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南部アフリカ開発共同体(SADC)

南部アフリカ開発共同体(SADC) 分類する
南部アフリカ開発共同体(SADC)

概要

南部アフリカ開発共同体(SADC: Southern African Development Community)は、南部アフリカ開発調整会議(SADCC)を改組し、1992年に設立されたアフリカの地域準機構のひとつである。本部はボツワナハボローネに所在する。

南部アフリカの16か国が加盟する地域経済共同体の一つで、南部アフリカ諸国の人々の貧困削減及び生活向上のため、域内の開発、平和・安全保障、経済成長の達成を目的とし、経済統合・共同市場の創設及び紛争解決・予防等に向けた活動を行っている。

SADCの特徴として、南部アフリカという純粋に地域的な枠組みで構成されていること、常に当該地域の大国である南アフリカと周辺諸国との関係が問題とされてきたことが挙げられる。

SADCの前身であるSADCC(南部アフリカ開発調整会議)は、南アフリカによる経済支配からの脱却、平等な立場での地域統合等を主な目的としていた。しかし、1994年の南アフリカにおけるアパルトヘイト体制の終焉により、周辺諸国は今までの南アフリカに対する対立路線から協調路線へと変化していく。

南アフリカがアパルトヘイトを撤廃した後,1992年に現在の南部アフリカ開発共同体(SADC)に改組され、1994年には南アフリカも加盟した。

SADCの主な目的は、以下の通り。

  • 域内の開発
  • 平和・安全保障
  • 経済成長の達成
  • 経済統合・共同市場の創設
  • 紛争解決・予防

正式発足までの過程

1974年に、タンザニア、ザンビア、ボツワナが、南アフリカとローデシア(現ジンバブエ)におけるアパルトヘイトと白人少数派支配を終わらせることに尽力するための緩やかな連合・協議体として前線諸国(Flontline States)がスタートした。

1975年4月、ボツワナ、レソト、タンザニア、ザンビアで構成されていた前線諸国は、アフリカ統一機構の国家元首会議の委員会として正式に承認された。その後、アンゴラ (1975年)、モザンビーク (1975年)、ジンバブエ (1980年) が独立を獲得した際に加盟し拡大していく。

そして前線諸国自体は、1994年にネルソン・マンデラが南アフリカ大統領に就任した後に解散することになる。

1970年代末の南部アフリカ諸国が政治闘争の協力経験から幅広い自信を有しつつ経済協力に関心を移した時期に、1979年5月のハバローネ外相会議を経て、同年7月、タンザニアのアルーシャでの首脳会議によって経済協力機構設立の合意がなされ、翌1980年4月、ルサカ宣言の採択により南部アフリカ開発調整会議(SADCC: Southern African Development Coordination Conference)が参加9か国(アンゴラ、ボツワナ、レソト、マラウイ、モザンビーク、スワジランド、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ)の下で発足した。

SADCC の目標は、
①南アフリカ・アパルトヘイト体制に対する経済依存状況からの脱却
②集団的助助のための資源の動員
③国家、地域的影響をもつプロジェクトの実施
④国際的理解と支援の確保

とされた。

SADCCは基本的に農業を基幹産業とする参加国で構成され、6か国が内陸国であり、タンザニア、アンゴラを除いて南アフリカの経済的支配を受けている国が多く、石油資源はアンゴラのみに限られていた。

80年代に入り、南アフリカでは黒人の解放運動に対して非常事態宣言が発動される一方、南アフリカ政府の不安定化工作や当時の南部アフリカを襲った干ばつなどの影響で、参加国の多くが混乱と動揺を余儀なくされていた。

そのため、SADCCの一層の機能強化が参加国の間に共通の課題として認識され、1986年1月にジンバブエのハラレで開催された第7回SADCC首脳会議にて、過去5年間の検討を中心に、資金問題、経済力の相違や地理的条件を含む構成国間の平等問題、国益と地域益の対立問題、東・南部アフリカ特恵貿易地域との兼ね合い問題、そして援助供与国の約束履行問題などが検討された。

その後、1992年8月17日、ナミビアのウィントフックでの首脳会議において、「ウィントフック宣言」「SADC設立条約」の採択が行われ、南部アフリカの協議体から共同体への移行として、SADCCからSADCへの組織改革が行われた。

SADCは、その前身組織と対比して、より法的かつ公的な地位の組織であり、開発プロジェクトの調整から経済統合のためのより複雑な作業に向かうことになった。そこではより高い調和と合理化によって集団的自助を促し、資源の供出と生活水準の向上を図るとしている。

また、原則事項として、次の事項を掲げた。
①加盟国の主権の平等
②連帯・平和・安全
③人権・民主主義・法治
④平等・バランス・相互互恵
⑤紛争の平和的解決

アフリカ連合(AU)には、1991年のアブジャ条約に基づき、地域経済共同体(RECs: the Regional Economic Communities)と呼ばれる8つのサブ地域組織が設定されており、SADCはそのうちのひとつである。

地域経済共同体(RECs)は、自由貿易地域、関税同盟、単一市場、中央銀行、共通通貨の創設を目指して経済通貨同盟を確立ことを目的とするアフリカ連合(AU)を構成するアフリカ経済共同体(AEC: African Economic Community )の8つの柱でもある。

  1. サヘル・サハラ諸国国家共同体(CEN-SAD/COMESSA) サヘル・サハラ諸国国家共同体(CEN-SAD)
  2. 東南部アフリカ市場共同体(COMESA) 東アフリカと南部アフリカの共通市場(COMESA)
  3. 東アフリカ共同体(EAC)East African Community 東アフリカ共同体(EAC)
  4. 中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS/CEEAC) 中央アフリカ諸国経済共同体(ECCAS/CEEAC)
  5. 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)エコワス 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)
  6. 政府間開発機構(IGAD) 政府間開発機関(IGAD)
  7. 南部アフリカ開発共同体(SADC) 南部アフリカ開発共同体(SADC)
  8. アラブ・マグレブ連合(AMU/UMA) アラブ・マグレブ連合(AMU/UMA)

沿革・活動

  • 1974年 前線諸国(Flontline States)が結成
  • 1980年4月 南部アフリカ開発調整会議(SADCC)が設立
  • 1992年8月 南部アフリカ開発共同体(SADC)が設立
  • 2001年8月14日 SADC条約が改正:SADCの構造・政策・手順の徹底的な見直し、政治・安全保障協力が政治・防衛・安全保障機関 (OPDS) で制度化
  • 2008年8月 SADC自由貿易地域が設立
  • 2008年10月 東南部アフリカ共同市場(COMESA)および東アフリカ共同体(EAC)と連携し、各組織の全メンバーを含むアフリカ自由貿易地帯を形成
  • 2012年 反政府勢力の脅威に対抗するためにコンゴ民主共和国に平和維持軍を派遣
  • 2019年8月 英語、フランス語、ポルトガル語と並ぶ4番目の使用言語としてスワヒリ語を採用

組織

  • 首脳会議:SADCの最高意思決定機関、年1回議長国にて開催、決定は原則コンセンサス方式でなされる
  • 閣僚会議:外交担当または経済開発担当大臣が参加、議長国等にて年2回開催
    • 次官級常設委員会
    • 政治・防衛・安全保障機構(1996年設置)
    • SADC国別委員会
    • SADC裁判所
  • 事務局:ボツワナの首都ハボロネに置かれ、事務局長を長とする

加盟国

時期状況メンバーシップ
1975.4前線諸国が結成ボツワナ、レソト、タンザニア、ザンビア
1975.6新規加盟モザンビーク(ポルトガルから独立)
1975.11新規加盟アンゴラ(ポルトガルから独立)
1980新規加盟ジンバブエ(イギリスから独立)
1980.4SADCC設立タンザニア、アンゴラ、ザンビア、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエ、
ボツワナ、スワジランド(現エスワティニ)、レソト
1990.3新規加盟ナミビア(独立)
1992.8SADC設立タンザニア、アンゴラ、ザンビア、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエ、
ナミビア、ボツワナ、スワジランド(現エスワティニ)、レソト
1994.8新規加盟南アフリカ
1995.8新規加盟モーリシャス
1997新規加盟セーシェル、コンゴ民主共和国
2004脱退セーシェル
2005新規加盟マダガスカル
2008再加盟セーシェル
2009資格停止マダガスカル
2014資格回復マダガスカル
2017新規加盟コモロ連合

コンゴ民主共和国
Democratic Republic of the Congo

西隣のコンゴ共和国とは別の国、旧名はザイール共和国

  • 国土面積は2,345,410km2 で世界11位、人口は1億841万人で世界14位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、半大統領制で最大与党から大統領が首相を任命、元老院(上院)・国民議会(下院)の二院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界86位、購買力平価(PPP)で世界98位

タンザニア連合共和国
United Republic of Tanzania

  • 国土面積は945,087km2(日本の約2.5倍)で世界30位、人口は6,385万人で世界23位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で首相と閣僚を任命、閣僚は議員でなければならない、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界71位、購買力平価(PPP)で世界74位

アンゴラ共和国
Republic of Angola

  • 国土面積は1,246,700km2(日本の約3.3倍)で世界22位、人口は3287万人で世界45位
  • 共和制、議会選挙で最多得票を獲得した政党名簿で第1位にある者が自動的に大統領となる議院大統領制、首相職はなし、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界75位、購買力平価(PPP)で世界103位
アンゴラ共和国 Republic of Angola

●首都
ルアンダ

ザンビア共和国
Republic of Zambia

  • 国土面積は752,614km2(日本の約2倍)で世界38位、人口は1838万人で世界64位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、首相職は1991.8.31に廃止、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界110位、購買力平価(PPP)で世界99位
ザンビア共和国 Republic of Zambia

●首都
ルサカ

マラウイ共和国
Republic of Malawi

  • 国土面積は118,480km2(日本の約1/3)で世界98位、人口は1913万人界62位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、首相職は1966年以降廃止、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界143位、購買力平価(PPP)で世界136位

モザンビーク共和国
Republic of Mozambique

  • 国土面積は801,590km2(日本の約2倍)で世界35位、人口は3126万人で世界47位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、半大統領制、首相は大統領が任命、共和国議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界121位、購買力平価(PPP)で世界119位
モザンビーク共和国 Republic of Mozambique

●首都
マプト

コモロ連合
Union of Comoros

  • 国土面積は2,235km2(ほぼ東京都大)で世界169位、人口は85万人で世界164位
  • 連邦共和制、3島から輪番制で選出される大統領が国家元首、首相職は2002.4.15に廃止、コモロ連合議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は11億7,900万ドル、購買力平価(PPP)で26億1,900万ドル
コモロ連合 Union of Comoros

●首都
モロニ

マダガスカル共和国
Republic of Madagascar

  • 国土面積は587,040km2(日本の約1.6倍)で世界45位、人口は2769万人で世界51位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、半大統領制、首相は大統領が任命、上院・下院の二院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界125位、購買力平価(PPP)で世界115位

ジンバブエ共和国
Republic of Zimbabwe

  • 国土面積は390,757km2(日本よりやや大きい)で世界61位、人口は1486万人で世界72位
  • 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で行政府の長、首相職は2013年に廃止、上院・下院の二院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界127位、購買力平価(PPP)で世界126位
ジンバブエ共和国 Republic of Zimbabwe

●首都
ハラレ

ボツワナ共和国
Republic of Botswana

  • 国土面積は581,730km2(日本の約1.5倍)で世界47位、人口は238万人で世界142位
  • 共和制、国民議会によって選出される大統領が国家元首で行政府の長、議院内閣制だが首相職はない、国民議会の一院制
  • 名目国内総生産(GDP)は世界117位、購買力平価(PPP)で世界118位