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業態・フォーマットの分類

業態・フォーマットの分類 分類する

業種との違い

業態・フォーマットとは、品揃えの特徴と顧客へのアプローチの違いによる店の分類。

同じ品種を扱っていても、商品構成や価格帯が違えば、御客の来店目的や頻度が変わる。結果として、その店の商圏人口や多店化力も異なってくる。

取り扱っている商品の品種によってお店を区分する場合には、一般的に「業種」を用いる。

例)自動車販売、薬局、青果店など

代表的な業態分類

マーケティング、商品企画、統計分析、株式投資、各種マスタ・コード作成のために、世の中に既に存在しており、比較的入手しやすい業態分類をまとめている。

商品分類・サービス分類作成元
商業統計の業種分類経済産業省
フォーマット・業種分類
(ビックストア基本統計用)
日本リテイリングセンター
(ペガサスクラブ)
フォーマット・業種分類
(経営効率数字レポート用)
日本リテイリングセンター
(ペガサスクラブ)

商業統計における業態分類

経済産業省による商業統計の作成の基準となる業態は、以下の分類基準を複合的に組み合わせたものになっている。

  1. セルフ販売方式の有無
  2. 取扱商品の種類
  3. 販売方法(店舗/無店舗)
  4. 売場面積
  5. 営業時間
  6. 産業分類

外部リンク 別表「業種分類表」(PDF)|経済産業省

下記は、この「業種分類表」を分かりやすくポイントだけを抽出して一覧化したものである。

全体で26業態が3段階(大中小)で分類されている。

  • 大分類
    1. 百貨店
    2. 総合スーパー
    3. 専門スーパー
    4. コンビニエンスストア
    5. 広域ドラッグストア
    6. その他のスーパー
    7. 専門店
    8. 家電大型専門店
    9. 中心店
      • 衣料品
      • 食料品
      • 住宅関連品
    10. その他の小売店
    11. 無店舗販売
業態大業態中業態小セルフ方式取扱商品販売方法売場面積営業時間産業分類
1.百貨店(1)  大型百貨店 ×  3000㎡以上
(都の特別区
及び政令指定
都市は6000㎡
以上)
  
 (2)  その他の百貨店 ×  3000㎡未満
(都の特別区
及び政令指定
都市は6000㎡
未満)
  
2.総合スーパー(1)  大型総合スーパー   3000㎡以上
(都の特別区及び政令指定
都市は6000㎡
以上)
  
 (2)  中型総合スーパー   3000㎡未満
(都の特別区
及び政令指定
都市は6000㎡
未満)
  
3.専門スーパー(1)  衣料品スーパー 衣料品が
70%以上
 250㎡以上  
 (2)  食料品スーパー 食料品が
70%以上
 250㎡以上  
 (3)  住関連スーパー 住宅関連品
が70%以上
 250㎡以上  
 ホームセンター金物・荒物・種・
種苗が
70%未満
    
4.コンビニエンスストア  飲食料品を
扱っている
 30㎡以上
250㎡未満
14時間以上 
  終日営業店 飲食料品を
扱っている
 30㎡以上
250㎡未満
終日営業 
5.広義ドラッグストア  医薬品・化
粧品が25%以
上かつ一般医薬品
を扱っている
    
  ドラッグストア  ドラッグストアに
格付けされた事業所
6.その他のスーパー      2、3、4、5以外
のセルフ店
  各種商品取扱店    その他の各種商品
小売業に格付け、
かつコンビニエンス
ストア及び広義の
ドラッグストアの
定義に該当しない
事業所
7.専門店  ×     
 (1)  衣料品専門店 ×衣料品が
90%以上
    
 (2)  食料品専門店 ×食料品が
90%以上
    
 (3)  住関連専門店 ×住宅関連品が
90%以上
    
8.家電大型専門店  ×500㎡以上 機械器具小売業
又は電気事務機械
器具小売業に格付け
された事業所
9.中心店(1)  衣料品中心店 ×衣料品が
50%以上
 500㎡以上 1、7、8、11に
該当する小売店を除く
 (2)  食料品中心店 ×食料品が
50%以上
 500㎡以上 1、7、8、11に
該当する小売店を除く
 (3)  住関連中心店 ×住宅関連費が
50%以上
 500㎡以上 1、7、8、11に
該当する小売店を除く
10.その他の小売店  ×  1、7、8、9、11
以外の非セルフ店
  各種商品取扱店×    その他の各種商品
小売業に格付けされ、
かつコンビニエンス
ストア及び広義のドラ
ッグストアの定義に
該当しない事業所
11.無店舗販売  ×訪問販売+通信・
カタログ販売+
インターネット販売
+自動販売機
による販売が100%
0㎡  
  通信・カタログ販売、インターネット販売×通信・カタログ
販売+インターネット
販売が
80%以上
0㎡  

フォーマット・業種分類(ビックストア基本統計用)

日本リテイリングセンターが運営するチェーンストア研究団体であるペガサスクラブから、日本のビッグストア(国内直営純小売売上高50億円以上)の実勢レポート「ビックストア基本統計」にて使用されている業態分類。

大分類などといった階層に名称は付記されていないが、実質3階層で運用されている。

  • 大分類(3)
  • 中分類(27)
  • 小分類(45)

百貨店やスーパー以外の専門店は、主に取り扱い商品の区分になっている。

外部リンク ビッグストア基本統計2021年版(PDF)|資料|ペガサスクラブ

大分類中分類小分類
百貨店
総合日本型スーパーストア
衣料スーパー
バラエティストア
ドラッグストア
スーパーマーケット
コンビニエンスストア
オートセンター
総合・ディスカウント
生協
専門生鮮、総菜、菓子
酒類
紳士服(男女スーツ)
ベビー、子供服
その他衣料
呉服
宝飾
眼鏡
家電
家具
スポーツ
書籍
リサイクル
調剤薬局
その他
AVソフト
楽器
雑貨
玩具
時計
コンタクト
仏壇
手芸
釣具
ダンス
ペット
自転車
トイレタリー
化粧品
作業
写真

フォーマット・業種分類(上場流通企業の経営効率)

日本リテイリングセンターが運営するチェーンストア研究団体であるペガサスクラブから、掲載企業数37分類272社の「上場流通企業の経営効率数値」にて使用されている業態分類。

物販だけでなく外食も含められている。凡そ、単階層で運用されているが、外食はさらに2区分されているため、それを含めると2階層で運用されている。

こちらは財務分析値をとりまとめるために、「ビッグストア基本統計」より大まかな分類になっている。

  • 大分類(9)
  • 細分類(10)
大分類細分類
日本型スーパーストア
衣料スーパー
スーパーマーケット
ドラッグストア
ホームセンター
バラエティストア
食品主力総合
非食品主力総合
テーブルサービスレストランカジュアル
ディナー

外部リンク 上場流通企業の経営効率数値2020年版(PDF)|資料|ペガサスクラブ

解説

スーパーマーケット(SM)

総合食品店のフォーマット。

日本における定義は、
①総合食品(生鮮、加工食品)売上高構成比率70%以上
②セルフサービス
③粗利率20%以上

売場面積は、
・旧来は250~400坪程度
・500坪以上も一般的になってきており、特に、スーパースーパーマーケット(SSM)と呼ぶこともある。

ドラッグストア(Dg. S)

医薬品の他にヘルス&ビューティ用品を気軽に購入できる店。

発祥の米国では、バラエティストアの扱うポピュラープライス(大衆が気軽に買える価格帯)の家庭・生活雑貨を揃えるのが一般的で、導入当初の日本をそれに倣っていた。

近年、米国ではバラエティストアの巻き返しがあり、大手の調剤売上高構成比率は7割超に達するようになる。

日本では、食品の売上構成比率が増加傾向にあり、4割超に達するようになっている。

医薬品の高い粗利率を原資にして、食品などを大幅に値引き販売する戦略が一般的になってきたため。

バラエティストア(VS)

デパートメントストア(デパート/百貨店)と共に、19世紀からの古い歴史を持つフォーマット。

使用頻度の高い生活必需品をロワー・ポピュラープライスで揃える総合店。

食品は絞り込むか扱わない。

売場面積150~400坪、セルフサービス、必要商圏人口1万~2万人。

ワンプライスストア

1つのプライスポイントしか持たない販売方法の店。

日本では「100円ショップ」、米国では「ダラーショップ」

多店化勢力の実態は実用品主力であり、バラエティストアの一種といえるが、ワンプライスの制約のため、取り扱い品種が増やせず総合化が限定的で、客層が狭まり、商圏が広がる傾向になるとされていた。

近年では、複数プライスを揃える、高い販売力から品種幅の拡張があることからさらに勢力拡大中。

デパートメントストア(百貨店)

複数の品種を揃え、商品部門(デパートメント)ごとに収益管理を行う現代的ストアマネジメントが初めて行われたフォーマット。

欧米では、衣料を主力に服飾雑貨とホームファッション用品をモデレートプライスからベタープライスで扱い、売場面積は2500~4500坪、2~3フロアでチェーン化している。

一方、日本では、高価格帯、売場面積1万坪超の巨大商圏の店となり、多店化力に乏しい。

ゼネラルマーチャンダイズストア(GMS)

売場面積2000~3500坪(1~2フロア)に、日常で使うものは食品と自動車を除きほとんどを取り扱う。

価格帯は、モデレートプライスからポピュラープライスで、原則セルフサービス販売である。

英米では1980年代まで大衆の支持を集めたフォーマットだったが、より低価格を徹底するディスカウントストア(米国)・ハイパーマーケット(英国)が隆興、やがて衰退する。

日本型スーパーストアもGMS(総合スーパーマーケット)と呼ぶこともあり、紛らわしいが厳密には別概念。

セルフサービス・ディスカウント・デパートメントストア(SSDDS)

1960年代、スーパーマーケットやディスカウントストアが成立済みの米国と異なる社会でチェーンストアを確立するまでの過渡期的なフォーマットとして提案されたもの。

衣食住の廉価販売大型店。

欧州ではワンフロア型のハイパーマーケット、日本では日本型スーパーストアとしてその要素が取り入れられて発展した。

日本型スーパーストア

日本独自の大型総合セルフサービス方式の小売業態。

一般的には総合スーパーマーケット(GMS)とも呼ばれる。

1960年代初頭、非食品主力だった店が安価の食品売場を設けて地域住民の支持を一挙に奪い規模拡大するために考案した過渡期的なフォーマット。

SSDDSに着想を得ている。

日用実用品で、食品と服飾とその他(雑貨・家電)の各売上高構成比3~4割、各売場500~1000坪、1~3フロア、業界慣行より3~5%程度低い粗利率、セルフサービス、地価安の立地(商店街外れか駅裏手側)で大部分土地所有、400~1500坪分はテナント、商圏人口15万~20万人という特徴で成長。

1980年代からは、非食品の価格帯が下がり業績が低迷してきている。

ディスカウントハウス

当初はデパートメントストアの品揃えの安売り店として誕生した非食品総合店のフォーマット。

日本の場合、日用消耗品、家庭用品、レジャー用品、実用衣料、服飾雑貨などを定価の3~7割引きで販売する店が一般的。

バーティカルマーチャンダイジングの仕組みを持つディスカウントストアと異なり、継続的販売ができず、固定客が増えないため、米国では1960年代に駆逐された。

ディスカウントストア(DS)

GMSの商品をさらに大衆・実用品だけに絞り廉価販売するセルフサービス大型総合店。

デパートメントストアとスーパーマーケットが開発した販売技術と管理方法、ディスカウントハウスの価格訴求力とGMSの商品開発システムを学び、ショッピングセンター立地で出店。

1950年代末に登場し、62年に共に1号店を開いたKマート、ウォルマート、ターゲット(当時デイトン)に代表される。

スーパーセンター(Su. C)

ディスカウントストア売場に、生鮮も扱う600坪スーパーマーケットが合体したフォーマット。

売場2500~4000坪でレジ共通。

1988年からウォルマートが出店し、現在は主力フォーマットとなる。

食品と非食品の購買頻度を近づけることに成功しているのは同社をおいて他には例があまりない。

コンビニエンスストア(CVS)

買物当日中に消費する食品と日用生活必需品を売る50坪未満の総合小売店。

取扱単品数は3000以内で、1品種につき1~2単品のみ。

一人当たり面積が狭く労働生産性を上げにくいことから、フランチャイズチェーンとして多店化する場合が多い。

北米ではガソリンスタンドに併設する形が主流で商品構成がやや日本と異なる。

スーパーレット

スーパーマーケットの売れ筋を集めた売場100坪未満の小型食品店。

コンビニエンスストアとの違いは、即食主体ではなく、簡単調理食材と生鮮品を取り扱うところにあったが、コンビニエンスストアの取扱商品幅が多様化して最近ではその境目があいまいになっている。

大型店が出店できない大都市中心部でのみ成立する。

主に個人経営だったが、安価の商品開発と供給体制を持つ大チェーンに代わりつつある。ただし、チェーンを維持するには、このフォーマットだけで一般的には1000店舗以上の規模が必要とされている。

生活協同組合

生協せいきょう”の愛称で親しまれている。

消費者が自ら加工から販売までの各段階を一貫して行うための事業体として誕生。

最初の成功事例は、1844年の英国ロッチデールとされる。

それ以降、チェーンストアが勃興するまで、多店舗経営、ユーザの立場からの商品開発・価格決定、バーチカルマーチャンダイジング、グローバルソーシングを実践する中心的存在だった。

日本には商品供給を行う購買生協の他、共済や健康福祉サービスを行う組合、複数の組合が共同事業を行う事業連合会がある。

ホームセンター

もともとは家づくりと修繕のために必要なハードグッズの店として誕生した日本独自のフォーマット。

1980年代以降、農業・工事・工作用品、ワーキング衣料・ツールなど業務用品と日用消耗品、ヘルス&ビューティ用品、ホームファッション、家具、ペットなどを扱う非食品大型総合店として広まる。

ホームインプルーブメントストア

住まいを築く上で欠かせない道具を揃える大型店。

建材、電材、工具・作業用品などと、収納、園芸、アプライアンス(設置工事が必要な冷蔵庫・洗濯機などの大型家電)を扱い、日用消耗品はない。

よく「DIY店」とも呼ばれるが、趣味品はなく実用品のみで、お客は職人と自宅リフォームを計画する個人が多い。

ホームファッションストア

家庭で使うホームグッズ総合店。

寝具、敷物、ウインドカバリングやデコ(装飾インテリア)とキッチン、トイレタリー、オフィス、各種収納品を扱う。

消耗品はあくまで補助的な位置づけである。

ホームファニシングストア

家具を主力とし、ホームファッションも揃えるフォーマット。

一部はホームインプルーブメントストアからラインロビングし、アプライアンス・園芸まで取り扱うこともある。

スペシャリティストア

いわゆる専門店。

日本では、どんな品種のものを販売しているかという”業種分類”のイメージが強く、特定品しか取り扱わないお店との認識がある。

本来は、フォーマット分類における「専門性」とは、ある用途やライフスタイルに必要なものがすべて揃えている状態の品揃えを意味する。

来店するお客の立場に立ったトータルコーディネートによる品種総合化を特徴とする。

例)オーガニックにこだわるお客には、有機栽培された食材の他、衣料品や日用品も提供する

ファッションリーダーショップ

ベストプライスまたはベタープライスでトレンド商品を主力とする非食品専門店。

有名ブランドとなっても巨大商圏でしか成り立たず、多店舗化が難しい。

プレスティージストア

名声店。

他の高級専門店では扱っていない品を売る店で、コンサルティング・セールスで販売する。

メンバーシップホールセールクラブ(MWC)

会員制セルフサービス総合大型店。

卸売をうたうが、一般消費者向けのチェーンも多い。

会費収入による固定安定的な収入を得られるため、利幅を限界まで下げながら仕入れ価格も抑制し、安価を実現する。

リミテッドアソートメントストア

市場最低価格帯の徹底という点からハードディスカウンター、余分な要素を排除したローコスト出店・運営を目指すボックスストア(簡素で出荷箱ごとに陳列する)とも呼ばれる食品主力総合フォーマット。

扱いアイテム数を限定した店。アイテム限定店。

手間のかかる生鮮食品をほとんど扱わず、一般食品と日用消耗品の売れ筋(必需度の高い、回転の早い商品)に絞って揃えている。

売場面積150~400坪だが、強力な自社開発製品の商品力と出店力を備え、欧米では大型食品総合店からシェアを奪っている。日本ではあまりまだ見られない。

アウトレットストア

メーカーの直売店の場合は、ファクトリー・アウトレット・ストアとも呼ばれる。

デパートメントストアなどの処分品店の場合は、単にアウトレットストアと呼ばれる。

ウェアハウスストア

1980年代に、米国で台頭した低価格を志向した倉庫型店。

売場面積1,000坪以上、粗利率15%以下で、NB(ナショナル・ブランド)商品を2~3割引以上で販売する。

コンセッショナリー・チェーン

大型総合店の売場内に、100坪未満の売場を借りる専門店のチェーン。

店名を出さない場合に、コンセッショナリー・チェーンと呼ぶ。

ブランド・看板を出さない店舗内店舗。

スーパー・ウェアハウス・ストア(SWS)

スーパースーパーマーケット(SSM)をさらに大型にして、NB(ナショナル・ブランド)商品を3~4割引きで販売する。

OPS(オフ・プライスド・ストア)の一種。

粗利率は12~15%。食品主力の倉庫型大型安売店で、売場面積は1,400~3,000坪の1階平屋建てが多い。

ライフスタイルストア

ある一つのライフスタイル(個人の生き方、生活様式)やテイスト(趣向)に特定した品揃え、雰囲気の店。

一般には、生活雑貨店とも呼ばれる。

ホームセンターなどの住関連商品が縦割りの品揃え(カーテン、カーペット、床材など)であるのに対して、ライフスタイルストアは横の機軸(独自のスタイルやテイスト)のカテゴリーで品揃えしているのが差別化要因になる。

参考リンク

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