概要
東アフリカ共同体(EAC: East African Community)は、東アフリカのビクトリア湖周辺の7か国、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダン、コンゴ民主共和国で構成される地域間協力機構である。将来的な地域統合を目指している。共同体機構の本拠地は、タンザニアのアルーシャ市にある。2022年3月のコンゴ民主共和国の加盟により、総人口は約2億6,700万人に拡大した。
東アフリカ共同体(EAC) は、単一主権国家の連合体として提案されている東アフリカ連盟設立の予備的な動きである。2010年、EACは共通通貨を創設し、最終的には完全な政治連邦を創設することを目的として、地域内に商品、労働、資本のための独自の共通市場を立ち上げた。2013年、10年以内に通貨同盟を発足させる計画を概説する議定書が署名された。2018年9月に、地域憲法の起草プロセスを開始するための委員会が設立された。
アフリカ連合(AU)には、1991年のアブジャ条約に基づき、地域経済共同体(RECs: the Regional Economic Communities)と呼ばれる8つのサブ地域組織が設定されており、EACはそのうちのひとつである。
地域経済共同体(RECs)は、自由貿易地域、関税同盟、単一市場、中央銀行、共通通貨の創設を目指して経済通貨同盟を確立ことを目的とするアフリカ連合(AU)を構成するアフリカ経済共同体(AEC: African Economic Community )の8つの柱でもある。
- サヘル・サハラ諸国国家共同体(CEN-SAD)
- 東アフリカと南部アフリカの共通市場(COMESA)
- 東アフリカ共同体(EAC)
- 中央アフリカ諸国経済共同体(ECCAS/CEEAC)
- 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)
- 政府間開発機関(IGAD)
- 南部アフリカ開発共同体(SADC)
- アラブ・マグレブ連合(AMU/UMA)
歴史
1961年に設立された東アフリカ共同役務機構(EACSO)を継承して、1967年6月にタンザニアのジュリウス・ニエレレ、ケニアのジョモ・ケニヤッタ、ウガンダのミルトン・オボテが東アフリカ協力条約を締結し、同年12月1日に、東アフリカ共同体(EAC)が発足した。
3国間の共同市場の拡大・強化、経済協力の促進、運輸通信、金融、経済計画、財務、企業などの面での協力などを目的としていた。
タンザニアのアルーシャに本部と事務局が設置され、機構として3国大統領で構成する東アフリカ最高委員会のほか、東アフリカ議会、共同市場理事会、共同市場裁判所などがある。
ザンビア、エチオピア、ソマリア、ブルンジが加盟を申請したこともあったが果さず、1971年のウガンダにおけるアミン政権登場以後、加盟3か国間の関係が悪化、ケニアがタンザニアやウガンダを上回る議決権を求めたことで協力関係が完全破綻し、1977年6月30日にケニアが引揚げた。
1978年にはウガンダとタンザニアが戦争状態(ウガンダ・タンザニア戦争)となり、3か国の決裂は決定的となり、東アフリカ共同体は一旦事実上解体した。
1980年にタンザニアは自らの主導するフロントライン諸国(FLS)とともに南部アフリカ開発調整会議(SADCC)を設立し、東アフリカに重きを置かなくなった。
その後、地域の情勢が安定したことから、域内の政治、経済、社会、文化、安全保障、司法といった広範な分野での協力を目的として、1993年に3か国は「東アフリカ協力のための常設三国委員会」を設置することに合意し、さらに1999年には東アフリカ共同体設立のための条約に署名、2000年7月7日に同条約が発効することで、東アフリカ共同体がケニア、タンザニア、ウガンダの3か国により再結成され、再びタンザニアのアルーシャに本部を置いた。
2005年には関税同盟が発足、2007年7月1日にはルワンダ、ブルンジが正式加盟し、計5か国に拡大した。その後、スーダンと南スーダンの2か国も加盟申請し、このうちスーダンは2011年11月30日に申請が否決された。一方の南スーダンの申請についてはウガンダ、ケニア、ルワンダが支持を表明、2016年3月2日に南スーダンの加盟が承認され、2016年9月5日に正式加盟した。
2008年10月22日、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)、南部アフリカ開発共同体(SADC)とにアフリカ自由貿易地域を創設、加盟国を含む自由貿易地域の拡大に合意した。
2022年3月29日にコンゴ民主共和国の加盟が承認、2022年7月11日に正式加盟、現在の7か国となった。
2023年1月、今後4年以内に単一の通貨を発行することを決定した。加盟国の閣僚評議会には、東アフリカ通貨研究所の設置場所と、単一通貨の発行のためのロードマップの確立が求められている。
加盟国
年月 | 状況 | 加盟国 |
---|---|---|
1967.6 | 結成 | ケニア、タンザニア、ウガンダ |
1977.6.30 | 脱退 | ケニア |
2000.7.7 | 再結成 | ケニア、タンザニア、ウガンダ |
2007.7.1 | 加盟 | ルワンダ、ブルンジ |
2016.9.5 | 加盟 | 南スーダン |
2022.7.11 | 加盟 | コンゴ民主共和国 |
ケニア共和国
Republic of Kenya
- 国土面積は580,367km2(日本の約1.5倍)で世界49位、人口は5377万人で世界27位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で内閣の長、2013年より二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界61位、購買力平価(PPP)で世界73位
●首都
ナイロビ
タンザニア連合共和国
United Republic of Tanzania
- 国土面積は945,087km2(日本の約2.5倍)で世界30位、人口は6,385万人で世界23位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で首相と閣僚を任命、閣僚は議員でなければならない、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界71位、購買力平価(PPP)で世界74位
●首都
ダルエスサラーム
ウガンダ共和国
Republic of Uganda
- 国土面積は236,040km2(ほぼ本州大)で世界80位、人口は4,574万人で世界32位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で首相・閣僚を任命、一院制、儀礼的な5つの地方王国が併存する
- 名目国内総生産(GDP)は世界92位、購買力平価(PPP)で世界88位
●首都
カンパラ
ルワンダ共和国
Republic of Rwanda
- 国土面積は26,338km2で世界144位、人口は1295万人で世界75位、アフリカで最も人口密度が高い
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で内閣の長、上院・下院の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界138位、購買力平価(PPP)で世界139位
●首都
キガリ
ブルンジ共和国
Republic of Burundi
- 国土面積は27,830km2で世界147位、人口は1189万人で世界79位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で首相と閣僚を任命、上院と国民議会(下院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界159位、購買力平価(PPP)で世界156位
南スーダン共和国
The Republic of South Sudan
- 国土面積は619,745km2(日本の約1.7倍)で世界45位、人口は1119万人で世界83位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、暫定国民立法議会と全州評議会の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界153位、購買力平価(PPP)で世界133位
●首都
ジューバー
コンゴ民主共和国
Democratic Republic of the Congo
西隣のコンゴ共和国とは別の国、旧名はザイール共和国
- 国土面積は2,345,410km2 で世界11位、人口は1億841万人で世界14位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、半大統領制で最大与党から大統領が首相を任命、元老院(上院)・国民議会(下院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界86位、購買力平価(PPP)で世界98位
●首都
キンシャサ特別州
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