国際機関とは
国際機関とは、主に主権国家(加盟国)で構成されている国家間にわたる組織。
「Inter」:~の間
「Nation」:国家
から、「International」は、「国際:国内の問題ではなく、諸国民・諸国家の間に存在・関係する」の意となる
広義では、国境をまたいだ組織は、すべて「国際機関」といえるが、構成メンバ(加盟国)の政府としての政治的性質に着目して、政府間組織のみを指して「国際機関」と呼ぶことも多い
代表例として、国連は “international organization”(国際機関)ではなく “intergovernmental organization”(IGO: 政府間組織)という用語を使用していることで知られている
また、国際的に活動する非政府組織(NGO)によって構成される国際機関は、国際非政府組織 (INGO: International Nongovernmental Organization)と呼ばれる
赤十字国際委員会、国境なき医師団などの国際的な非営利団体(NPO)も、このINGOに含まれる
日本の立場・用例による国際機関の定義を出入国在留管理庁のホームページから下記に例示列挙されたものを引用する
●国際連合(UN)
国連総会により設立された国連の下部機関
国連開発計画(UNDP),国連環境計画(UNEP),国連プロジェクトサービス機関(UNOPS),国連人口基金(UNFPA),国連難民高等弁務官事務所(UNHCR),国連大学(UNU),国連児童基金(UNICEF),国連女性機関(UN Women),世界食糧計画(WFP)など●専門機関
国際労働機関(ILO),国連食糧農業機関(FAO),国連教育科学文化機関(UNESCO),国連工業開発機関(UNIDO),世界保健機関(WHO),国際民間航空機関(ICAO),国際海事機関(IMO),国際電気通信連合(ITU),万国郵便連合(UPU),世界気象機関(WMO),世界知的所有権機関(WIPO),国際農業開発基金(IFAD)など●その他の国際機関
出典:国際機関一覧|出入国在留管理庁
国際原子力機関(IAEA),世界貿易機関(WTO),経済協力開発機構(OWECD)など
なお、地方自治体の組織の一部でも「地域機関」という呼称を用いるが、欧州連合(EU)のような国家を超えた組織で対象範囲が地域や国家の連合体に限定されたものを指す際には「地域機関」と呼称することが多い
普遍的国際機関(グローバル規模のもの)
国際連合(UN)
国際連合憲章の下で1945年に設立された国際機関。日本語の略称は国連(こくれん)
第二次世界大戦を防げなかった国際連盟の様々な反省を踏まえ、1945年10月24日に51ヵ国の加盟国で設立された
- 総会
- 計画と基金
- 国際連合貿易開発会議(UNCTAD)
- 国際連合開発計画(UNDP)
- 国際連合婦人開発基金(UNIFEM)
- 国際連合ボランティア(UNV)
- 国際連合資本開発基金(UNCDF)
- 国際連合環境計画(UNEP)
- 国際連合人口基金(UNFPA)
- 国際連合人間居住計画(UNHABITAT)
- 国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)
- 国際連合児童基金(UNICEF)
- 国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
- 国際連合世界食糧計画(WFP)
- 研究・研修所
- 国際連合婦人調査訓練研修所(INSTRAW)
- 国際連合地域間犯罪司法研究所(UNICRI)
- 国際連合軍縮研究所(UNIDIR)
- 国際連合訓練調査研究所(UNITAR)
- 国際連合社会開発研究所(UNRISD)
- 国際連合安全保障理事会
- 下部組織
- 平和維持活動・ミッション
- 国際司法裁判所(ICJ)
- 国際刑事裁判所(ICC)
- 国際連合事務局
- 国際連合経済社会理事会
- 機能委員会
- 地域委員会
- アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)
- 国際連合信託統治理事会
- 専門機関
- 国際連合食糧農業機関(FAO)
- 国際民間航空機関(ICAO)
- 国際労働機関(ILO)
- 国際労使関係協会(IIRA)
- 国際通貨基金(IMF)
- 国際海事機関(IMO)
- 国際麻薬統制委員会(INCB)
- 国際電気通信連合(ITU)
- 国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
- 国際音楽評議会(IMC)
- 国際連合工業開発機関(UNIDO)
- 世界観光機関(UNWTO)
- 万国郵便連合(UPU)
- 世界銀行(WB)グループ
- 国際復興開発銀行(IBRD)
- 国際投資紛争解決センター(ICSID)
- 国際開発協会(IDA)
- 国際金融公社(IFC)
- 多国間投資保証機関(MIGA)
- 世界保健機関(WHO)
- 国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)
- 世界知的所有権機関(WIPO)
- 世界気象機関(WMO)
国際連合以外の国際機関(司法・行政・軍事)
包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)
Preparatory Commission for the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty Organization(CTBTO)
包括的核実験禁止条約が1969年に採択
条約の発効に批准が必要な核技術保有44カ国のうち、8カ国がまだ批准していない
本部はウィーン
CTBTOは、CTBTの検証制度を構築し、条約が発効し次第すぐに運用できるようにすること、条約の署名と批准を促進することが任務
ハーグ国際私法会議(HCCH)
Hague Conference on Private International Law
国際私法の統一を目的として1893年に設立
国際原子力機関(IAEA)
International Atomic Energy Agency
本部はオーストリアのウィーン
1957年に創立
国連の保護下にある自治機関であって国際連合の専門機関ではない
設立目的は、❶原子力の平和的利用の促進、❷原子力の軍事利用(核兵器開発)の防止
国際刑事警察機構(ICPO)
International Criminal Police Organization
海外ではインターポール(INTERPOL)の名称で呼ばれることが多い
国外逃亡被疑者や行方不明者、盗難美術品などの発見、身元不明死体の身元確認などに努める「国際手配制度」や、国際犯罪および国際犯罪者に関する情報のデータベース化とフィードバックなどを主要業務とする
残念ながら、銭形警部のように自ら捜査をする権限は持っていない
イスラム諸国会議機構(OIC)
Organisation of Islamic Cooperation(英)
Organisation de la coopération Islamique(OCI)(仏)
イスラム諸国の政治的協力・連帯を強化し、イスラム諸国に対する抑圧に反対して、解放運動を支援することを目的に設立
イスラム諸国をメンバーとして構成され、国際連合に対する常任代表を有する国際機構
化学兵器禁止機構(OPCW)
Organization for the Prohibition of Chemical Weapons
本部はオランダのハーグ
化学兵器禁止条約(CWC)に基づき、化学兵器の禁止と拡散防止のための世界的な活動を目的として設立
常設仲裁裁判所(PCA)
Permanent Court of Arbitration
オランダのハーグに設置
1899年の第1回ハーグ平和会議で設立された常設の国際仲裁法廷
国際司法裁判所と同じハーグの平和宮殿内に設置されているが別の機関
国際連合以外の国際機関(経済・産業)
経済協力開発機構(OECD)
Organisation for Economic Co-operation and Development(英)
Organisation de Coopération et de Développement Economiques(OCDE)(仏)
本部事務局はフランスのパリ
国際経済全般について協議することを目的として設立
- 経済成長
- 開発
- 貿易
国際決済銀行(BIS)
Bank for International Settlements
1930年に設立された、中央銀行相互の決済を行う組織
世界各国の中央銀行が出資する法人
最高意思決定機関は株主中央銀行の代表が出席する総会(General Meeting)で、組織規定の改正、決算の承認などの権限を有する。年1回、6月末から7月初に開催されている(臨時総会の開催も可能)
国際水路機関(IHO)
International Hydrographic Organization
1967年に採択された国際水路機関条約に基づき、海図などの改善により航海を容易かつ安全にすることを目的に設立
植物新品種保護国際同盟(UPOV)
International Union for the Protection of New Varieties of Plants
本部はスイスのジュネーヴ
植物の新品種の保護に関する国際条約に基づき設立
庁舎を世界知的所有権機関(WIPO)と共用、UPOVの事務局長もWIPOの事務局長が兼任
世界税関機構(WCO)
World Customs Organization
本部はベルギーのブリュッセル
関税制度の調和と簡易化を図る国際機関
世界貿易機関(WTO)
World Trade Organization
常設事務局がスイスのジュネーブ
自由貿易促進を主たる目的として設立された国際機関
国際商品協定機関
一次産品共通基金(CFC)
Common Fund for Commodities
本部はオランダ・アムステルダム
国連貿易開発会議(UNCTAD)の一次産品総合計画に基づき、一次産品の価格の安定、輸出所得の改善等を目的として設立された国際基金
国際コーヒー機関(ICO)
International Coffee Organization
本部はイギリスのロンドン
世界のコーヒーの生産や貿易に関する協定を協議・実施する国際機関
国際オリーブ協会(IOC)
International Olive Council
本部はスペインのマドリッド
オリーブまたはオリーブオイルなどのオリーブから派生した製品を生産する国の政府間組織
国際出版連合(IPA)
International Publishers Association
本部はスイスのジュネーブ
出版を促進および保護し、経済的、文化的、および政治的発展の文脈における出版の意識を高めるために設立された非営利の非政府組織
国際連合以外の国際機関(テクノロジー・文化)
国際標準化機構(ISO)
International Organization for Standardization
本部はスイスのジュネーヴ
各国の国家標準化団体で構成される非政府組織
日本からは、日本産業標準調査会 (JISC)が加盟している
国際的な標準である国際規格 (IS: international standard) を策定している
国際電気標準会議 (IEC) と共同で以下の2つの合同委員会を組織し、電気・電子分野の標準を開発している
- ISO/IEC第1合同技術委員会 (JTC1):IT標準の策定・維持・促進・促進
- ISO/IEC第2合同技術委員会 (JTC 2):エネルギー効率および再生可能エネルギー分野の標準化
小島嶼国連合(AOSIS)
Alliance of Small Island States
小規模な島や沿海部の低地を有する国々によって1990年に設立
気候変動により大きな影響を受ける参加国や地域のデータを収集し、意見を集約することが主な目的
博覧会国際事務局(BIE)
Bureau International des Expositions(仏)
1928年に締結された国際博覧会条約(BIE条約)に基づき同年設立
フランスのパリに本部をおく
博覧会国際事務局によって承認された博覧会のみが、国際法上「国際博覧会(万博)」を名乗ることができる
国際度量衡総会(CGPM)
Conférence générale des poids et mesures(仏)
メートル条約に基づき、世界で通用する単位系(国際単位系)を維持するために、加盟国参加によって開催される総会議
4年(当初は6年)に1度パリで開催
2つの機関、国際度量衡委員会(CIPM)及び国際度量衡局(BIPM)の上位機関
国際度量衡委員会(CIPM)
Comité International des Poids et Mesures(仏)
国際度量衡総会(CGPM)から委託された計量単位に関する国際的課題を具体的に検討し、総会に提案を提出するとともに、総会(CGPM)で決定された事項はCIPMによって代執行される
委員会は国籍を異にする18名の委員(主要加盟国の国立研究機関に所属する者から選出される)で構成される
国際度量衡局(BIPM)
Bureau International des Poids et Mesures(仏)
国際的な標準化団体であり、メートル条約に基づきメートル法(国際単位系(SI))を維持するために発足した国際度量衡委員会(CIPM)の事務局兼研究所
計測学の研究所と、条約加盟国の国立計測学研究所をメンバーとする一連の諮問委員会がある。また、国家測定標準の国際的な相互比較を行い、加盟国のために較正を実行する
国際法定計量機関(OIML)
International Organization of Legal Metrology
OIML条約(国際法定計量機関を設立するための条約、Convention Establishing An International Organization of Legal Metrology)の条約組織として成立
国際移動通信衛星機構(IMSO)
International Mobile Satellite Organization
移動衛星通信システムを利用することにより、海上における安全に係る通信を始めとする海事通信の改善を目的として設立
1999年4月、民間衛星通信事業者の参入等を踏まえ、事業部分が分離されて民間会社であるインマルサット(Inmarsat plc)に移管
インタースプートニク(Intersputnik、Интерспутник)
Intersputnik International Organization of Space Communications
1971年にソビエト連邦と8つの社会主義国により、モスクワで創設された、衛星通信のための国際的な組織
西側のインテルサットに対抗することを企図して設立されたが、1997年6月にロッキード・マーティンと共同でジョイントベンチャーのロッキード・マーティン・インタースプートニクを設立
現在は、軌道上の12個の衛星と41個のトランスポンダを運営する商業組織となっている
国際学術会議 (ISC)
International Science Council
本部はフランス・パリ
自然科学分野の組織である国際科学会議(ICSU)と社会科学分野の組織である国際社会科学協議会(ISSC)が、2018年7月に合併し発足
設立経緯
1919年:国際調査会議(IRC)、International Research Council が設立
1931年:国際学術連合会議(ICSU)、International Council of Scientific Unions に改組
1946年:UNESCO(国際連合教育科学文化機関)との合意の元に学会連合を代表する
1998年:国際科学会議(International Council for Science)に名称変更
2018年:国際学術会議(ISC)、International Science Council に改組
(↑ 国際社会科学協議会(ISSC)、International Social Science Council と統合)