で活動は一時休止されていたものの、1977年4月、カンボジア以外の3か国はメコン委員会再開に向けて協議を再開した。

カンボジア抜きで協議が進んだ理由は、カンボジアで外国人排斥と偏執狂的なクメール・ルージュ政権が台頭したためである。

カンボジアの継続的な参加は維持不可能となり、1977年4月に他の3つの沿岸国は暫定メコン委員会に関する宣言に同意し、その結果1978年1月に暫定メコン委員会が設立された。

その後、カンボジア最高国民評議会は1991年6月に再加盟を要請した(実際の復帰は翌月の7月)。カンボジアの再加盟承認は、当時経済成長が著しかったタイとそれ以外の3三国を代表するベトナムの内部対立が激化したため、大きな争点となった。

多額の投資をした体制が消滅するのではないかと恐れていた国連開発計画(UNDP)が主導して、1995年4月5日、タイのチェンライでカンボジア、ラオス、タイ、ベトナムが署名した「メコン川流域の持続可能な開発のための協力に関する協定」に至り、メコン川委員会(MRC)が設立された。

この協定には、中国・ミャンマーの加盟を視野に入れた事項が含まれており、両国はオブザーバーの立場で参加するに至った。

組織

  • 合同委員会(開催:2,3回/年)(メンバ:首脳級)
  • 理事会(開催;1回/年)(メンバ:閣僚級)
  • 事務局(ラオスのビエンチャン)
  • 事務総長(CEO)

メコンにおける地域組織・パートナーシップ

メコン地域は、諸外国の外交施策により、様々な域外勢力が地域組織・パートナーシップを形成してその影響力行使にしのぎを削っている。メコン各国においても、そうした域外諸国から少しでも有利な経済的協力を得ようと工夫を凝らす。

以下は、代表的なメコン地域における地域組織・パートナーシップの一例である。

開始時期略称名称主導国枠組み
1992年GMS大メコン圏
(Greater Mekong Subregion)
ADBメコン+中国
1995年MRCメコン川委員会
(Mekong River Commision)
UNDPメコン+中国
2000年MGCメコン・ガンジス川協力機構
(Mekong–Ganga Cooperation)
インドメコン+インド
2003年ACMECSエーヤーワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略
(Ayeyawady-Chao Phraya-Mekong Economic Cooperation Strategy)
タイメコンのみ
2008年
2009年
日本・メコン日・メコン外相会議
日本・メコン地域諸国首脳会議
日本メコン+日本
2009年LMIメコン川下流域開発
(Lower Mekong Initiative)
米国メコン+米国
2015年LMC瀾滄江・メコン川協力
(Lancang-Mekong Cooperation)
中国メコン+中国
注)MRCでは、ミャンマー・中国はオブザーバー
アジアにおける地域組織間の関係:Wikipediaより

加盟国

時期状況メンバーシップ
1995.4.5創設タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム

タイ王国
ราชอาณาจักรไทย
Kingdom of Thailand

  • 国土面積は513,120km2(日本の約1.4倍)で世界50位、総人口は6,980万人で世界20位
  • 立憲君主制でチャクリー王朝の国王が国家元首。議院内閣制で人民代表院(下院)と、元老院(上院)から成る両院制
  • 親軍政党との連立政権だが、2023年8月23日にセーター首相就任で民政復帰
タイ王国 ราชอาณาจักรไทย Kingdom of Thailand

●首都
バンコク

ラオス人民民主共和国
ສາທາລະນະລັດ ປະຊາທິປະໄຕ ປະຊາຊົນລາວ
Lao People’s Democratic Republic

  • 国土面積は236,800km2 で世界79位、総人口は7,276,000人で世界104位
  • 国家主席を元首とする社会主義共和制国家(人民民主共和制)、立法府は一院制の国民議会
  • 計画経済から社会主義市場経済に移行したが、国連が定める世界最貧国の一つ。中華人民共和国が主導する経済圏「一帯一路」に参加、「債務のワナ」に陥ることが懸念されている

カンボジア王国
ព្រះរាជាណាចក្រកម្ពុជា
Kingdom of Cambodia

  • 国土面積は181,035km2 で世界87位、総人口は16,718,971人で世界68位
  • 国王を元首とする立憲君主制(選挙君主制)
  • 内戦を経て1993年9月24日に王政復古がなされ現在に至る
カンボジア王国
ព្រះរាជាណាចក្រកម្ពុជា
Kingdom of Cambodia

●首都
プノンペン

ベトナム社会主義共和国
Cộng hòa xã hội chủ nghĩa Việt Nam
Socialist Republic of Vietnam

  • 国土面積は331,212km2 で世界64位、総人口は1,038万人で世界16位
  • 社会主義共和制(ベトナム共産党による一党独裁制)。ベトナム共産党の最高職である党中央委員会書記長(最高指導者)、国家元首である国家主席、政府の長である首相、立法府である国会の議長を「国家の四柱」と呼ぶ
  • 1986年12月:社会主義に市場経済システムを取り入れるドイモイ政策を採択、中国の改革開放と同様に市場経済路線へと転換
ベトナム社会主義共和国
Cộng hòa xã hội chủ nghĩa Việt Nam
Socialist Republic of Vietnam

●首都
ハノイ

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参考リンク

Wikipediaは、日本語版より英語版が一層記述が充実している。

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