- 概要
- 加盟国
- カンボジア王国ព្រះរាជាណាចក្រកម្ពុជាKingdom of Cambodia
- 中華人民共和国 People’s Republic of China
- ラオス人民民主共和国ສາທາລະນະລັດ ປະຊາທິປະໄຕ ປະຊາຊົນລາວLao People’s Democratic Republic
- ミャンマー連邦共和国ပြည်ထောင်စု သမ္မတ မြန်မာနိုင်ငံတော်Republic of the Union of Myanmar
- タイ王国ราชอาณาจักรไทยKingdom of Thailand
- ベトナム社会主義共和国Cộng hòa xã hội chủ nghĩa Việt NamSocialist Republic of Vietnam
- あわせて読みたい
- 参考リンク
概要
大メコン圏(GMS: Greater Mekong Subregion)または単に大メコン(Greater Mekong)は、地理的には東南アジアのメコン川流域の国境を越えた地域のことを指す。1992年にアジア開発銀行(ADB)がカンボジア、中国(特に雲南省と広西チワン族自治区)、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムの6つのアジア諸国を結集した開発プログラム(GMSプログラム)を開始したことで、地域概念として誕生した。
その目的は、メコン流域の経済開発と発展を促進するもので、GMS をまたがる経済回廊のインフラ整備や、国際貿易の円滑化、民間部門の参加による競争力の強化、人材育成、環境保護等を対象項目としている。
大メコン圏6か国は20年以上にわたり、GMSプログラムの下で協力し、繁栄し、統合され、調和のとれた圏域というビジョンの実現に取り組んできた。
GMSプログラムでは、3つの戦略 (3つのC) を採用している。
- 物理的なインフラと経済回廊の開発を通じて連結性を強化する(Strengthening connectivity)
- 市場統合と国境を越えた貿易および旅行の促進を通じて競争力を向上する(Improving competitiveness)
- 共通の社会的、環境的問題に取り組むことでコミュニティ意識を構築する(Building a sense of community)
GMSプログラムは、開発パートナーの支援を受けて、農業、エネルギー、環境、保健、人材育成、情報通信技術、観光、運輸、運輸貿易促進、都市開発など、幅広い分野で優先度の高い地域プロジェクトの特定と実施を支援している。このプログラムを通じて200億ドル以上の直接投資が実行されてきた。
GMSプログラムの運用形態
GMSプログラムは、1992年10月にアジア開発銀行(ADB)マニラ本部で開催されたタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、中国の閣僚会議に始まる。
同プログラムの特徴として、
❶名称にメコンという河川名を含むものの、同河川地域だけでなく、中国の南部(雲南省や広西チワン族自治区)やミャンマー全土を加えた広範囲な地域を対象としている
❷具体的プロジェクトを少なくとも2か国が関与する越境プロジェクトとしている
❸ADBはあくまでも事務局としてメンバー間の対話を促し、必要に応じて技術・資金支援を行う立場に徹している
等が挙げられる。
GMSプログラムは、加盟国の自主性(オーナーシップ)の下に運営されている。
運営組織は、
- 首脳会議(サミット:3年に1度)
- 閣僚会議(毎年)
- 高級事務レベル会議(毎年)
- フォーラム・ワーキンググループ(毎年)
といった4つの意思決定組織から構成される。これとは別に、GMSプログラムと各国の開発計画を調整するために国家レベルの機関が配置されている。
GMSプログラムの枠組みは、2002年11月にカンボジア・プノンペンで開催された第1回GMS首脳会議で採択された「GMSプログラム10カ年戦略的枠組み」によって定義づけられ、
- GMSプログラムは、メコン地域の統合・繁栄・公平という共通ビジョンを掲げる
- 共通ビジョンの下に、
- 経済成長の加速と持続
- 貧困の削減と所得格差の是正
- 活の質の向上
- 環境・天然資源の保護・保全
という4つの目標を立てることとなった。
具体的には、以下の通り。
- インフラストラクチャーの整備
- 国境貿易・投資・観光の促進
- 民間部門の参加促進と競争力の強化
- 人的資本開発と技術水準の向上
- 環境保護・天然資源の持続的な活用において地域連携を深化
- 優先開発事案
- 輸送
- 通信
- エネルギー
- 環境
- 観光
- 貿易制度
- 投資
- 人的資本開発
- 農業
また、GMSプログラムによる開発支援は「貧困削減を伴う成長(Pro-poor growth)」を促進するものとして期待されている。
経済回廊

輸送インフラ整備は、GMSプログラムのなかでも最も積極的に進められてきたプロジェクトのひとつである。
経済成長と発展を促進するために経済回廊を整備することにした。経済回廊とは、通常、経済活動の中心地を結ぶ主要高速道路沿いにある投資地域を意味する。
大メコン圏では、1995年にマスタープランが作成され、1998年の閣僚会議では、「南北経済回廊」「東西経済回廊」「南部経済回廊」の3つの回廊整備が優先プロジェクトとなった。
「南北経済回廊」は、インドシナ半島を南北に縦断する回廊で、中国雲南省・昆明を基点にタイ・バンコクまで南下する回廊と、ベトナム・ハノイ(ベトナム)を結ぶ二つに大別される。
タイ・バンコク向けラインは、ラオスを経由する「R3A」とミャンマーを経由する「R3B」の二つの回廊に区分される。
「東西経済回廊」は、インドシナ半島を東西に横断する回廊で、ミャンマー・モーラミャインからタイ・東北部を経由し、ラオス・サワンナケート、ベトナム・ダナンを結ぶ。
これによりラオスやタイ東北部の内陸都市はベトナム・ダナンを経て世界市場にリンクできる。また、東西経済回廊の西側の最終地点であるミャンマーをインドへの入り口とすることもできる。
この東西経済回廊開発は日本政府が最も関心を持つプロジェクトであり、2008年1月の日本メコン外相会議で、この物流円滑化のために2,000万ドルの支援を表明した程だ。
「南部経済回廊」は、タイ・バンコクからカンボジア・プノンペンを経て、ベトナム・ホーチミンに至る回廊で、第2東西回廊と呼ばれることもある。
カンボジア国内で北部の国道5号線と南部の国道6号線を活用する二つに区分される。この経済回廊は、タイの首都バンコク、カンボジアの首都プノンペン、ベトナムの大都市ホーチミンを結ぶ路線であり、その完成により最も経済効果が期待される。ただし、「南北経済回廊」「東西経済回廊」に比べて整備が遅れている。
メコンにおける地域組織・パートナーシップ
メコン地域は、諸外国の外交施策により、様々な域外勢力が地域組織・パートナーシップを形成してその影響力行使にしのぎを削っている。メコン各国においても、そうした域外諸国から少しでも有利な経済的協力を得ようと工夫を凝らす。
以下は、代表的なメコン地域における地域組織・パートナーシップの一例である。
| 開始時期 | 略称 | 名称 | 主導国 | 枠組み |
|---|---|---|---|---|
| 1992年 | GMS | 大メコン圏 (Greater Mekong Subregion) | ADB | メコン+中国 |
| 1995年 | MRC | メコン川委員会 (Mekong River Commision) | UNDP | メコン+中国 |
| 2000年 | MGC | メコン・ガンジス川協力機構 (Mekong–Ganga Cooperation) | インド | メコン+インド |
| 2003年 | ACMECS | エーヤーワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略 (Ayeyawady-Chao Phraya-Mekong Economic Cooperation Strategy) | タイ | メコンのみ |
| 2008年 2009年 | 日本・メコン | 日・メコン外相会議 日本・メコン地域諸国首脳会議 | 日本 | メコン+日本 |
| 2009年 | LMI | メコン川下流域開発 (Lower Mekong Initiative) | 米国 | メコン+米国 |
| 2015年 | LMC | 瀾滄江・メコン川協力 (Lancang-Mekong Cooperation) | 中国 | メコン+中国 |

加盟国
| 時期 | 状況 | メンバーシップ |
|---|---|---|
| 1992 | 創設 | カンボジア、中国(雲南省、広西チワン族自治区)、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム |
カンボジア王国
ព្រះរាជាណាចក្រកម្ពុជា
Kingdom of Cambodia
- 国土面積は181,035km2 で世界87位、総人口は16,718,971人で世界68位
- 国王を元首とする立憲君主制(選挙君主制)
- 内戦を経て1993年9月24日に王政復古がなされ現在に至る
●首都
プノンペン
中華人民共和国
People’s Republic of China
- 国土面積は世界3位、人口は世界2位
- 1949年10月の建国以来中国共産党による事実上の一党独裁体制
- GDPは米国に次いで2位(当時世界第2位だった日本のGDPを中国が抜いたのは2010年)




●首都
北京
ラオス人民民主共和国
ສາທາລະນະລັດ ປະຊາທິປະໄຕ ປະຊາຊົນລາວ
Lao People’s Democratic Republic
- 国土面積は236,800km2 で世界79位、総人口は7,276,000人で世界104位
- 国家主席を元首とする社会主義共和制国家(人民民主共和制)、立法府は一院制の国民議会
- 計画経済から社会主義市場経済に移行したが、国連が定める世界最貧国の一つ。中華人民共和国が主導する経済圏「一帯一路」に参加、「債務のワナ」に陥ることが懸念されている
●首都
ヴィエンチャン
ミャンマー連邦共和国
ပြည်ထောင်စု သမ္မတ မြန်မာနိုင်ငံတော်
Republic of the Union of Myanmar
- 国土面積は676,578km2 (日本の約1.8倍)で世界40位、総人口は54,410,000人で世界26位
- 大統領を元首とする共和制。2021年のクーデターにより、国家行政評議会議長を事実上の国家指導者とする軍事政権に戻った
- 1989年にビルマからミャンマーに国名変更(軍事政権の正統性の観点から併記などの運用の幅あり)
●首都
ネピドー(ネーピードー)
(2006年に旧首都ヤンゴンから移転)
(1989年にラングーンからヤンゴンへ改称)
タイ王国
ราชอาณาจักรไทย
Kingdom of Thailand
- 国土面積は513,120km2(日本の約1.4倍)で世界50位、総人口は6,980万人で世界20位
- 立憲君主制でチャクリー王朝の国王が国家元首。議院内閣制で人民代表院(下院)と、元老院(上院)から成る両院制
- 親軍政党との連立政権だが、2023年8月23日にセーター首相就任で民政復帰


●首都
バンコク
ベトナム社会主義共和国
Cộng hòa xã hội chủ nghĩa Việt Nam
Socialist Republic of Vietnam
- 国土面積は331,212km2 で世界64位、総人口は1,038万人で世界16位
- 社会主義共和制(ベトナム共産党による一党独裁制)。ベトナム共産党の最高職である党中央委員会書記長(最高指導者)、国家元首である国家主席、政府の長である首相、立法府である国会の議長を「国家の四柱」と呼ぶ
- 1986年12月:社会主義に市場経済システムを取り入れるドイモイ政策を採択、中国の改革開放と同様に市場経済路線へと転換
●首都
ハノイ
あわせて読みたい



参考リンク











コメント