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新ハンザ同盟(New Hanseatic League)

新ハンザ同盟(New Hanseatic League) 分類する

概要

新ハンザ同盟(New Hanseatic League)は、ハンザ2.0としても知られ、オランダが主導する欧州連合(EU)内の小国連合で、北欧やバルト3国などから構成されている。2018年2月にオランダアイルランド、北欧のうち3か国(デンマーク、スウェーデン、フィンランド)とバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の欧州連合財務大臣によって、2ページの基礎文書に署名することで設立された。

この文書では「欧州連合の経済通貨同盟(EMU)の構造に関する議論における共通の見解と価値観」が定められている。この名前は、16世紀まで続いた北欧の商業および防衛同盟であるハンザ同盟に由来している。

新ハンザ同盟の目的は、加盟都市の貿易推進、文化交流、観光誘致である。

新ハンザ同盟の加盟都市は、往年のハンザ同盟の加盟都市であることが原則だが、ハンザ同盟の商館を設置した都市であれば新規加盟も可能とされ、現在では加盟都市は175都市を数えている。

新ハンザ同盟の活動として、ハンザ会議を毎年開催しており、開催地は加盟都市の持ち回りとなっている。会議期間中は中世をしのぶ文化展示や催し物・パレードが行われ、町はお祭りとなる。

設立経緯

13世紀にリューベックをリーダーとする都市ハンザが成立、それまで遍歴商人らによって独自に運営されていた各地の商館も都市ハンザの支配に下るようになる。最終的な決定権は現地の商人ではなく、ハンザ同盟諸都市の代表によって構成されるハンザ会議が下すこととなった。

1648年、三十年戦争の参戦国の間でヴェストファーレン条約(ウェストファリア条約)が結ばれ、ハンザ同盟都市の大半は領邦国家に組み込まれ、ハンザ同盟の存続に終止符を打った。

17世紀以降、バルト海の貿易圏は、スウェーデンとオランダ(ネーデルラント連邦共和国)が主流となっていたが、リューベック、ハンブルク、ブレーメンの3都市の同盟は20世紀まで断続的に存続し、長い間「ハンザ同盟」として活動を続けた。それら三都市は、ドイツ連邦共和国を構成する州・特別市として現在も行政単位として機能している。

1980年にオランダのズヴォレで「新ハンザ同盟」が結成され、311年ぶりにハンザ会議が開催された。この同盟は、ハンザ同盟本来の目的である加盟都市の貿易推進の他に、文化交流・観光誘致も目的とする、現代風の穏やか雰囲気を持つものとなっている。

加盟都市はかつてのハンザ同盟の加盟都市が原則であるが、ハンザ同盟の商館を設置した都市であれば新規加盟も可能とした。折りしも東西冷戦が終結しバルト海の東西を分かっていた政治的障壁が消滅したため、加盟都市は増え現在では175都市を数えている。

ハンザ会議は毎年開催されるが、開催地は加盟都市の持ち回りとなっている。会議とはいっても、実際は文化フォーラムのごときもので、会議期間中は中世をしのぶ文化展示や催し物・パレードが行われ、町はお祭りとなる。

21世紀に入り、欧州連合(EU)における独仏の台頭、南北経済格差、イギリスの離脱といった問題が浮き彫りになった。こうした問題にヨーロッパ北部の中小国家が共同で対応するため、この新ハンザ同盟はオランダを中心に外交面でも存在感を持つようになっている。

現代的意義

このグループは、EU離脱後に志を同じくする英国が欧州の政治の舞台からいなくなることを埋め合わせる方法として団結を狙っている。参加国は、特にサービス部門において、より発展した欧州単一市場(いわゆる資本市場同盟)を望んでいる。

また、彼らは欧州安定メカニズムを完全な欧州通貨基金に発展させ、貿易黒字から貿易赤字のEU加盟国に富を再分配することを望んでいる。フリー・トレード・ヨーロッパを含む多くのシンクタンクがこの政策アプローチを支持する。

アイルランドのサイモン・コーヴニー副首相は オランダで行った演説で、同盟国間の協力は中東和平プロセスやEUとアフリカの関係など外交政策にも及ぶ可能性があると示唆した。北欧諸国をあまりに密接なグループにまとめることで、新ハンザ同盟がヨーロッパの既存の南北の政治的分裂を悪化させるのではないかと懸念する声もある。

最近では、非公式の場では財政的に保守的なEU諸国のグループ「倹約四か国」(オランダ、オーストリア、スウェーデン、デンマーク)の存在感が取り沙汰されることも増えた。これは新ハンザ同盟加盟国の一部とオーストリアで構成されている。

2018年11月、新ハンザ同盟は、欧州安定メカニズムに国家予算の精査におけるより大きな役割を与えるよう求めた。この計画では、援助を提供する前に、国家政府の債務持続可能性と返済能力の正式なテストが行​​われる。この呼びかけは、欧州委員会がイタリアの2019年度予算を拒否した後に行われ、同盟の8か国すべてが署名し、チェコ共和国とスロバキアの2か国が署名した。

参加国

時期状況メンバーシップ
2018.2創設デンマーク、エストニア、フィンランド、アイルランド、ラトビア、リトアニア、オランダ、スウェーデン

デンマーク王国
Kingdom of Denmark

  • 国土面積は、43,094km2 (九州とほぼ同じ)で世界130位、グリーンランドとフェロー諸島を加えると 2,220,093km2 で第13位、人口は579万人(兵庫県とほぼ同じ)で世界112位
  • 立憲君主制、議院内閣制、一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界37位、購買力平価(PPP)で世界57位

エストニア共和国
Republic of Estonia

  • 国土面積は、45,226km2 (日本の約9分の1)で世界129位、人口は133万人で世界151位
  • 共和制、大統領は議会によって選出、議会(リーギコグ)の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界102位、購買力平価(PPP)で世界112位
エストニア共和国 Republic of Estonia

●首都
タリン

フィンランド共和国
Republic of Finland

  • 国土面積は、338,431km2 (日本よりやや小さい)で世界65位、人口は554万人で世界114位
  • 共和制で大統領が国家元首、2000年のフィンランド基本法制定及び2012年の改正によって半大統領制体制から議院内閣制へ、エドゥスクンタ(Eduskunta)の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界43位、購買力平価(PPP)で世界60位
フィンランド共和国 Republic of Finland

●首都
ヘルシンキ

アイルランド
Ireland

  • 国土面積は、70,273km2 (北海道の面積の約8割強)で118位、人口は512万人で世界122位
  • 立憲君主制、議院内閣制、一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界28位、購買力平価(PPP)で世界59位
アイルランド Ireland

●首都
ダブリン

ラトビア共和国
Republic of Latvia

  • 国土面積は、64,589km2(日本のおよそ6分の1)で世界121位、人口は189万人で世界148位
  • 共和制、大統領は議会で選出、議会 (サエイマ Saeima) の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界95位、購買力平価(PPP)で世界105位
ラトビア共和国 Republic of Latvia

●首都
リガ

リトアニア共和国
Republic of Lithuania

  • 国土面積は、65,300km2 で世界120位、人口は280万人で世界139位
  • 共和制で国家元首の大統領は直接選挙で選出、セイマス(Seimas)と呼ばれる議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界80位、購買力平価(PPP)で世界87位

オランダ オランダ王国
Kingdom of the Netherlands

  • 国土面積は、41,864km2 (九州とほぼ同じ)で世界131位、人口は1740万7585人で世界66位
  • 立憲君主制、議院内閣制、第二院と第一院の両院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界17位、購買力平価(PPP)で世界28位
オランダ王国 Kingdom of the Netherlands

●首都
アムステルダム(憲法上)
デン・ハーグ(事実上)

スウェーデン王国
Kingdom of Sweden

  • 国土面積は、450,295km2 (日本の約1.2倍)で世界54位、人口は1035万人で世界84位
  • 立憲君主制、1971年に両院制からリクスダーゲン (Riksdagen)の一院制に変わる
  • 名目国内総生産(GDP)は世界23位、購買力平価(PPP)で世界40位

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参考リンク

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