- 概要
- 原加盟国
- イエメン共和国
Republic of Yemen
الجمهورية اليمنية - イラク共和国
Republic of Iraq
جمهورية العراق - エジプト・アラブ共和国
Arab Republic of Egypt - サウジアラビア王国
Kingdom of Saudi Arabia - シリア・アラブ共和国
Syrian Arab Republic
الجمهورية العربية السورية - ヨルダン・ハシミテ王国
Hashemite Kingdom of Jordan
المملكة الأردنيّة الهاشميّة - レバノン共和国
Lebanese Republic
الجمهورية اللبنانية
- イエメン共和国
- 新規加盟国
- リビア国
State of Libya - スーダン共和国
The Republic of the Sudan - モロッコ王国
Kingdom of Morocco - チュニジア共和国
Republic of Tunisia - クウェート国
State of Kuwait - アルジェリア民主人民共和国
People’s Democratic Republic of Algeria - アラブ首長国連邦
United Arab Emirates - バーレーン王国
Kingdom of Bahrain - カタール国
State of Qatar - オマーン国
Sultanate of Oman - モーリタニア・イスラム共和国
Islamic Republic of Mauritania - ソマリア連邦共和国
Federal Republic of Somalia - パレスチナ国
Palestine
دولة فلسطين - ジブチ共和国
Republic of Djibouti - コモロ連合
Union of Comoros
- リビア国
- あわせて読みたい
- 参考リンク
概要
アラブ連盟(League of Arab States:LAS)とは、アラブ22か国・地域が加盟する地域国際機関である。1945年3月22日に当時のアラブ独立国7か国により設立、第二次世界大戦後のアラブ諸国の独立に伴い加盟国数が拡大、1973年にモーリタニアが加盟したのを皮切りに、それまでアラブ諸国とはみなされていなかったジブチやソマリア、コモロなどの加盟が認められていった。本部(常設事務局)はカイロ(エジプト)にある。
アラブ連盟の主な目標は、「加盟国間の関係を強化し、加盟国間の協力を調整し、加盟国の独立と主権を守り、アラブ諸国の問題と利益を総合的に考慮すること」である。
連盟発足後すぐに勃発したイスラエルとの対立および数度の中東戦争において連盟は結束して行動したものの、連盟自体の強制力は小さなものに限定され、強力なリーダーシップを発揮するように機能はさせていない。
該当エリアにおける地域統合でも、湾岸協力会議(GCC)やアラブ・マグレブ連合(AMU/UMA)など、より狭い地域での統合を目指す動きの方が活発となっている。
アラブ連盟は、アラブ連盟教育文化科学機構(ALECSO)やアラブ経済統一評議会(CAEU)の経済社会理事会などの機関を通じて、アラブ世界の利益を促進するための政治、経済、文化、科学、社会プログラムを推進する活動をメインとする。
アラブ連盟では、加盟国が政策を調整し、共通の関心事についての研究や委員会を編成し、国家間の紛争を解決することを目指し、経済統合を促進する多くの画期的な文書の起草と締結のプラットフォームとしての役割を果たしてきた。一例として、アラブ共同経済行動憲章があり、これは地域の経済活動の原則を概説している。
そのため、アラブ連盟理事会では各加盟国が1票を持ち、決定は賛成票を投じた国のみに拘束力を持つ形になっている。
経緯
20世紀に入りアラブ民族主義の高まりを受けて、アラブ諸国家間の地域協力機構の設立が叫ばれるようになった。第二次世界大戦が始まると、アラブ諸国が枢軸国側につくことを避けるために、英国のイーデン外相(当時、第64代首相)がこの構想を主張しはじめた。これにエジプトのムスタファ・エル・ナハス首相は積極的に賛同し、連盟設立をリードした。
しかし、これに応じたアラブ諸国は、共和制や君主制等、主張する政体が不統一で、主権放棄にも抵抗感を示したため、緩やかな国家間の協力機構としてスタートさせることになった。
1947年11月に国際連合においてパレスチナ分割決議が採択されると、アラブ連盟はこれに反対するも、1948年5月14日に英国軍がパレスチナを撤退すると、同日この地域のユダヤ人がイスラエルの独立を宣言、レバノン、シリア、トランスヨルダン、イラク、エジプトのアラブ連盟5か国とイスラエルの間で第一次中東戦争が勃発、翌年には事実上の敗北という形で停戦協定を結ばざるを得なくなった。
第一次中東戦争で連帯を強められなかった経験を踏まえ、アラブ連盟内でより強い統合を求める動きが始まった。1950年、共同防衛理事会とその補助を行う常任軍事委員会が連盟に設立、1951年にはダマスカスにイスラエル・ボイコット事務局が設立された。
1978年3月のキャンプ・デービッド合意にて、エジプトのサダト大統領がイスラエルとの停戦と相互承認を締結したことを受け、同年に開かれたアラブ首脳会議で主導国であるにもかかわらず、エジプトがアラブ連盟を追放されてしまい、アラブ連盟の本部もブルギーバ政権下のチュニジアのチュニスへと移転した。
その後、イラン・イラク戦争、イラン革命、第1次インティファーダなどへの対応を通じて、エジプトが加盟各国との関係改善に努めた結果、1989年5月にエジプトが連盟に復帰、本部も再びカイロへと戻った。
組織
1963年から開催されているアラブ首脳会議は、2000年に正式にアラブ連盟の会議となった。
1979年3月にエジプトとイスラエルの単独和平によって盟主であったエジプトが連盟から追放され、本部は一時チュニジアのチュニスに移っていたが、1989年5月にエジプトが連盟に復帰すると、本部もカイロへと戻った。
これにより、歴代の7人の事務局長は、エジプト追放期のチュニジア人一人を除いて全員エジプト人である。
- 最高意思決定機関:
- 閣僚級理事会(外相級、議長国持ち回り)
- 定例理事会(年2回)
- 緊急理事会(加盟国の要請)
- アラブ首脳会議(年1回)
- 閣僚級理事会(外相級、議長国持ち回り)
- 社会経済理事会(高級実務者級)
- 専門閣僚級会合(保健、水、電力等15分野別に個別案件・議題)
- 事務局
- 事務総長(カイロに本部)
- 国際政治局
- パレスチナ・アラブ被占領地局
- 経済局
- アラブ・国家安全保障局
- 社会局 等
- 外部機関(分野別の閣僚級会合での決議に基づく)
- アラブ科学技術海運アカデミー
- アラブ地震・自然災害リスク防止センター 等
原加盟国
時期 | 状況 | メンバーシップ |
---|---|---|
1945.3.22 | 創設 | イエメン(加盟時は北イエメン)、イラク、エジプト、サウジアラビア、シリア、ヨルダン、レバノン |
1953 | 新規加盟 | リビア |
1956 | 新規加盟 | スーダン |
1958 | 新規加盟 | モロッコ、チュニジア |
1961 | 新規加盟 | クウェート |
1962 | 新規加盟 | アルジェリア |
1967 | 新規加盟 | 南イエメン(北イエメンと合併に伴い消滅) |
1971 | 新規加盟 | アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、カタール、オマーン |
1973 | 新規加盟 | モーリタニア |
1974 | 新規加盟 | ソマリア |
1976 | 新規加盟 | パレスチナ |
1977 | 新規加盟 | ジブチ |
1979.3 | 資格停止 | エジプト |
1989.5 | 復帰 | エジプト |
1993 | 新規加盟 | コモロ |
2011.2.22 | 資格停止 | リビア(2011.8.27に、部分的に承認された暫定政府である国民評議会の代表を信任することで加盟資格が回復) |
2011.11.16 | 資格停止 | シリア |
2023.5 | 復帰 | シリア |
イエメン共和国
Republic of Yemen
الجمهورية اليمنية
- 国土面積は、527,970km2(日本の約1.5倍弱)で世界48位、人口は30,491,000人で世界51位
- 共和制、国家元首は国民の直接選挙により選出される大統領、首相は大統領により任命、閣僚評議会(内閣)メンバーは、首相の助言に基づき大統領が任命、で、諮問評議会と代議院の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界90位、購買力平価(PPP)は世界80位
イラク共和国
Republic of Iraq
جمهورية العراق
- 国土面積は、437,072km2(日本の約1.2倍)で世界57位、人口は40,222,503人で世界36位
- 共和制、国家元首は共和国大統領および2人の副大統領で構成される大統領評議会(スンナ派 、シーア派、クルド人から各1名ずつが立法府により選出)、議院内閣制、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界52位、購買力平価(PPP)は世界36位
●首都
バグダード
エジプト・アラブ共和国
Arab Republic of Egypt
- 国土面積は1,010,408km2(日本の約2.7倍)で世界29位、人口は1億426万人で世界14位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、半大統領制、代議院(下院)・元老院(上院)の両院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界33位、購買力平価(PPP)で世界22位
●首都
カイロ
サウジアラビア王国
Kingdom of Saudi Arabia
- 国土面積は2,149,690km2 で世界13位、人口は3481万4000人で世界41位
- 中東に位置するサウード家による絶対君主制国家、ワッハーブ主義に基づく厳格なイスラム教義を国の根幹としており政教一致体制
- 世界2位の原油埋蔵量を持ち、世界最大級の石油輸出国
●首都
リヤド
シリア・アラブ共和国
Syrian Arab Republic
الجمهورية العربية السورية
- 国土面積は、185,180km2(日本の約半分)で世界86位、人口は21,563,800人で世界60位
- 共和制、国家元首は大統領、首相と内閣に相当する閣僚評議会のメンバーは大統領が任命、人民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界67位、購買力平価(PPP)は世界68位
●首都
ダマスカス
ヨルダン・ハシミテ王国
Hashemite Kingdom of Jordan
المملكة الأردنيّة الهاشميّة
- 国土面積は、92,300km2(日本の約4分の1)で世界110位、人口は1020万3000人で世界88位
- 立憲君主制、国王(マリク)が元首、国王は内閣と共に行政権を執行、上院(元老院)と下院(代議院)の両院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界87位、購買力平価(PPP)は世界86位
●首都
アンマン
レバノン共和国
Lebanese Republic
الجمهورية اللبنانية
- 国土面積は、10,452km2(岐阜県程度)で世界161位、人口は5,296,814人で世界122位
- 共和制、国家元首は大統領で国民議会により選出、大統領が首相を含む閣僚を任命、国民議会の一院制、大統領はキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンナ派、国会議長はイスラム教シーア派から選出されるトロイカ体制が慣例
- 名目国内総生産(GDP)は世界86位、購買力平価(PPP)は世界84位
●首都
ベイルート
新規加盟国
リビア国
State of Libya
- 国土面積は1,759,540km2(日本の約4.6倍)で世界17位、人口は699万人で世界104位
- 内戦中だが2021年に代議院と国民合意政府との合意により、国民統一政府が発足、元首は大統領評議会議長、代議院の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界90位、購買力平価(PPP)で世界92位
●首都
トリポリ
スーダン共和国
The Republic of the Sudan
- 国土面積は1,846,972km2(日本の約5倍)で世界16位、人口は4796万人で世界30位
- 共和制、2019.4.11に軍事クーデター、2019.8.21、暫定軍事評議会の代わりに11カ国からなる主権評議会議長が国家元首、立法評議会を設立準備中
- 名目国内総生産(GDP)は世界96位、購買力平価(PPP)で世界69位
●首都
ハルツーム
モロッコ王国
Kingdom of Morocco
- 国土面積は446,550km2(日本の約1.2倍、西サハラ除く)で世界57位、人口は3691万人で世界40位
- 立憲君主制、国王が国家元首、議院内閣制、上院・下院の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界位、購買力平価(PPP)で世界55位
●首都
ラバト
チュニジア共和国
Republic of Tunisia
- 国土面積は163,610km2(日本の約5分の2)で世界89位、人口は1182万人で世界77位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で行政府の長、首相は大統領が任命、人民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界89位、購買力平価(PPP)で世界76位
●首都
チュニス
クウェート国
State of Kuwait
- 国土面積は17,820km2(四国とほぼ同じ)で世界152位、人口は427万人で世界127位
- 首長制(憲法によって立憲君主制が定めらているが、実態はサバーハ家ジャービル家)の一族独裁による事実上の絶対君主制)、首長・国民議会・内閣があるが、首長が国民議会の解散権と内閣任命権を持つ
- 名目国内総生産(GDP)は世界位、購買力平価(PPP)で世界52位
●首都
クウェート
アルジェリア民主人民共和国
People’s Democratic Republic of Algeria
- 国土面積は2,381,740km2(アフリカ最大)で世界10位、人口は4385万人で世界34位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、大統領が首相を任命、上院・下院の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界56位、購買力平価(PPP)で世界33位
●首都
アルジェ
アラブ首長国連邦
United Arab Emirates
- 国土面積は83,600km2(日本の約4分の1。北海道程度)で世界113位、人口は937万人で世界91位
- 7首長国による連邦制、各首長国は世襲の首長による絶対君主制、最高意思決定機関は連邦最高評議会(FSC、Federal Supreme Council)、国家元首である大統領、および首相を兼任する副大統領はFSCにより選出、実際には大統領はアブダビ首長のナヒヤーン家、副大統領はドバイ首長のマクトゥーム家が世襲により継ぐのが慣例化
- 名目国内総生産(GDP)は世界34位、購買力平価(PPP)で世界32位
●首都
アブダビ
バーレーン王国
Kingdom of Bahrain
- 国土面積は758km2(宮城県仙台市とほぼ同じ大きさ)で世界177位、人口は154万人で世界155位
- 2002年より立憲君主制、首相は国王が任命、評議院と代議院の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界94位、購買力平価(PPP)で世界96位
●首都
マナーマ
カタール国
State of Qatar
- 国土面積は11,427km2(秋田県よりもやや狭い)で世界164位、人口は251万人で世界143位
- サーニー家による首長制、行政権は首長と首相が持つ、諮問評議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界55位、購買力平価(PPP)で世界50位
●首都
ドーハ
オマーン国
Sultanate of Oman
- 国土面積は309,500km2(日本の約85%)で世界69位、人口は511万人で世界120位
- 国王(スルタン)による絶対君主制、国王が首相を任命、国家評議会(上院)、諮問評議会(下院)による二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界73位、購買力平価(PPP)で世界65位
●首都
マスカット
モーリタニア・イスラム共和国
Islamic Republic of Mauritania
- 国土面積は1,030,700km2(日本の約2.7倍)で世界28位、人口は416万人で世界129位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界147位、購買力平価(PPP)で世界144位
●首都
ヌアクショット
ソマリア連邦共和国
Federal Republic of Somalia
- 国土面積は637,657km2(日本の約1.8倍)で世界45位、人口は1239万人で世界78位
- 連邦共和制、大統領が国家元首、首相は議会の承認を得て大統領によって任命、上院(上院)とソマリア国民議会(下院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は(不明)、購買力平価(PPP)で世界148位
●首都
モガディシュ
パレスチナ国
Palestine
دولة فلسطين
- 国土面積は、6,020km2で世界164位、人口は5,483,450人で世界119位
- 共和制、半大統領、国家元首は大統領、首相は大統領と与党から任命、パレスチナ立法評議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界125位、購買力平価(PPP)は世界145位
ジブチ共和国
Republic of Djibouti
- 国土面積は23,200km2(四国の約1.3倍)で世界146位、人口は99万人で世界157位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、首相と閣僚は大統領が任命、一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界158位、購買力平価(PPP)で世界166位
●首都
ジブチ市
コモロ連合
Union of Comoros
- 国土面積は2,235km2(ほぼ東京都大)で世界169位、人口は85万人で世界164位
- 連邦共和制、3島から輪番制で選出される大統領が国家元首、首相職は2002.4.15に廃止、コモロ連合議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は11億7,900万ドル、購買力平価(PPP)で26億1,900万ドル
●首都
モロニ
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