[定点観測] 経営指標 企業ランキング2024.3.29 追加しました
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(Interest Coverage Ratio)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(Interest Coverage Ratio) 経営分析
インタレスト・カバレッジ・レシオ(Interest Coverage Ratio)
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(Interest Coverage Ratio)
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計算式

インタレスト・カバレッジ・レシオは、利息負担倍率(TIE: Times Interest Earned Ratio)とも呼ばれる。企業の現在の収益力から金利の支払能力を見る指標である。

\( \displaystyle \bf インタレスト・カバレッジ・レシオ = \frac{EBIT}{支払利息} \)

企業の収益は負担すべき金利支出の何倍に相当するか、という見方をする。

海外では、企業の収益力をEBITで測定し、EBITの金利負担能力を試すものだが、日本では、企業の通常の活動から生み出す収益を、「営業利益」「受取配当金」「受取利息」を加えたもので考える傾向が強い。

これは、日本の商慣習と会計基準により、営業外利益特別利益で益出し(含み益の実現)をして、利払いや配当金支払いに充てることが比較的容易に経営者の裁量で可能であるため、経常的な企業の収益力との対比をするために、海外でよく用いられるEBITより、営業利益+受取配当金・受取利息の方を選別する理由のひとつになっている。

支払利息の方には、割引手形における「割引手数料(割引料)」を含める場合がある。これは、経済実態的に受取手形を担保に融資を受けていることと同じであり、割引料が金利相当分に該当するという考え方に基づく。

  • EBIT: Earnings before Interest and Taxes(利息及び税金控除前利益)
  • 支払利息:社債や借入金といった元本にかかる利息

定義と意味

インタレスト・カバレッジ・レシオは、「Earnings Coverage Ratio」の代表的なもののひとつである。

財務レバレッジ系の指標は、B/S項目間の相対的な構成比率を取り上げて、最適資本構成や将来の長短の支払能力を評価していたのに比べて、「Earnings Coverage Ratio」系の指標の特徴は、直接的に企業の収益力債務の返済能力を比較する点にある。

経営者目線から見ると、インタレスト・カバレッジ・レシオが大きい場合は、まだ財務的に余裕があるため、追加融資を実行してもらい、ビジネス拡大のチャンスの機会を逃さないようにすることができる。

貸手側からみると、インタレスト・カバレッジ・レシオが小さい場合は、将来の債務不履行のリスクが大きいのではないかと判断して、融資の実行に対して慎重になり与信調査を入念にするヒントを得ることができる。

なお、インタレスト・カバレッジ・レシオには、オペレーティングリースは考慮されないことが慣例となっている。

リース費用も含めた財務健全性の評価をしたい場合は、次の指標が参考になるかもしれない。

解釈と使用法

この指標は「倍率」で表される。この倍率が大きければ大きいほどデフォルトリスク(債務不履行リスク)は小さいと考えることができる。

一般的には、「長期負債対自己資本比率」より保守的に企業の支払能力を厳しく見ることができる。

EBITも営業利益も、支払利息を控除する前の利益概念である(すなわち支払利息が含まれている)ため、支払利息の源泉、支払の手段としてみることはどちらも適切である。

ただし、鉄道や電力・ガス業界など、安定的な現金収入がある程度固定的に見込める業種の企業の場合は、信用リスクも高めにとることができるため、借入金を積極的に活用した資金調達を行っているかもしれない。

そういう企業は、インタレスト・カバレッジ・レシオが低めに出ると同時に、総資産に占める固定資産の割合も高めに出る傾向にある。

よって、この指標についても、同じ営業上のリスクリターンのパターンを共有する競合他社との比較に基づいて分析することが必要になる。

海外では、インタレスト・カバレッジ・レシオは「3.0」を超えていれば、優良企業と言われている。「1.5」を下回るなら、かなりの程度で債務不履行リスク(デフォルトリスク)が発生するとみなされる。

従来型の日本企業は、間接金融への依存度が欧米企業に比較して高かったため、この値が「10.0」を超えれば安心、「2.0~3.0」あたりが、危険かそうではないかのひとつの目安とされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオが「1.0」ということは、その年に稼いだ利益はすべて利払に消えてしまうことを意味しており、せっかくビジネスを営んでいても、銀行のために額に汗して働くといっても過言ではない状態になっていることを表している。

インタレスト・カバレッジ・レシオ < 2.0 ~ 3.0

この値が2.0~3.0より小さければ、将来の債務不履行リスクが高いといえる

逆に、インタレスト・カバレッジ・レシオが「10.0」を上回っていれば、利益が10分の1になるという劇的な変化が起きても利払いは安心できると考えられる。

また、追加融資を現在の10倍まで受けられる可能性があると見ることもできる。

インタレスト・カバレッジ・レシオ > 10.0

この値が10.0より大きければ、将来の債務不履行リスクが低いといえる

日本企業の実態としては、業種によってかなりばらつきがある。鉄道・電力・水産などは、2~3倍程度であるのに対し、自動車・機械・素材は、10~20倍となっている。医薬品はおおむね100倍超となっている。

それぞれの業種ごとの事業リスクを考慮して、債務不履行リスクと超過収益力の双方のバランスをとって、最適資本構成を見出す必要があることには違いがない。

シミュレーション

以下に、Excelテンプレートとして、FY14~FY19のトヨタ自動車の実績データをサンプルで表示している。

入力欄の青字になっている「期間」「当期純利益」「支払利息」「法人税等」に任意の数字を入力すると、表とグラフを自由に操作することができる。

どんな入力をしても、元ファイルが壊れることはない。入力し直したい、元に戻したい場合は、画面を更新(F5押下など)すれば、初期値に戻る。

自分の手元でじっくり検証したい場合は、上記のダウンロードボタンから、Excelをダウンロードすることをお勧めする。

10~20倍程度が多い自動車産業にあって、トヨタ自動車のインタレスト・カバレッジ・レシオはかなり優位な水準にある。

なお、上記の支払利息は、金融セグメントの金融費用としての支払利息を含まない。

参考サイト

同じテーマについて解説が付され、参考になるサイトをいくつか紹介しておく。

[財務諸表分析]比率分析指標の体系と一覧[財務諸表分析]比率分析指標の体系と一覧

1財務諸表分析の理論経営分析との関係、EVAツリー
2成長性分析(Growth)売上高・利益・資産成長率、持続可能成長率
3流動性分析(Liquidity)短期の支払能力、キャッシュフロー分析
4健全性分析(Leverage)財務レバレッジの健全性、Solvency とも
5収益性分析(Profitability)ROS、ROA、ROE、DOE、ROIC、RIなど
6効率性分析(Activity)各種資産・負債の回転率(回転日数)、CCC
7生産性分析(Productivity)付加価値分析、付加価値の分配
8市場指標(Stock Market)株価関連分析、株主価値評価

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