概要
リプタコ・グルマ当局(ALG)は、マリ、ニジェール、ブルキナファソといった西アフリカ内陸部(サヘル地域)の隣接地域の開発を目指す地域組織である。
- 英語:Liptako–Gourma Authority
- 仏語:Autorité du Liptako-Gourma(ALG)
リプタコ・グルマ当局(ALG)の正式名称はリプタコ・グルマ地域統合開発庁またはリプタコ・グルマ州統合開発庁とも訳される。1970年12月3日に設立され、本部はブルキナファソのワガドゥグーにある。
ALG は、調和のとれた統合的開発のための地域枠組みの中で、鉱業、エネルギー、水力資源、農牧資源に対する開発を促進することを目指し、❶食糧安全保障、❷地域の開放、❸環境保護、❹社会開発という 4 つの具体的な目標を追求している。
管轄エリア
ALGの管轄地域は3か国の国境地域に相当し、ブルキナファソの19州、マリの4行政区、ニジェールの2県と都市コミュニティを含む37万km2に及ぶ面積をカバーしている。
これは加盟3国の総面積の19.29%にあたり、ブルキナファソの国土面積の57.44%、マリの国土面積の20.64%、ニジェールの国土面積の9.70%に相当する。2002年統計では 1,650 万人の住民がいるとされ、これは3か国の総人口の45%に相当する。
この地域はサヘル地域に属し、主要な経済活動は農業と畜産である。この地域はエネルギー、水力、鉱業といった分野で大きな潜在力を秘めているとされるものの、重大な地理的な孤立に悩まされているとされる。
活動経緯
ブルキナファソは政情が不安定で、たびたびクーデタによる政権交代が行われる。武力紛争やテロ活動の増加に伴い、コミュニティが強制退去させられる事態が頻発している。また、この地域における小型武器の違法な拡散、流通および密売は平和と治安に脅威をもたらしており、リプタコ・グルマをサヘルにおける危機の震源地にしていると評される。
こうした現象は、武力紛争の影響や激しさを強めるだけでなく、この地域の国々の経済的、社会的および政治的発展を妨げる不安定さの広がりにもつながっている。長年、安全保障、平和構築、復興および開発への多大な投資にもかかわらず、サヘル地域、特にリプタコ・グルマ地域の治安状況は、紛争が新しい地域へと拡大し続ける中、依然として大きな課題となっている。
2005年4月25-26日にガオ(マリ) で開催された第6回首脳会議で、家畜開発プログラムが開始され、地域獣医学研究所が設立され、その最初の一石が投じられた。3か国の首脳(マリのアマドゥ・トゥマニ・トゥーレ、ブルキナファソのブレーズ・コンパオレ、ニジェールのママドゥ・タンジャ)は、ALGを3か国をカバーする統合経済空間に変えたいという願望を表明した。
ブルキナファソ大統領のブレーズ・コンパオレがリプタコ・グルマ当局の大統領に再任された。
2015年2月、サヘル地域における国境を越えた協力を支援するプロジェクト (ACTS) が、地域の安全の確保と発展の促進を目的にフランスからの資金援助を受けて、当該国である3か国によって開始された。
その最初の介入地域は、ドーリ、ガオ、ティラベリーの町の周囲地域であった。2016年からはこのプロジェクトを支援するために「国境を越えた協力イニシアチブ支援基金」が設立され、G5サヘル諸国(モーリタニア、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、チャドの5か国。サヘル地域で活動するジハディストの封じ込めを目的として、2014年に地域軍事協力の枠組みとして創設)連携してその機能と活動領域の拡大が検討された。
2017年1月24日、3か国は、地域の不安とテロと戦うための合同タスクフォース(共同任務部隊、多国籍軍)を結成することで合意した。このタスクフォースはニジェールの首都ニアメに本部を置き、3か国を代表するリーダーが持ち回りで就任する。タスクフォースは、モーリタニア、チャド、リプタコ・グルマ当局の3か国を含むG5サヘル諸国の多国籍軍の下部組織として創設された。
この動きは、チャド湖流域でボコ・ハラムに対抗するためにチャド、カメルーン、ニジェール、ナイジェリアが2015年に設立した多国籍軍をモデルにしている。
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)がニジェールのクーデターへの介入を脅かす中、武装蜂起や外部からの侵略の脅威に対抗するため、2023年のニジェール危機の最中、2023年9月16日に3か国によってサヘル諸国同盟(AES)として知られる相互防衛協定が結成された。
加盟国
時期 | 状況 | メンバーシップ |
---|---|---|
1970.12.3 | 創設 | マリ、ニジェール、ブルキナファソ |
マリ共和国
Republic of Mali
- 国土面積は1,240,000km2(日本の約3.3倍)で世界23位、人口は2025万人で世界59位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、首相は大統領が任命、閣僚評議会メンバーは、首相が大統領に推薦し任命、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界119位、購買力平価(PPP)で世界114位

●首都
バマコ
ニジェール共和国
Republic of Niger
- 国土面積は1,267,000km2(日本の約3.3倍)で世界21位、人口は2421万人で世界57位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、首相・閣僚は大統領が任命、国民議会の一院制、軍事クーデターにより憲法停止中
- 名目国内総生産(GDP)は世界129位、購買力平価(PPP)で世界138位

●首都
ニアメ
ブルキナファソ
Burkina Faso
- 国土面積は274,200km2(日本の約70%)で世界72位、人口は2090万人で世界58位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で半大統領制、首相は国民議会との協議に基づき大統領が任命、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界116位、購買力平価(PPP)で世界122位

●首都
ワガドゥグー
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