概要
経済団体とは、企業経営者や使用者・雇用者が、集団的利益を拡大し、公益に資するために設立された団体である。
この中で、特定業種に携わる企業や個人を会員として構成される団体は業界団体(Trade association)や同業組合など、専門職を代表する団体は、職能団体(Regulatory college)と分類される。
日本の大手企業を中心に構成された経済団体には、日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所、経済同友会があり、これらの団体は、規模が大きく、全国的に活動していることから「経済三団体」と呼ばれている。
2002年に、経済団体連合会(経団連)と、日本経営者団体連盟(日経連)が統合して現在の日本経済団体連合会(経団連)となる前は、「経済四団体」と呼ばれていた。
政治家の集団を指す「政界」、官僚の集団を指す「官界」と並んで、大企業の経営者や実業家などが構成している社会を指して「財界」と呼ぶことから、「財界三団体(財界四団体)」と呼ばれることも多い。
中小零細企業の団体としては、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会(全国中央会)、全国商工会連合会(全国連)、全国商店街振興組合連合会(全振連)の「中小企業四団体」がある。
なお、経済5団体という場合は、日本経済団体連合会(経団連)、経済同友会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会(全国中央会)、全国商工会連合会(全国連)の5つを指す。
また、業種別や地域別の経営者団体も存在する。業種別の団体には、日本鉄鋼連盟、日本自動車工業会(自工会)、石油連盟、全国銀行協会連合会(全銀協)などがある。地域別の団体には、各地の商工会議所や関東経営者協会などの地域経営者協会がある。
なお、主に楽天やサイバーエージェントなどインターネットを利用したコンテンツ産業を担う企業群が参加する経済団体として新経済連盟や、IT関連の業界団体連合として日本IT団体連盟もある。
ときには、経済団体は政治的な利益団体(目標の実現や利益の確保のために、社会や政治に影響を与えようとする、政党以外の団体)と目されることもある。この意から、「圧力団体」「利益集団」「プレッシャー・グループ」とも呼ばれ、しばしば議会への影響力拡大のために組織内議員を擁したりする。
また、ロビー活動をしたり、議会の公聴会、中央政府や地方政府の懇談会・審議会に委員を輩出する機能があり、労働組合のナショナルセンターと対峙することもある。
経済三団体
日本経済団体連合会(経団連)
日本の代表的な企業1,542社、製造業やサービス業等の主要な業種別全国団体106団体、地方別経済団体47団体などから構成されている(2024年4月1日現在)。
総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、日本経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与することをミッションとしている。
かつては経済産業省所管の社団法人であったが、公益法人制度改革に伴い内閣府所管の一般社団法人へ移行した。「経済三団体」の中でも影響力は一際大きく、会長は「財界総理」とも称される。
1946年に日本経済の再建・復興を目的として、経済団体連合会(経団連)が設立、1948年に「経営者よ正しく強かれ」を掲げ、適正な労使関係の確立を目的として、日本経営者団体連盟(日経連)が発足した。
加盟企業のほとんどが両者で重複しており、日経連は労使間の対立の収束とともに役割を終えつつあるとの理由から、2002年に両者が統合され現在の経団連が成立した。
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経済同友会
企業経営者が個人として参加し、自由社会における経済社会の牽引役であるという自覚と連帯の下に、一企業や特定業種の利害を超えた幅広い先見的な視野から、変転極まりない国内外の諸問題について考え、議論し政策提言を行うことを特色としている。
第二次世界大戦の敗戦直後、公職追放により各企業では旧経営陣が一掃され、部長クラスの中堅幹部がいきなり経営の舵取りを担うこととなった。戦後の混乱状況が続く中、若手経営者たちが互いに切磋琢磨しながら親交を深める団体が必要であるということから1946年に設立された。
2010年に社団法人から公益社団法人に移行した。
日本商工会議所(日商)
1878年、東京商法会議所(後の東京商工会議所)が渋沢栄一により設立され、同年に大阪、神戸にも設立され、その後も全国の主要都市に相次いで誕生した。
1922年、当時設立されていた全国の商工会議所の発意により、日本経済全体を見据えた活動を展開する連合会組織として日本商工会議所が誕生した。「中小企業の活力強化」と「地域経済の活性化」を使命に、全国の商工会議所との強固な連携のもと、商工業の振興に寄与するため商工会議所間の意見の総合調整や国内外の経済団体との提携を図る機関である。
現在は、全国各地にある商工会議所(515商工会議所)を会員とし、中小企業など約125万社が参加する商工会議所法に基づく民間の地域総合経済団体として運営されている。
商工会議所の代表者は会頭と呼ばれ、慣例として東京商工会議所の会頭が日商会頭を兼務する。
政府会議での意見や与党・国会議員への働きかけといった政策提言活動を中心に、現場で直接的に中小企業・地域を支える各地商工会議所のサポートや海外との民間経済交流、検定試験を通じた産業人材の育成などを行う。
中小企業四団体
日本商工会議所(日商)
「経済三団体」の日本商工会議所(日商)と同一。
全国中小企業団体中央会(全国中央会)
1955年に中小企業等協同組合法の改正により「中小企業等協同組合中央会」として誕生、1958年に中小企業団体の組織に関する法律の施行に伴い「中小企業団体中央会」と名称変更した。中小企業団体の組織に関する法律に基づく中小企業組合等で構成される特別民間法人(2005年)である。
中小企業の振興発展を図るため、中小企業の組織化を推進し、その連携を強固にすることによって、中小企業を支援していこうとする団体である。
都道府県ごとに1つの中央会と、都道府県の中央会をとりまとめる全国中小企業団体中央会で構成されている。都道府県中央会の構成員は都道府県に存在する事業協同組合、事業協同小組合、企業組合、信用協同組合、商工組合、協業組合、商店街振興組合及びこれらの連合会、その他の中小企業関係団体である。
商工中金から融資を受ける中小企業は、全国中央会2号会員または都道府県中央会会員かつ商工中金の株式を保有する中小企業組合に加入しなければならない。
全国商工会連合会(全国連)
商工会法(昭和35年5月29日法律第89号)に基づき、全国の商工会を会員として1962年に全国商工会連合会が組織された。2002年に特別民間法人となった。
商工会は、法律(商工会法)に基づき主に町村部に設立された公的団体で、全国に1,643の商工会がある。各都道府県には商工会連合会がある。
原則として市の区域にある商工会議所とは地区としての重複はなく、根拠法(商工会法⇔商工会議所法)も異なる。
商工会の振興に寄与するため、都道府県商工会連合会を会員とし商工会間の意見等を総合、調整したり、国内外の経済団体との提携を進めたりする機関である。
全国商店街振興組合連合会(全振連)
1962年に商店街振興組合法が成立、1968年に全国商店街振興組合連合会が設立された。会員は47都道府県商店街振興組合連合会やその会員組合(市・区振連、単位組合)小売店との有機的ネットワークで、47会員に所属する商店街振興組合数、約1,500、店舗数、約8万3千にのぼる。
商店街・小売店の活性化のために必要な、調査・研究、研修、指導・相談、情報交換・提供等を行っている。
振興組合の大きな特徴は、(事業協同組合に比較し)中小小売商業者だけでなく、大型店や銀行、一般の住民等も組合員に加えられる点にある。これによりエリア全体を対象とした環境の整備改善を図る事業がスムーズに実施可能となる。
その他
新経済連盟(新経連)
eビジネス、ITビジネスをはじめとした様々な新産業の発展を目指して、2010年、グリーやミクシィ、サイバーエージェント、TBSテレビ、日本オラクルなど1665社(一般会員238社、賛助会員1427社)が参加し、「eビジネス推進連合会」として発足した。
2012年、新経済連盟に改称した。
デジタルを軸とした経済と社会の改革に向けて、個人や民間企業の力が最大限に発揮される環境の整備に取り組んでいる。
約50名の理事・幹事のうち半数以上を創業者が占める点で、「アントレプレナーが集う経済団体」という性格も併せ持っている。
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