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南米諸国連合 UNASUR

南米諸国連合 UNASUR 分類する

概要

南米諸国連合(UNASUR)は、2007年に結成された「同一通貨、同一パスポート、一つの議会」を目指す南アメリカの政府間機構である。南米国家共同体ともいう。日本語では略称を主に「ウナスール」と読むことが多い。

  • スペイン語: Unión de Naciones Suramericanas
  • ポルトガル語: União de Nações Sul-Americanas
  • 英語: Union of South American Nations
  • オランダ語: Unie van Zuid-Amerikaanse Naties

南米諸国の政治、経済、文化的統合を目的とした地域統合組織である。事務局はエクアドルのキト、南米議会はボリビアのコチャバンバ、南米銀行はベネズエラのカラカスに所在する。

南米諸国連合 UNASUR: Wikipediaより

加盟国の主権及び独立を強化しつつ、社会経済的不平等の根絶、社会的包摂と市民参加の実現、民主主義の強化等を見据え、政治的対話、社会政策、教育、エネルギー、インフラ、金融環境等を優先課題として、南米諸国民の文化、社会、経済及び政治面における統合と団結の場を構築することを目的としている。

そもそも、この地域における米国の影響力に対抗するために当時ベネズエラ大統領のウゴ・チャベスによって設立されたとされる。

2010年代に入ると組織を牽引してきた各国のリーダーが相次いで退陣、国際会議の開催が滞った上に複数の加盟国が脱退したため、現状は組織として停滞傾向にある。

沿革

  • 2004.12 開催された南米サミット(クスコ)で創設された「南米共同体」を前身とする
  • 2005 南米・アラブ諸国首脳会議を開き、34ヵ国が参加
  • 2007.4.16 第1回南米エネルギー・サミット(ベネズエラのマルガリータ島)において「南米諸国連合」(UNASUR)と改称
  • 2008.5 UNASUR臨時首脳会合(ブラジリア)において、「南米諸国連合設立条約(Tratado Constitutivo de la Unión de Naciones Suramericanas)」が採択(2011.3 発効)
    • 加盟国間の政治的対話の強化
    • 南米統合の促進
    • 地域貧困の撲滅
    • 識字運動

活動とメンバーシップの動揺

  • 2010.8.6 ベネズエラのカラカスで南米・アフリカ首脳会議の準備会が開催
  • 2011.11 南米・アフリカ首脳会議をリビアで開催、アラブとアフリカ地域との連携、多極構造の世界認識を提示
  • 2011.11.29 パラグアイの首都アスンシオンで開催、大国の介入なしに加盟国が直接対話することを強調、自主的な地域統合を続ける決意を表明
  • 2017.7 エクアドルのレニン・モレノ大統領は同年1月から事務局長が選出されてないことや予算の問題からエクアドルにある事務局の建物を教育施設として再利用すると宣言
  • 2018.4 アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイ、ペルーは事務局の運営などをめぐり南米諸国連合への参加を中止
  • 2018.8 コロンビアは「ベネズエラのニコラス・マドゥロ独裁政権の最大の共犯者」と非難して南米諸国連合からの脱退を発表
    • これらの動きに対して議長国ボリビアのエボ・モラレス大統領は「南米の分裂をアメリカは画策している」と反発して同年9月にボリビアで落成した南米議会の本部で南米諸国連合の基本的な運営を行うと発表
  • 2019.3 ブラジルのボルソナロ大統領が脱退意向を発表
  • 2019.3.13 エクアドルが脱退を発表、同国のレニン・モレノ大統領が、キトに本部がある同組織の本部ビルを返還するよう求める
  • 2019.3.22 チリのセバスティアン・ピニェラ大統領の主導で南米諸国連合に対抗する新たな地域連合としてアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、パラグアイ、ペルーによってラテンアメリカの進歩と発展のためのフォーラム(PROSUL/PROSUR)がサンティアゴで結成
  • 2020.3.10 ウルグアイが正式に脱退を発表
  • 2023.5.5 ブラジルが再加盟

目的

  • 基本目的(設立条約第2条)
    • 加盟国の主権と独立を強化しつつ、社会経済的不平等の根絶、社会的包摂と市民参加の実現、民主主義の強化等を見据え、政治対話、社会政策、教育、エネルギー、インフラ、金融、環境等を優先課題として、南米諸国民の文化、社会、経済及び政治面における統合と団結の場を構築する
  • 具体的目的(設立条約第3条)
    • 南米統合及び国際場裡におけるUNASURの参画強化を目的とした政治的対話の強化
    • 貧困根絶・不平等克服のための社会・人的開発
    • 資源の持続可能な利用のためのエネルギー統合
    • 持続可能な社会経済開発のために地域を繋ぐインフラ開発 等

組織

  • 首脳評議会:最高機関、年1回定期会合実施、ただし、加盟国は議長国を通じて臨時首脳会合の開催を要請することができ、全加盟国のコンセンサスによって実施が決定される
  • 外相評議会:半年に1回定期会合、ただし、加盟国半数の要請により議長国は臨時会合を開催可能
  • 代表委員評議会:原則各国1名の代表で構成、2か月毎に定期会合を実施
  • 事務局:エクアドル・キトに設置、事務局長は全加盟国のコンセンサスにて任命
  • 議長国:原則1年毎に交替
  • 南米議会:ボリビア・コチャバンバに設置
  • 必要に応じて関係閣僚会合・閣僚級会合・ワーキング・グループ会合等を常設もしくは臨時に開催できる
    • 国防評議会
    • エネルギー評議会
    • 社会開発評議会
    • 教育・科学・文化評議会
    • 技術・イノベーション評議会
    • 保健評議会
    • インフラ計画評議会
    • 薬物問題評議会 等
アメリカ大陸のさまざまな多国籍組織間の関係を示すオイラー図: Wikipediaより

加盟国

時期状況メンバーシップ
2008.5創設ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、コロンビア、エクアドル、チリ、ガイアナ、スリナム
2018.4参加停止アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイ、ペルー
2018.8 脱退コロンビア
2019.3脱退ブラジル
2019.3.13 脱退エクアドル
2020.3.11脱退ウルグアイ
2023.5.5再加盟ブラジル

ブラジル ブラジル連邦共和国
Federative Republic of Brazil

  • ラテンアメリカ最大の領土・人口を擁する国家で、面積は世界第5位、人口は世界第5位
  • 大統領制を敷き、大統領を元首とする連邦共和制
  • 南北アメリカ大陸で唯一のポルトガル語圏の国
ブラジル連邦共和国  Federative Republic of Brazil

●首都
ブラジリア

アルゼンチン アルゼンチン共和国
Argentine Republic

  • 南アメリカ南部に位置し、国土面積は2,780,400km2 で世界8位、人口は4,520万人で世界31位
  • 大統領を元首とする連邦共和制国家
  • 2度の世界大戦に直接関与せず、各国への農畜産品の輸出により20世紀半ばまでは、世界有数の富裕国

パラグアイ共和国
Republic of Paraguay

  • 国土面積は406,752km2(日本の約1.1倍)で世界58位、人口は713万人で世界104位
  • 立憲共和制、直接選挙で選出された大統領が元首、上院と代議院(下院)の二院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界93位、購買力平価(PPP)で世界101位

ウルグアイ東方共和国
Oriental Republic of Uruguay

  • 国土面積は176,220km2(日本の約半分)で世界88位、人口は347万人で世界132位
  • 立憲共和制、直接選挙で選出された大統領が元首、上院と下院の二院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界75位、購買力平価(PPP)で世界95位

ベネズエラ・ボリバル共和国
Bolivarian Republic of Venezuela

  • 国土面積は916,445km2(日本の約2.4倍)で世界32位、人口は2844万人で世界50位
  • 連邦共和制、直接選挙で選出された大統領が元首、大統領自身が行政府の長として内閣を統率、1999年憲法により国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界94位、購買力平価(PPP)で世界81位
ベネズエラ・ボリバル共和国 Bolivarian Republic of Venezuela

●首都
カラカス

ペルー共和国
Republic of Peru

  • 国土面積は1,285,220km2(日本の約3.4倍)で世界19位、人口は3297万人で世界39位
  • 立憲共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、共和国議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界49位、購買力平価(PPP)で世界46位
ペルー共和国 Republic of Peru

●首都
リマ

ボリビア多民族国
Plurinational State of Bolivia

  • 国土面積は1,098,581km2(日本の約3倍)で世界27位、人口は1,167万人で世界80位
  • 立憲共和制、大統領が国家元首で行政府の長、多民族立法議会は上院と代議院(下院)の二院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界91位、購買力平価(PPP)で世界92位
ボリビア多民族国 Plurinational State of Bolivia

●首都
ラパス
(憲法上の首都はスクレ)

コロンビア共和国
Republic of Colombia

  • 国土面積は1,141,000km2(日本の約3倍)で世界25位、人口は5,088万人で世界29位
  • 立憲共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、上院・下院の二院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界44位、購買力平価(PPP)で世界31位
コロンビア共和国 Republic of Colombia

●首都
ボゴタ

エクアドル共和国
Republic of Ecuador

  • 国土面積は283,560km2(本州と九州を合わせた広さ)で世界71位、人口は1,764万人で世界67位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で行政府の長、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界63位、購買力平価(PPP)で世界64位
エクアドル共和国 Republic of Ecuador

●首都
キト

チリ共和国
Republic of Chile

  • 国土面積は756,950km2(日本の約2倍)で世界37位、人口は1912万人で世界61位
  • 立憲共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で行政府の長、上院・下院の二院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界46位、購買力平価(PPP)で世界43位

ガイアナ共和国
Republic of Guyana

  • 国土面積は214,970km2(本州よりやや小さい)で世界81位、人口は79万人で世界160位
  • 立憲共和制、各党の候補者名簿より選出される大統領が国家元首、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界148位、購買力平価(PPP)で世界160位

スリナム共和国
Republic of Suriname

  • 国土面積は163,270km2(日本の約2分の1)で世界90位、人口は587,000人で世界166位
  • 立憲共和制、議会の3分の2以上の賛成によって選出された大統領が国家元首、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界162位、購買力平価(PPP)で世界153位
スリナム共和国 Republic of Suriname

●首都
パラマリボ

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参考リンク

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