概要
クアッド(Quad)とは、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国で安全保障や経済を協議する枠組みのことであり、首脳や外相レベルの会合を持つ。クアッドは、英語の「Quad」の転写の一つで「4つ」を意味する言葉である。日本語では「日米豪印戦略対話」「4か国戦略対話」とも呼ばれる。
この4か国はインド洋と太平洋を囲むように位置し、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観をもち、国際秩序の強化にコミットするものである。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、ワクチン、インフラ、気候変動、重要・新興技術などの幅広い分野で実践的な協力を進めてきており、4か国間で、地域に前向きな形で貢献していくことの重要性で一致している。
1992年に始まる米印合同の海軍演習(マラバール演習)からこの結集が始まる。マラバール演習には、日本が2015年から、オーストラリアが2020年に参加するようになった。
2004年のインドネシア、スマトラ島沖の巨大地震と津波の被害に対する国際社会の支援を4か国が主導したことをきっかけにし、2017年のマニラで開催されたASEANサミットにおいて、「インド太平洋」地域、特に南シナ海への中国進出に対抗するために、四角形同盟を復活させることに同意、2019年に初めての外相会合が開かれた。
2021年3月の共同声明「クアッドの精神」において、中国の海洋主張に対抗するために「自由で開放的なインド太平洋に対する共有ビジョン」と、「東シナ海および南シナ海におけるルールに基づく海洋秩序」が必要であると宣言した。
また、ニュージーランド、ベトナム、韓国からの代表者を含む最初のクアッドプラス会議を開催し、新型コロナウイルス感染症への対応に取り組むことを宣言した。
2023年の時点で、クアッド諸国を合わせた名目 GDPは合計 36.7 兆米ドル (世界総生産の 34.7% )、GDP PPPは合計48.1 兆米ドル(世界 GDP の 27.5%)になる。
- 2004年12月に発生したスマトラ沖大地震及びインド洋津波被害に際して、日米豪印がコア・グループを結成し、国際社会の支援を主導
- 2007年5月に事務レベル会合を開催
- 2017年11月以降、局長級協議等を定期的に実施
- 2019年9月、国連総会の機会に、NYにて、初の外相会合を開催
- 2020年10月、東京にて、第2回外相会合を開催
- 2021年2月、外相電話会談を実施。こうした積み重ねの上で、同年3月には初となる首脳テレビ会議を、9月にはワシントンDCにて初の対面での首脳会合を実施
- 2022年、2月にキャンベラで外相会合、3月に首脳テレビ会議を実施し、5月には東京にて首脳会合を開催。また9月は国連総会の機会にNYにて外相会合を実施
参加国
日本
Japan
- 国土面積は377,973.89km2で世界62位、人口は1億2491万人で世界11位
- 議院内閣制、衆議院と参議院の両院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界3位、購買力平価(PPP)で世界4位
●首都
東京
アメリカ合衆国
United States of America
- 国土面積は985万km2 で世界3位、総人口は約3億3,200万人で世界3位
- 大統領制の連邦共和国で、上院と下院の両院制、民主党と共和党の二大政党制
- 名目国内総生産(GDP)は世界1位、購買力平価(PPP)で世界2位
●首都
ワシントンD.C.
オーストラリア連邦
Australia
- 国土面積は7,692,024km2(日本の約20倍、アラスカを除く米とほぼ同じ)で世界6位、人口は2550万人で世界55位
- 立憲君主制・連邦制、イギリス国王・女王と同一人物であるオーストラリア国王が国家元首、上院・下院の両院制で議員内閣制
- 名目国内総生産(GDP)は世界13位、購買力平価(PPP)で世界19位
●首都
キャンベラ
インド共和国
Republic of India
- 南アジア随一の面積(世界では7位)と世界第1位の人口を持つ
- 連邦共和制国家で、世界最大の民主主義国家と呼ばれる
- 連邦公用語はヒンディー語だが、他にインド憲法で公認されている言語が21ある
●首都
ニューデリー
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