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ボリンジャーバンド TS倍率

ボリンジャーバンド TS倍率 マネー・マーケット
ボリンジャーバンド TS倍率
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使い方

ボリンジャーバンドとは

相場の振れ幅(ボラティリティ)を表す。①足元の価格水準が平均からどれくらい乖離しているか、②足元の相場の荒れ具合(価格変動の激しさ)がどれくらいになっているか分かる。

平均回帰すると予測した場合

価格が上下に激しく動き、それぞれ大きく上下にぶれた後、平均値に戻ってくると考えた場合は、「逆張り」のポジションをとる。

大きく値を伸ばしたら、ショートポジション(空売り、現物売り)、大きく値を下げたら、ロングポジション(信用買い、現物買い)を仕掛ける。

基準値は時と場合によるが、±σ2を上下に突き抜けたときが仕掛けのポイントと一般には言われている。

こうした2つの株価(指標)の値のブレで利益を稼ごうとする投資スタイルを、広義ではシステムトレード、狭義では、ペアトレード、サヤ取りと呼ぶ。

一般的に、平均乖離・平均回帰を狙ったペアトレードに適切な銘柄の選択基準は、相関係数が0.8以上といわれている。

本テンプレートで用いているTOPIXとS&P500の相関係数は、2011年4月1日~2021年3月23日においては、「0.94889」と強い相関関係があることが認められる。

保合い相場から脱したタイミングと見る場合

大きく平均値から上下に乖離した後、そのブレ幅がしばらく大きくなり続ける(ボラティリティー・ブレークアウト)と考えた場合は、「順張り」のポジションをとる。

基準値は時と場合によるが、±σ2を上下に突き抜けたとき、そのまま素直にトレンドに従う判断をする場合が多い。

+2σ を上に突き抜けたら、ロングポジション(信用買い、現物買い)を仕掛け、-2σを下に突き抜けたら、ショートポジション(空売り、現物売り)をとる。

TS倍率

TOPIX(東証株価指数)S&P 500(Standard & Poor’s 500 Stock Index)で割って計算した指標。

\( \displaystyle \bf TS倍率= \frac{TOPIX}{S\&P500}\)

S&P 500(Standard & Poor’s 500 Stock Index)は、ダウ平均株価(Dow Jones Industrial Average)、ナスダック総合指数(NASDAQ Composite Index)等と並び、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出するアメリカ合衆国の代表的な株価指数のひとつ。

2011年8月9日、TS倍率は 0.0904 にまで上昇していた。そこから次第にTOPIXの水準はS&P500に対して減価していき、近年は、0.5前後を推移する長期低下傾向にある。

また、新型コロナが世界を席巻し始めて株式市場に大打撃を与えた2020年4月頃は TOPIX の方が一足早く立ち直ったため、TS倍率は大きく上方乖離したこと、本記事作成時点における直近(2021年3月)は、アメリカの長期金利上昇が S&P 500 に影を落とす一方で TOPIX が日銀によるETF購入が下支えとなり堅調だったため、TS倍率はこの時も上昇傾向にあったことが特筆される。

分子分母を逆にしたものは、「ST倍率」と呼ばれる。

この場合、計算で算出される倍数が大きくなればなるほど、S&P500の相対的パフォーマンスがいいことを示すようになる。

日米の代表的な株価指数同士の比較は、両国の株式市場の相対的なパフォーマンスを知るひとつの指標となる。

TOPIXは、東証1部上場の全銘柄を対象として、各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を合計して計算する。1968年1月4日を基準日として、当時の時価総額を100とした指数で表されている。

S&P500の方も、ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している企業の中から選ばれた代表的な500社の時価総額加重平均型株価指数である。

こちらは、1957年の基準価格は 39.99 となっている。

どちらも、浮動株の時価総額で計算した浮動株基準株価指数であることから、日米両株式市場のパフォーマンスを整合の取れた考え方で比較することができる。

ただし、TOPIXは円貨、S&P500は米ドルで計算されるため、両者の比較には為替変動が影響する。

そのため、米ドル建てのTOPIXや、円貨建てのS&P500の計算・表示も取り上げられることも多い。

類似の株式指数に、日経平均株価(日経225)と、ダウ平均株価(NYダウ)がある。

これらは、算出日の構成銘柄の株価合計÷算出日時点の除数(Divisor)で計算される。

そのため、株式分割などの変更は除数の調整で補正されるものの、採用銘柄の元々の株価の影響が強く出る傾向がある(=値嵩株の影響が大きい)。

特定の値嵩株の影響を受けないという意味で、日経平均株価とNYダウで算出される ND倍率 とは上手く使い分けておきたい。

ND倍率が今後も(これからも)上昇すると考える場合は、日経平均採用銘柄や日経平均に連動するIndex商品をロングポジション(信用買い、現物買い)する。

TS倍率が今後も(これからも)下落すると考える場合は、S&P500構成銘柄やS&P500に連動するIndex商品をロングポジション(信用買い、現物買い)する。

当然、相対する指標にショートポジション(空売り、現物売り)を採ることでも利益を得られる。

なお、TOPIXとS&P500に採用されている銘柄の業種ウェイトの差異から、消費や金融などの景気敏感株など循環株が優位な場合はTOPIXがアウトパフォームし、ハイテクなどグロース株が評価される場合にはS&P500のパフォーマンスが良くなるという分析もある(あくまで一般論としての確認)。

計算ロジック

ボリンジャーバンドは、TS倍率の移動平均線標準偏差の相対的関係を見る。

移動平均値は、このExcelテンプレートでは、日足(毎日の終値)で20日を採用している。

この20日には特別な規則はない。

週休2日制が日本でも一般的になったので、約20日で1か月間の市場が開いている日数の移動平均を見たいので20日にしている。

専門家の中には、移動平均を20日と25日のいずれが適切か議論する方がいらっしゃるが、時系列分析において整合的であるならどちらでも好みの問題ではないかと考える(というのが自分の意見)。

Excel では、AVERAGE関数 を用いている。

株価も、株価から計算されるTOPIX・S&P500、その両者から求められるTS倍率も、日々刻々の値動きは正規分布に従って変動するという仮定を持ったシミュレーションとなる。

バンドは、標準偏差から、-3σ、-2σ、-1σ、+1σ、+2σ、+3σ それぞれのラインをとって設定する。

σ(シグマ)は、Excel では、STDEVP.P関数 を用いて計算する。2σはσの値を2倍、-3σはσの値を-3倍して求める。

何の標準偏差を得ようと計算するかというと、上記で求めた20日移動平均値の標準偏差である。

これは、過去20日分の移動平均値をまとめて STDEVP.P関数 に放り込むことで計算することができる。

これまでの過去トレンドの統計的分析から、価格(TS倍率)は、±2σの間に95%は収まっていた。

この ±2σ を上下に突き抜けることは、確率的に残りの5%というレアなケースにあたる。

これが、やがて平均値に回帰すると考えれば逆張り、これが新しいトレンドを生むと考えれば、順張りの投資行動のサインとなる。

こういう確率的思考が、ボリンジャーバンドを用いた投資判断の統計的バックグランドに存在する。

Excel テンプレートの構成と使い方

本サイトからダウンロードできるExcelテンプレートは、ひとつのExcelブックからなり、8つのタブ(シート)から構成されている。

時系列データ

元データの入力や貼り付けを行うタブ

D列より右は非表示になっている

グラフ元_2011_5_2

2011年5月2日以降のTS倍率の長期グラフを描画するためのデータを作成

「時系列データ」タブに設定されている値から、下記の値を計算している

❶TS倍率
❷移動平均(20日)
❸標準偏差
❹+3σ
❺+2σ
❻+1σ
❼-1σ
❽-2σ
❾-3σ
❿TOPIX-指数(2011/5/2の値を100)
⓫S&P500-指数(2011/5/2の値を100)
⓬標準偏差(20日移動平均)
⓭相関係数-累計(2011/5/2から当日迄)
⓮相関係数-移動(20日移動平均)
⓯サヤ(TS倍率 - 20日移動平均値)
⓰サヤ+(サヤがプラスになった値)
⓱サヤ-(サヤがマイナスになった値)

これらがグラフを構成する要素になる

ボリンジャーバンド 2011_5_2

2011年5月2日以降におけるTS倍率のボリンジャーバンドの長期グラフが描画されている

グラフは、グラフシートを用いずにオブジェクトにしてタブ(シート)に張り付けている。

これは、縦幅・横幅を任意で縮尺・拡大するなど、加工の自由度を維持するためである

相関係数推移 2011_5_2

2011年5月2日以降におけるTS倍率の累積・移動平均の相関係数と標準偏差の長期グラフが描画されている

グラフは、グラフシートを用いずにオブジェクトにしてタブ(シート)に張り付けている。

これは、縦幅・横幅を任意で縮尺・拡大するなど、加工の自由度を維持するためである

散布図 2011_5_2

2011年5月2日以降におけるTS倍率の標準偏差と相関係数による散布図が描画されている

グラフは、グラフシートを用いずにオブジェクトにしてタブ(シート)に張り付けている。

これは、縦幅・横幅を任意で縮尺・拡大するなど、加工の自由度を維持するためである

グラフ元_2020_1_6

2020年1月6日以降におけるTS倍率のグラフを描画するためのデータを作成

項目は、「グラフ元_2011_5_2」と同じ

これらがグラフを構成する要素になる

ボリンジャーバンド 2020_1_6

2020年1月6日以降におけるTS倍率のボリンジャーバンドが描画されている

グラフは、グラフシートを用いずにオブジェクトにしてタブ(シート)に張り付けている。

これは、縦幅・横幅を任意で縮尺・拡大するなど、加工の自由度を維持するためである

サヤ推移 2020_1_6

2020年1月6日以降におけるTS倍率のサヤチャートが描画されている

グラフは、グラフシートを用いずにオブジェクトにしてタブ(シート)に張り付けている。

これは、縦幅・横幅を任意で縮尺・拡大するなど、加工の自由度を維持するためである

サヤは、TS倍率からTS倍率の20日移動平均を差し引いたものである

使用上のコツと注意

日々のデータ更新について

あえて自動化せずに、日別データは入力またはファイル更新が必要にしてある。
「時系列データ」タブに新規のデータが追加されたら、「グラフ元」タブで、対応する行を追加する。
対応行の追加は、それまで記述されている行をコピペするだけである。

グラフの表示日付

「グラフ」タブにて、「データの選択(E)」-「グラフデータの範囲(D)」から、一行分追加する。

グラフ更新時にグラフ書式設定が初期化して見苦しいものになった場合は、下記方法を試すと解決する可能性が高い。

TOPIXとS&P500の値について

個人投資家でも、ペアトレードなどで実際に取り扱いが可能なように、公式の指数ではなく、それぞれの指数に連動するETF(Exchange Traded Fund: 上場投資信託)を用いて TS倍率 を算出している。

そのため、厳密には公表されている指数とは微妙に異なるが、実務上問題ないと考えている。

Excelの自動更新機能について

VBAマクロを使用するのはもちろんのこと、OFFSET関数 などを用いることで、簡単に自動更新機能を作成することはできる。

ただし、本テンプレートは、Excelや投資の初学者向けの学習用だったり、利用者がカスタマイズしやすいようにあえてそうした自動更新機能の作り込みはしていない。

VBAを使わずにデータ参照範囲を変えることで動的グラフを作成したい方は、以下のサイトが参考になる。

ボリンジャーバンド(標準偏差バンド)の生みの親による解説。

ボリンジャーバンドを活用したペアトレード(サヤ取り)の基本の”キ”がわかる。

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