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サヘル諸国同盟(AES)

サヘル諸国同盟(AES) 分類する

概要

サヘル諸国同盟(AES: Alliance des États du Sahel)は、マリ、ニジェール、ブルキナファソで形成された地域同盟である。この同盟は、2023年のニジェール危機を受けて2023年9月16日に作成された相互防衛協定(サヘル諸国同盟)に由来している。

  • 仏語 AES: Alliance des États du Sahel
  • 英語 ASS: Alliance of Sahel States

ニジェールでクーデターが起こった後、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が憲法秩序回復のために武力行使も辞さない姿勢を示した。AESはこれに対抗するための組織として位置づけられる。

3か国は全てECOWASの元加盟国であり、2021年のマリのクーデター、2022年9月のブルキナファソのクーデター、2023年のニジェールのクーデターという一連のクーデターの成功を受けて現在は軍事政権の支配下にある。

2024年7月6日に、3か国のリーダーがニジェールの首都ニアメで、サヘル諸国同盟(AES)の第1回首脳会談を開き、連邦創設条約に調印した。

これら3か国は、ECOWAS脱退を表明しても、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)の脱退には言及していない。UEMOAメンバーでいる限り、仏語圏諸国との関係(財と労働力の自由な移動、通貨同盟)はそのまま維持される。従来は、ナイジェリアとの関係が深いニジェールは別にして、マリとブルキナファソにとって、ECOWAS脱退は今のところ政治的パフォーマンスの側面が強いと思われていた。

設立経緯

サヘル地域では2003年以来、ジハード主義の反乱が続いており、マリ戦争やボコ・ハラムの反乱など、同地域で多くの紛争を引き起こされている。3か国とも親欧米の文民政権が軍によって打倒され、クーデター地帯の一部として軍事政権が統治を始めた。2022年、マリは国際的に支援されているG5サヘル同盟から脱退した。ニジェールとブルキナファソは2023年に脱退し、その3日後に残りの2か国(チャドとモーリタニア)が枠組みの解体を発表した。

3か国は、それぞれの選挙で選ばれた政府が追放された直後にECOWASから資格停止処分を受けた。ニジェールのクーデター後、ECOWASは軍事介入してバズム大統領の政府を復活させると脅し、地域危機を引き起こした。

マリとブルキナファソの軍事政権は、ECOWASの軍事介入があった場合にはニジェールに軍事援助を約束し、ギニアの軍事政権は外交的支援を提供した。軍事援助の約束により、3か国の相互防衛ブロックとしてサヘル諸国同盟が結成され、ECOWASの介入を阻止することに成功した。

AESの領土内には、ISGS、ジャマアト・ナスル・アル・イスラム・ワル・ムスリム、アザワド運動など、様々な分離主義グループや反政府勢力が存在する。これらのグループとの戦いは、従来は、フランス軍、アメリカ軍、国連平和維持軍の支援を受けて継続されてきた。

2024年、AESは西側諸国との軍事関係を断絶し、その領土内の西側諸国の軍隊をロシアの民間軍事会社「ワグネル」に置き換えた。グローバルサウス(南半球を中心とした新興・途上国)で欧米主導の国際秩序が揺らいでいる実態を象徴している。

2025年1月29日、ブルキナファソ、マリ、ニジェールは、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)から正式に脱退した。

取り組み

CFAフランに代わる新通貨の導入と共通中央銀行の設立が提案されている。また、農業とエネルギーの自立を促進するため、共同インフラ計画が構想されており、ECOWASの他の国々に対する穀物の輸出規制が実施されている。

テロ組織との戦いにおいて国境を越えた連携を強化、3か国にまたがるイスラム主義組織との戦いを任務とする合同軍事部隊が練成中で、5,000人の人員で構成される。

2025年2月5日、各加盟国は共通の文化政策を確立するための条約に署名した。

3か国間の電話通信のローミング料金が廃止された。AES市民のための共同生体認証パスポートが最近導入されたが、すでに障害に直面しており、セネガルは現在パスポートの承認を拒否している。AES加盟国のための共通パスポートの設立は、2025年1月29日から始まる。

加盟国

時期状況メンバーシップ
2023.9.16創設マリ、ブルキナファソ、ニジェール

マリ共和国
Republic of Mali

  • 国土面積は1,240,000km2(日本の約3.3倍)で世界23位、人口は2025万人で世界59位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、首相は大統領が任命、閣僚評議会メンバーは、首相が大統領に推薦し任命、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界119位、購買力平価(PPP)で世界114位
マリ共和国 Republic of Mali

●首都
バマコ

ブルキナファソ
Burkina Faso

  • 国土面積は274,200km2(日本の約70%)で世界72位、人口は2090万人で世界58位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で半大統領制、首相は国民議会との協議に基づき大統領が任命、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界116位、購買力平価(PPP)で世界122位

ニジェール共和国
Republic of Niger

  • 国土面積は1,267,000km2(日本の約3.3倍)で世界21位、人口は2421万人で世界57位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、首相・閣僚は大統領が任命、国民議会の一院制、軍事クーデターにより憲法停止中
  • 名目国内総生産(GDP)は世界129位、購買力平価(PPP)で世界138位
ニジェール共和国 Republic of Niger

●首都
ニアメ

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参考リンク

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