概要
メラネシアン・スピアヘッドグループ(MSG: Melanesian Spearhead Group)とは、1986年に、メラネシアの4つの独立国と1つの海外領土における独立派政党連合によって設立された政府間協力組織である。

加盟する独立国・海外領土は、フィジー、パプアニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツ、フランスの海外領土であるニューカレドニアの「カナックと社会主義民族解放戦線」である。2015年6月、インドネシアが準加盟国として承認された。
メラネシアは、ミクロネシア、ポリネシアと並ぶ大洋州/オセアニアにおける3つのサブエリアのひとつである。概ね赤道以南、東経180度以西にある島々の総称である。
フランスの海軍提督デュルヴィルが、この地域の民族的・地理的分類のために、ポリネシアやミクロネシアと区別するためにメラネシアを使い始めた。現在では文化的・言語的・遺伝的多様性を正しく反映していないことから、この民族区分は不正確とされている。しかし、パプアニューギニア、フィジー、ソロモン諸島、バヌアツ、フランス領ニューカレドニアなどの国民は「メラネシア」という言葉を、植民地の歴史を共有し、共通した地域問題を抱える彼ら自身を表現するものとして使用を続けている。

MSGは、1986年に首脳会議として設立された。2007年3月23日、メンバーはメラネシア・スピアヘッド・グループ設立協定に署名し、国際法の下でグループを正式化した。本部はバヌアツのポートビラにある。
各種情報ソースでは、日本語翻訳として、「メラネシア先鋒グループ」という表記がみられるが、「Spearhead」は、たしかに原義は「槍の穂先」で、「先鋒」は誤訳とまでは言わないが、比喩的な意味では「先駆者」や「先頭に立つ人」「一番槍(を務める人/もの)」として用いられる。
「メラネシア先駆者グループ」辺りが日本語訳として相応しいかもしれない。
目的
MSGは、メラネシア諸国の経済成長を促進することを目的として結成された。
- 加盟国間の貿易、メラネシアの文化、伝統、価値観、主権平等の交流を促進し、強化する
- 加盟国間の経済・技術協力を促進する
- 加盟国の政策を整合させ、経済成長、持続可能な開発、良好な統治、安全保障といった加盟国共通の目標達成を推進
「メラネシア・スピアヘッド・グループ貿易協定」は、メラネシアというサブエリアにおける特恵貿易協定である。貿易関係を通じて経済発展を促進および加速し、定期的な協議と協定の状況の見直しのための政治的枠組みを提供し、輸出入の両面での貿易がメラネシア連帯の真の精神で行われ、最恵国待遇(Most-Favoured-Nation Treatment = MFN 原則)( MFN ) ベースで行われることを保証する目的で締結された。
協定の進捗と展開を検討するために、各国政府間で定期的に交渉が行われている。2005年の改訂後、協定は180項目を課税免除の対象に設定した。
活動経緯
- 1986年 パプアニューギニア、バヌアツ、ソロモン諸島の3つのメラネシア太平洋島嶼国の間でMSG構想
- 1993年 MSG貿易協定がパプアニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツによって調印
- 1997年4月16日 第6回MSG貿易経済当局者会議で、フィジー代表団が協定に加入する意向を示す
- 1997年 MSG首脳サミットでフィジー加盟が承認
- 1998年4月14日 フィジーがMSG貿易協定の正式メンバーとなる
- 2000年11月29日-30日 第9回 MSG貿易経済担当者会議にて、MSG製品品目の関税見出しを4桁から6桁に拡張することにより通関時の製品識別の曖昧さが解消(この協定はGATT に準拠、世界貿易機関(WTO) 地域協定委員会によって承認され、GATT/WTO 協定第 24 条の要件に適合)
- 2008年5月 MSG事務局が設立、バヌアツのポートビラに常設事務所を開設
- 2015年6月24日-26日 ソロモン諸島のホニアラで開催された加盟国首脳会議で、インドネシアが準加盟国に昇格し、西パプア地域の公式代表となる(一方で、西パプア解放統一運動(ULMWP)はオブザーバーの地位に留まった)
加盟国・地域
属性 | メンバーシップ |
---|---|
正加盟 | フィジー、パプアニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツ、仏領ニューカレドニアの「カナックと社会主義民族解放戦線(FLNKS)」 |
準加盟 | インドネシア |
オブザーバー | 東ティモール、西パプアの「西パプア解放統一運動(ULMWP)」 |
フィジー共和国
Republic of Fiji
- 国土面積は18,274km2(四国とほぼ同じ大きさ)で世界155位、人口は943,737人で世界163位
- 共和制、大統領を元首に戴く象徴大統領制、首相が行政権を掌握する議院内閣制、一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界156位、購買力平価(PPP)で世界155位
●首都
スバ
パプアニューギニア独立国
Independent State of Papua New Guinea
- 国土面積は462,840km2(日本の約1.25倍)で世界53位、人口は895万人で世界97位
- 立憲君主制、国家元首はイギリスの国王(または女王)が兼任するパプアニューギニア国王、議院内閣制、一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界103位、購買力平価(PPP)で世界141位
●首都
ポートモレスビー
ソロモン諸島
Solomon Islands
- 国土面積は28,450km2(岩手県の約2倍)で世界140位、人口は687,000人で世界162位
- 英連邦王国の一つで立憲君主制、首相が行政権を掌握する議院内閣制、一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界170位、購買力平価(PPP)で世界178位
●首都
ホニアラ
ニューカレドニア
Nouvelle-Calédonie
- 国土面積は18,575km2で世界156位、人口は275,355人
- フランスの海外領土(collectivité sui generis、特別共同体)
- 名目国内総生産(GDP)は購買力平価(PPP)で111億ドル、一人当たりで38,800ドル
●首都
ヌメア
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参考リンク



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