概要
中部アフリカ諸国経済共同体は、1981年12月に設置が合意され、1983年にECCAS設立条約の署名によって設立された経済共同体で、中部アフリカ諸国が加盟する準地域機構のひとつである。本部はガボンのリーブルヴィルにある。
- 仏: Communauté Économique des États de l’Afrique Centrale; CEEAC
- 英: Economic Community of Central African States; ECCAS
- 西:Comunidad Económica de los Estados de África Central; CEEAC
- 葡:Comunidade Económica dos Estados da África Central; CEEAC
中部アフリカ諸国経済共同体の主なミッションとして、調和のとれた協力を通じて集団自治を達成し、国民の生活水準を向上させ、経済の安定を維持することを目指している。1999年には、経済社会統合に不可欠な平和維持及び安定をはじめとした4つの優先分野が設定された。
平和安全保障分野において、1999年に平和安全保障評議会(COPAX: Conseil de Paix et de Securite de l’Afrique Centrale)が設置された。翌2000年にCOPAX議定書が採択され、”Gabon2000”という名の平和維持分野における加盟国の紛争予防及び管理における能力向上を目的とする軍事演習が実施された。
2001年に国連との協力における総会決議も採択され、同年国連オブザーバーとしての地位を取得した。
アフリカ連合(AU)には、1991年のアブジャ条約に基づき、地域経済共同体(RECs: the Regional Economic Communities)と呼ばれる8つのサブ地域組織が設定されており、ECCAS/CEEACはそのうちのひとつである。
地域経済共同体(RECs)は、自由貿易地域、関税同盟、単一市場、中央銀行、共通通貨の創設を目指して経済通貨同盟を確立ことを目的とするアフリカ連合(AU)を構成するアフリカ経済共同体(AEC: African Economic Community )の8つの柱でもある。
- サヘル・サハラ諸国国家共同体(CEN-SAD)
- 東アフリカと南部アフリカの共通市場(COMESA)
- 東アフリカ共同体(EAC)
- 中央アフリカ諸国経済共同体(ECCAS/CEEAC)
- 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)
- 政府間開発機関(IGAD)
- 南部アフリカ開発共同体(SADC)
- アラブ・マグレブ連合(AMU/UMA)
発足までの経緯と沿革
サハラ以南の旧仏領アフリカ諸国は1960年に独立を達成した後、旧植民地通貨CFAフランを使用する西アフリカと中部アフリカの2つのグループに分かれた。中部アフリカでは、1964年のブラザビル条約により、1966年1月にカメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ共和国、ガボンの5か国により設立された域内共同機関として、中部アフリカ諸国中央銀行(Banque des États del’Afrique Centrale;BEAC)を中核とする、中部アフリカ関税経済同盟(Union Douanière des États Afriques Centrals;UDEAC)が中部アフリカ通貨協力圏を形成するに至る。
その後1983年12月19日に赤道ギニアが加盟、域内の貿易を無関税とし、第三国からの輸入について共同の基本関税率の適用のほか、加盟国間の開発計画の調整、共通の投資法の制定・実施、共同の融資基金の設立、加盟国国民の域内における移動の自由の保証などを主な役割とした。
1974年には域内の経済統合を推進する方向が打出され、1990年初頭には事実上の経済通貨統合を完成していた。
UDEACは改組の作業を進めて、1994年3月16日にチャドの首府ンジャメナでCEMAC設立条約が署名された。批准手続きが遅れたため、1996年7月5日にようやく発効した。これにより、1964年12月に共通通貨としての中央アフリカCFAフランとの通貨同盟の形成を通じて小地域統合のプロセス全体を促進するために設立された中部アフリカ関税経済同盟(UDEAC)は1999年6月に終了、中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)へ引き継がれることとなった。
この動きと並行して、1981年12月の首脳会議で、UDEACの指導者らは中央アフリカ諸国のより広範な経済共同体を形成することに原則的に合意した。UDEAC参加国(カメルーン、 ガボン、 チャド、 コンゴ、 中央アフリカ共和国、 赤道ギニア)、サントメ・プリンシペと1976年に設立された五大湖諸国経済共同体(英語 ECGLC: Economic Community of the Great Lakes Countries、フランス語 CEPGL: Communauté Économique des Pays des Grand Lacs)のコンゴ民主共和国、ブルンジ、ルワンダによって、1983年10月18日に、中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)が設立された。アンゴラは1999年に正式加盟国となるまでオブザーバー参加であった。
中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS) は、1985年に機能を開始しましたが、財政難と五大湖地域の紛争のため、1992年以来数年間は活動を休止していた。コンゴ民主共和国での戦争は、ルワンダとアンゴラが対立する立場で戦ったため、特に大きな分裂をもたらすことになった。ECCASとアフリカ経済共同体(AEC)の間の正式な交渉は1999 年10月になって初めて確立され、ECCASはAECと地域経済共同体との間の関係議定書に署名、1999年10月にブロック(REC) に登録された。
2022年8月、中央アフリカ11か国の代表はヤウンデで、中央アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)、中央アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)、および五大湖諸国経済共同体(CEPGL)といった地域の3つの経済圏の合併原則を採択した。
組織
- 国家元首および政府元首会議(最高意思決定機関)
- 閣僚評議会
- 裁判所(未設置)
- 諮問委員会
- 専門技術委員会
- 平和安全保障評議会(COPAX)
- 事務総局(執行機関)
加盟国(CEMAC参加国)
カメルーン共和国
Republic of Cameroon
- 国土面積は475,440km2(日本の約1.3倍)で世界52位、人口は2655万人で世界52位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で行政府の長、元老院(上院)・国民議会(下院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界90位、購買力平価(PPP)で世界94位
●首都
ヤウンデ
中央アフリカ共和国
Central African Republic
- 国土面積は622,984km2日本の約1.7倍)で世界43位、人口は492万人で世界124位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で半大統領制、首相は議会から選出、内閣の代わりに閣僚評議会がある、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界163位、購買力平価(PPP)で世界168位
●首都
バンギ
チャド共和国
Republic of Chad
- 国土面積は1,284,000km2(日本の約3.4倍)で世界20位、人口は1643万人で世界70位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で首相を任命、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界137位、購買力平価(PPP)で世界123位
●首都
ンジャメナ
赤道ギニア共和国
Republic of Equatorial Guinea
- 国土面積は28,051km2(四国の約1.5倍)で世界141位、人口は168万人で世界154位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で行政府の長、内閣の代わりに閣僚評議会、大統領の職務代行のための国家評議会がある、2012年より上院と下院(人民代表院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界140位、購買力平価(PPP)で世界128位
●首都
マラボ
ガボン共和国
Gabonese Republic
- 国土面積は267,667km2(日本の約3分の2)で世界74位、人口は223万人で世界143位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で行政府の長、内閣の代わりに閣僚評議会、元老院(上院)・国民議会(下院)の二院制、2023年8月30日にクーデターが発生、制度移行・回復委員会が政権掌握
- 名目国内総生産(GDP)は世界119位、購買力平価(PPP)で世界117位
●首都
リーブルヴィル
コンゴ共和国
Republic of Congo
- 国土面積は342,000km2(日本の約0.9倍)で世界62位、人口は552万人で世界116位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で半大統領制、上院と国民議会(下院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界141位、購買力平価(PPP)で世界124位
●首都
ブラザヴィル
加盟国(CEMAC不参加国)
アンゴラ共和国
Republic of Angola
- 国土面積は1,246,700km2(日本の約3.3倍)で世界22位、人口は3287万人で世界45位
- 共和制、議会選挙で最多得票を獲得した政党名簿で第1位にある者が自動的に大統領となる議院大統領制、首相職はなし、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界75位、購買力平価(PPP)で世界103位
●首都
ルアンダ
ブルンジ共和国
Republic of Burundi
- 国土面積は27,830km2で世界147位、人口は1189万人で世界79位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で首相と閣僚を任命、上院と国民議会(下院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界159位、購買力平価(PPP)で世界156位
コンゴ民主共和国
Democratic Republic of the Congo
西隣のコンゴ共和国とは別の国、旧名はザイール共和国
- 国土面積は2,345,410km2 で世界11位、人口は1億841万人で世界14位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、半大統領制で最大与党から大統領が首相を任命、元老院(上院)・国民議会(下院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界86位、購買力平価(PPP)で世界98位
●首都
キンシャサ特別州
ルワンダ共和国
Republic of Rwanda
- 国土面積は26,338km2で世界144位、人口は1295万人で世界75位、アフリカで最も人口密度が高い
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首で内閣の長、上院・下院の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界138位、購買力平価(PPP)で世界139位
●首都
キガリ
サントメ・プリンシペ民主共和国
Democratic Republic of Sao Tome and Principe
- 国土面積は964km2(東京都の約半分)で世界171位、人口は22万人で世界176位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、半大統領制、首相は国民議会が選出し大統領が任命、国民議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界183位、購買力平価(PPP)で世界182位
●首都
サントメ
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