企業買収 Takeover
「Takeover」は、その形態が合併であれ買収であれ、株式公開買付(tender offer)の形式を持ち、会社の経営権の獲得などを目的として、証券市場外で不特定多数の株主から株式を取得することを意味する。
よく見聞きする「TOB」は、Take-Over Bid”の略で、シンプルに「株式公開買付」が訳語であり、買い付ける=bid の語が用いられる分、経営権取得の意味合いが強くなる。
その他、「敵対的TOB」「友好的TOB」という分類がある。
誰が誰に対して「敵対的」なのか「友好的」なのかをきちんと見る必要がある。
一般的には、現経営陣(その多くは取締役会を構成するメンバと考えられる)の同意を得ているのが「友好的TOB」で、現経営陣と間接的にその企業の支配権を争うものが「敵対的TOB」となる。
経営陣(取締役会)は、既存株主から経営の負託を受けて、株主価値の最大化のために業務を執行することが義務付けられている。
TOBを表明した者の買付条件を評価して、既存株主の資産価値が最大になる選択肢(TOBに応じるか応じないか、反対に買収条件を提示するか、どのようなTOBへの賛同の決を採る段取りを提案するか等)を現経営陣(取締役会)は既存株主とTOB宣言者に対して示す必要がある。
この時、既存株主とTOB宣言者の間で対象企業(または企業の一部であったり事業だったりする)に対する支配権の在り方を問うものだから、間接的というわけである。
よって、マスコミでは「友好的TOB」と報じられる案件でも、買収者の提示条件に現経営陣が賛同の意を表しただけで、買収者と既存株主の間に支配権について争いが存在する場合もある。
※ 穿った見方をすれば、買収者が現経営陣に対して好待遇(割増退職金の支払いや、TOB後も取締役としての地位保全を約束するなど)を示して「友好的TOB」の看板を立てる権利を持ったにすぎないことだってあり得る
但し、取締役会も株主総会も賛成する真に友好的なケースでは、そもそも支配権(経営権)を得るのに「TOB」をわざわざ宣言または予告する必要が無いため、一般的に「TOB」がなされると、敵対的TOBとみなされる確率が高いのも事実である。
一方で、日本企業においては、様々な金融取引や会社法、税法の絡みで、友好的なのだけれど、敢えてTOBの形式をとることも多いと報道されている。全取締役・全株主の内心を全て知ることはできないのだから、あくまで友好的か敵対的かは相対的に多くの人がそう看做すかどうかにかかっているにすぎないだろう。
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