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新興国市場のグループ分類

新興国市場のグループ 分類する

新興国市場

日欧米などの先進国に対し、現在の経済水準はまだ低いものの経済発展の初期にあって成長率が高い国々の証券市場を指す。地域的には、アジア、東欧、中南米、中東などの国々に注目が集まることが多い。

プラス評価の最も大きいものは、その経済の急成長が期待できる市場としてのポテンシャルである。

一方で、マイナス評価面は、次の4つがあげられる。

  • 規模や制度面などから見るとまだ全体的に未熟な段階の市場が多い
  • 国内に十分な投資家層が育っておらず、規模が比較的小さい市場も多い
  • 海外からの資金の流入や流出で大きく株価が変動するリスクが大きい
  • 先進国の経済動向や金融情勢に影響を受けやすい脆弱さがある

これら新興国市場は、投資銀行・証券会社・国際的金融機関などのレポートや白書にて様々なグループとして定義され、投資家たちにわかりやすく、かつプラスの印象を持ってもらうように様々なネーミングによるイメージ化・演出がなされている。

NICs(ニックス、ニクス)

新興工業国:Newly Industrialising Countries

1970年代の石油危機後の世界的な経済の低成長の中にあって,急速な経済成長を続ける発展途上国を指してOECD(経済協力開発機構)が1979年に発表した報告書で新興工業国:Newly Industrializing Countries(NICs:ニクス)と命名した。

1970年代は東西冷戦のさなか、先進国と発展途上国間の大きな経済格差による南北問題も問題視されていた。

旧来の国際分業体制の変革により北の世界が不況になり、南北対話が停滞し、先進国側のODAなどの援助疲れが顕在化した時期にあたる。

  1. スペイン
  2. ポルトガル
  3. ギリシャ
  4. 旧ユーゴスラビア
  5. ブラジル
  6. メキシコ
  7. 香港
  8. 韓国
  9. 台湾
  10. シンガポール

しかし、このうち『アジア四小龍』とされた 香港、台湾、シンガポール、韓国のうち、香港と台湾は完全な主権国家とするには論議があり、国家(Country)と呼称するのには問題があるとして、その後の1988年、さらに中国・マレーシア・タイの3国を加えて新興工業経済地域:Newly Industrialising Economies(NIES:ニーズ)と呼ぶようになった。

NIES(ニーズ)

新興工業経済地域:Newly Industrialising Economies

※詳細説明は NICs を参照

  1. スペイン
  2. ポルトガル
  3. ギリシャ
  4. 旧ユーゴスラビア
  5. ブラジル
  6. メキシコ
  7. 香港
  8. 韓国
  9. 台湾
  10. シンガポール
  11. 中国
  12. マレーシア
  13. タイ

BRICS(ブリックス)

投資銀行ゴールドマン・サックスのエコノミストであるジム・オニールによって書かれた2001年11月30日の投資家向けレポート『Building Better Global Economic BRICs』で初めて用いられ、世界中に広まった。

ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字を合わせた造語。

このレポートの中で、2050年にはBRICsの4カ国がGDPで上位6カ国に入る可能性があると記載されていた。

これら4か国に、南アフリカ共和国(South Africa)を加えた5ヶ国で、BRICSと総称することが現在では一般的になっている。

これらの国々に共通していることは、①国土面積が大きい、②人口が多い、③天然資源が豊富 であることなどがあり、大きな国内市場を抱えていることで市場成長の可能性が大きく、天然資源の活用や若くて低賃金の労働力を利用できることが国際貿易に有利に働くことが考えられる。

  1. ブラジル
  2. ロシア
  3. インド
  4. 中国
  5. 南アフリカ共和国

Next Eleven(ネクスト11、N-11)

ゴールドマン・サックス・グループ経済調査部とエコノミストのジム・オニールによる研究論文「More than an Acronym(2007/3/28)」において、BRICs諸国に次いで21世紀有数の経済大国に成長する高い潜在性がある11か国の総称。

このレポート内で、2050年までにネクスト11のGDPは、G7の3分の2に達する可能性があると記載されている。

このグループに採用された主な選出基準は、マクロ経済の安定性、政治の成熟度、貿易および投資政策の開放性、教育の質の4つである。

  1. イラン
  2. インドネシア
  3. エジプト
  4. トルコ
  5. ナイジェリア
  6. パキスタン
  7. バングラデシュ
  8. フィリピン
  9. ベトナム
  10. メキシコ
  11. 大韓民国

CIVETS(シベッツ)

英大手銀のHSBCが2010年に提唱した、BRICsに次ぐ、経済発展が期待される5か国からなる新興国グループを指す造語。

それぞれのアルファベットの頭文字を並べると、「CIVET(ジャコウネコ)」となることからの語呂合わせ。

ジャコウネコと人類の接点は貴重な富を絡めて複雑である。

希少な高級コーヒーであるコピ・ルアクは、ジャコウネコ科の動物に一旦コーヒーの果実を食べさせ、排泄物の中から未消化の種を利用したものである。

また、一部の種の性器の周辺にある臭腺(会陰腺)から分泌される液は、香水の補強剤や持続剤として利用価値が高く乱獲された。

それはかつてシャネルの5番にも使われていた媚薬の原料の一つでもあった。

  1. コロンビア (Colombia)
  2. インドネシア (Indonesia)
  3. ベトナム (Vietnam)
  4. エジプト (Egypt)
  5. トルコ (Turkey)
  6. 南アフリカ共和国 (South Africa)

LEMs

LEMs: Large Emerging-Market Economies

国際経済研究所の「The United States and the World Economy(2005 年 1 月)」
にて、BRICS 5か国にアルゼンチン、インドネシア、韓国、メキシコ、サウジアラビア、トルコを加えた計 11 カ国が、今後の世界経済に大きな影響を及ぼす LEMs(Large Emerging-Market Economies)として取り上げられた。

  1. ブラジル
  2. ロシア
  3. インド
  4. 中国
  5. 南アフリカ共和国
  6. アルゼンチン
  7. インドネシア
  8. 韓国
  9. メキシコ
  10. サウジアラビア
  11. トルコ

VISTA(ヴィスタ)

Vietnam, Indonesia, South Africa, Turkey and Argentina

BRICs 経済研究所のエコノミスト・門倉貴史が、BRICsに続くグループとして2006年11月に提唱した造語。

地政学的なバランス、豊富な天然資源、労働力の増加、外資の導入、政情の安定、購買力のある中産階級の台頭から高い経済成長の可能性があるとした。

  1. ベトナム
  2. インドネシア
  3. 南アフリカ
  4. トルコ
  5. アルゼンチン

VITAMIN(ビタミン)

Vietnam, Indonesia, Thailand, Turkey, Argentina, South Africa, Mexicano, Iran, Iraq, and Nigeria

OECD加盟国の余剰資金(年金、貯金、保険等)、中東産油国・ロシアのオイルマネー、中国マネー(外貨準備等)が向かう先になるであろう人口5000万人以上、国民の平均年齢が25歳から30歳前半、教育水準が比較的高いといった国々から成るグループの総称。

大前研一氏が著書「お金の流れが変わった! (PHP新書)」で2010年12月に提唱。

  1. ベトナム
  2. インドネシア
  3. タイ
  4. トルコ
  5. アルゼンチン
  6. 南アフリカ共和国
  7. メキシコ
  8. イラン
  9. イラク
  10. ナイジェリア

フラジャイル5

Fragile five

米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和第3弾の縮小開始により、ブラジル、インド、インドネシア、トルコ、南アフリカの5カ国の通貨が売り圧力にさらされるとして2013年に米国モルガン・スタンレーのレポートで命名。

高インフレや経常赤字などの問題を抱え、通貨下落が進みやすい「脆弱な新興国5通貨」

  • ブラジルレアル (BRL)
  • インドルピー (INR)
  • インドネシアルピア (IDR)
  • トルコリラ (TRY)
  • 南アフリカランド (ZAR)

E7

PwC英国のマクロ経済担当チームが、「2050年の世界」をテーマに発表した最新の調査レポート「長期的な経済展望:世界の経済秩序は2050年までにどう変化するのか?(The long view: how will the global economic order change by 2050?)」にて、今後34年間(発表当時2017年2月7日)、年平均3.5%のペースで成長してGDP世界ランキング上位に来る国々を指したもの。

  1. ブラジル
  2. 中国
  3. インド
  4. インドネシア
  5. メキシコ
  6. ロシア
  7. トルコ

MENA(ミーナ)

Middle East and North Africa

中東・北アフリカ地域の国々を指す略称。

国際機関や研究機関ごとに領域の定義はさまざまではっきりと決まっていない。

世界銀行はMENAの領域を、アラブ首長国連邦、アルジェリア、イエメン、イスラエル、イラク、イラン、エジプト、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、シリア、ジブチ、チュニジア、バーレーン、マルタ、モロッコ、ヨルダン、ヨルダン川西岸・ガザ地区、リビア、レバノンの21か国・地域と定義している。

  1. アラブ首長国連邦
  2. アルジェリア
  3. イエメン
  4. イスラエル
  5. イラク
  6. イラン
  7. エジプト
  8. オマーン
  9. カタール
  10. クウェート
  11. サウジアラビア
  12. シリア
  13. ジブチ
  14. チュニジア
  15. バーレーン
  16. マルタ
  17. モロッコ
  18. ヨルダン
  19. ヨルダン川西岸・ガザ地区
  20. リビア
  21. レバノン
  • 注目を浴びている理由
    1. オイルダラーを活用した製造業の国内誘致に伴う投資機会
    2. 多い人口(若年人口)による消費市場の拡大と高い購買力
    3. 共通語がアラビア語のため、企業が販売網を拡大しやすい

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参考リンク

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