概要
政府間開発機構(IGAD: Inter Governmental Authority on Development)は、東アフリカ各国を中心にして1996年に設立されたアフリカの準地域機構のひとつである。同機構の本部はジブチにある。原加盟国が6か国と他の準地域機構に比べ小規模からスタートしたが、加盟国の中には、アフリカの角地域を中心として、ソマリアやスーダンなど紛争が絶えない不安定な国が多く存在する。
同機構が扱う事項は、域内の環境や農業の分野に加え、経済協力や各分野の政策の調和、平和と安定の促進及び紛争の予防・管理・解決メカニズムの設置など広範な範囲に及ぶ。
直近の主な活動としては、下記の通り。
- 南スーダンにおける停戦暫定治安設置メカニズムを支援することにより、同地域の平和・安定に資する
- ソマリアにおける対テロ能力を強化することで、アフリカの角地域における平和構築及び平和定着を目指す
- 東アフリカ地域におけるアル・シャバーブ戦闘員及び勧誘対象の若者の解放、脱過激化、社会復帰及び再統合に関するコミュニティ指導者の能力構築を支援する
IGADの前身は、1986年に創設された干ばつ開発政府間機構(IGADD: Intergovernmental Authority on Drought and Development)であり、エチオピア、ジブチ、ソマリア、スーダン、ケニア、ウガンダの6か国が、国をまたぐ干ばつ問題を話し合うため組織化したのが始まりで、同地域で1970年代半ばから生じた干ばつと飢餓の問題に対応することを目的としていた。
アフリカ連合(AU)には、1991年のアブジャ条約に基づき、地域経済共同体(RECs: the Regional Economic Communities)と呼ばれる8つのサブ地域組織が設定されており、IGADはそのうちのひとつである。
地域経済共同体(RECs)は、自由貿易地域、関税同盟、単一市場、中央銀行、共通通貨の創設を目指して経済通貨同盟を確立ことを目的とするアフリカ連合(AU)を構成するアフリカ経済共同体(AEC: African Economic Community )の8つの柱でもある。
- サヘル・サハラ諸国国家共同体(CEN-SAD)
- 東アフリカと南部アフリカの共通市場(COMESA)
- 東アフリカ共同体(EAC)
- 中央アフリカ諸国経済共同体(ECCAS/CEEAC)
- 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)
- 政府間開発機関(IGAD)
- 南部アフリカ開発共同体(SADC)
- アラブ・マグレブ連合(AMU/UMA)
1993年に独立を果たしたエリトリアが加盟した後、1995年4月、国家元首および政府元首会議がアディスアベバで会合し、組織を通じて協力を強化することに合意、1996年3月21日にナイロビでIGADD 憲章/協定を改正する文書が署名された。
こうして、IGADDは経済や安全保障についても扱う地域機構として再定義され、現在のIGADに改組、1996年11月25日にジブチで発足した。
2011年に南スーダンが加わり、加盟国は8か国になった(現在資格停止中)。
加盟国
時期 | 状況 | メンバーシップ |
---|---|---|
1986 | IGADD発足 | ジブチ、エチオピア、ソマリア、スーダン、ケニア、ウガンダ |
1993 | 新規加盟 | エリトリア |
2007 | 脱退 | エリトリア |
2011 | 新規加盟 | 南スーダン |
2021.12 | 資格停止 | 南スーダン |
2023 | 再加盟 | エリトリア |
ジブチ共和国
Republic of Djibouti
- 国土面積は23,200km2(四国の約1.3倍)で世界146位、人口は99万人で世界157位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、首相と閣僚は大統領が任命、一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界158位、購買力平価(PPP)で世界166位
●首都
ジブチ市
エチオピア連邦民主共和国
Federal Democratic Republic of Ethiopia
- 国土面積は1,129,300.4km2(日本の約3倍)で世界26位、人口は1億1366万人で世界12位
- 連邦共和制、下院により選出される大統領が国家元首、議院内閣制、上院(連邦院)・下院(人民代表院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界62位、購買力平価(PPP)で世界70位
●首都
アディスアベバ
ソマリア連邦共和国
Federal Republic of Somalia
- 国土面積は637,657km2(日本の約1.8倍)で世界45位、人口は1239万人で世界78位
- 連邦共和制、大統領が国家元首、首相は議会の承認を得て大統領によって任命、上院(上院)とソマリア国民議会(下院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は(不明)、購買力平価(PPP)で世界148位
●首都
モガディシュ
スーダン共和国
The Republic of the Sudan
- 国土面積は1,846,972km2(日本の約5倍)で世界16位、人口は4796万人で世界30位
- 共和制、2019.4.11に軍事クーデター、2019.8.21、暫定軍事評議会の代わりに11カ国からなる主権評議会議長が国家元首、立法評議会を設立準備中
- 名目国内総生産(GDP)は世界96位、購買力平価(PPP)で世界69位
●首都
ハルツーム
ケニア共和国
Republic of Kenya
- 国土面積は580,367km2(日本の約1.5倍)で世界49位、人口は5377万人で世界27位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で内閣の長、2013年より二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界61位、購買力平価(PPP)で世界73位
●首都
ナイロビ
ウガンダ共和国
Republic of Uganda
- 国土面積は236,040km2(ほぼ本州大)で世界80位、人口は4,574万人で世界32位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で首相・閣僚を任命、一院制、儀礼的な5つの地方王国が併存する
- 名目国内総生産(GDP)は世界92位、購買力平価(PPP)で世界88位
●首都
カンパラ
エリトリア国
State of Eritrea
- 国土面積は121,320km2(北海道と九州とを併せた広さとほぼ同じ)で世界96位、人口は621万人で世界111位
- 一党独裁制(臨時政府)、独立以来、初代大統領でPFDJ書記長のイサイアス・アフェウェルキが国家元首の大統領、首相職は設置されていない、国民議会の一院制だが選挙が実施されていない
- 名目国内総生産(GDP)は世界164位、購買力平価(PPP)で世界154位
●首都
アスマラ
南スーダン共和国
The Republic of South Sudan
- 国土面積は619,745km2(日本の約1.7倍)で世界45位、人口は1119万人で世界83位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、暫定国民立法議会と全州評議会の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界153位、購買力平価(PPP)で世界133位
●首都
ジューバー