設定主体:企業会計審議会
設定と適用時期:昭和54年6月以後の事業年度
最終改正:平成11年10月
適用時期:平成12年4月1日以後開始する事業年度
外貨建取引等会計処理基準
一 外貨建取引
1 取引発生時の処理
外貨建取引は、原則として、当該取引発生時の為替相場による円換算額をもって記録する。ただし、外貨建取引に係る外貨建金銭債権債務と為替予約等との関係が「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」(以下「金融商品に係る会計基準」という。)における「ヘッジ会計の要件」を充たしている場合には、当該外貨建取引についてヘッジ会計を適用することができる。
(注1) (注2) (注3) (注4) (注5) (注6) (注7)
2 決算時の処理
(1) 換算方法
外国通貨、外貨建金銭債権債務、外貨建有価証券及び外貨建デリバティブ取引等の金融商品については、決算時において、原則として、次の処理を行う。ただし、外貨建金銭債権債務と為替予約等との関係が金融商品に係る会計基準における「ヘッジ会計の要件」を充たしている場合には、当該外貨建金銭債権債務等についてヘッジ会計を適用することができる。
(注4) (注5) (注6) (注7) (注8)
(a) 外国通貨
外国通貨については、決算時の為替相場による円換算額を付する。
(b) 外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。以下同じ。)
外貨建金銭債権債務については、決算時の為替相場による円換算額を付する。ただし、外貨建自社発行社債のうち転換請求期間満了前の転換社債(転換請求の可能性がないと認められるものを除く。)については、発行時の為替相場による円換算額を付する。(注9)
(c) 外貨建有価証券
イ 満期保有目的の外貨建債券については、決算時の為替相場による円換算額を付する。(注9)
ロ 売買目的有価証券及びその他有価証券については、外国通貨による時価を決算時の為替相場により円換算した額を付する。
ハ 子会社株式及び関連会社株式については、取得時の為替相場による円換算額を付する。
ニ 外貨建有価証券について時価の著しい下落又は実質価額の著しい低下により評価額の引下げが求められる場合には、当該外貨建有価証券の時価又は実質価額は、外国通貨による時価又は実質価額を決算時の為替相場により円換算した額による。
(d) デリバティブ取引等
デリバティブ取引等(a)から(c)に掲げるもの以外の外貨建ての金融商品の時価評価においては、外国通貨による時価を決算時の為替相場により円換算するものとする。
(2) 換算差額の処理
決算時における換算によって生じた換算差額は、原則として、当期の為替差損益として処理する。ただし、有価証券の時価の著しい下落又は実質価額の著しい低下により、決算時の為替相場による換算を行ったことによって生じた換算差額は、当期の有価証券の評価損として処理する。また、金融商品に係る会計基準による時価評価に係る評価差額に含まれる換算差額については、原則として、当該評価差額に関する処理方法に従うものとする。(注10)
3 決済に伴う損益の処理
外貨建金銭債権債務の決済(外国通貨の円転換を含む。)に伴って生じた損益は、原則として、当期の為替差損益として処理する。
二 在外支店の財務諸表項目の換算
在外支店における外貨建取引については、原則として、本店と同様に処理する。ただし、外国通貨で表示されている在外支店の財務諸表に基づき本支店合併財務諸表を作成する場合には、在外支店の財務諸表について次の方法によることができる。(注11)
1 収益及び費用の換算の特例
収益及び費用(収益性負債の収益化額及び費用性資産の費用化額を除く。)の換算については、期中平均相場によることができる。(注12)
2 外貨表示財務諸表項目の換算の特例
在外支店の外国通貨で表示された財務諸表項目の換算にあたり、非貨幣性項目の額に重要性がない場合には、すべての貸借対照表項目(支店における本店勘定等を除く。)について決算時の為替相場による円換算額を付する方法を適用することができる。この場合において、損益項目についても決算時の為替相場によることを妨げない。
3 換算差額の処理
本店と異なる方法により換算することによって生じた換算差額は、当期の為替差損益として処理する。
三 在外子会社等の財務諸表項目の換算
連結財務諸表の作成又は持分法の適用にあたり、外国にある子会社又は関連会社の外国通貨で表示されている財務諸表項目の換算は、次の方法による。
1 資産及び負債
資産及び負債については、決算時の為替相場による円換算額を付する。
2 資本
親会社による株式の取得時における資本に属する項目については、株式取得時の為替相場による円換算額を付する。
親会社による株式の取得後に生じた資本に属する項目については、当該項目の発生時の為替相場による円換算額を付する。
3 収益及び費用
収益及び費用については、原則として期中平均相場による円換算額を付する。ただし、決算時の為替相場による円換算額を付することを妨げない。なお、親会社との取引による収益及び費用の換算については、親会社が換算に用いる為替相場による。この場合に生じる差額は当期の為替差損益として処理する。(注12)
4 換算差額の処理
換算によって生じた換算差額については、為替換算調整勘定として貸借対照表の資本の部に記載する。(注13)
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