[定点観測] 経営指標 企業ランキング2024.3.29 追加しました
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外部環境分析 Analyzing the External Environment

外部環境分析 Analyzing the External Environment マネジメント
外部環境分析 Analyzing the External Environment

外部環境分析 Analyzing the External Environment

●戦略的計画プロセス

#ステップ内容
1MVVG定義企業のミッション・ビジョン・価値・ゴールの定義
2外部環境分析機会と脅威を明らかにするため、企業外部の競争環境の分析
3内部環境分析強みと弱み、組織の限界を明らかにするため、企業内部の業務環境の分析
4戦略策定
(SWOT分析)
組織のミッション・ゴールと一貫性のある戦略の選択と策定
5戦略実行選択された戦略の展開・実行

外部環境分析の対象

企業のミッションを定義しゴールを定めた後、最初に行う戦略計画プロセス上のアクションは、自社および競合他社がオペレーションを展開している産業・業界を形作っているあらゆる力場を分析することである。

それは、その産業・業界の中で企業が活用し得る市場機会(opportunities)と、ミッションを遂行する上で直面するいかなる脅威(threats)をも理解するために必要なことだからである。

市場機会と脅威に対する理解は、市場競争を勝ち抜くうえで競合他社を凌ぐ高業績をもたらしてくれる。

  • 市場機会(Opportunities): 自社をもっと高収益体制にできるように外部環境条件を活用してアドバンテージが得られるようになること
  • 脅威(Threats): 企業収益に対して危険をもたらす外部環境条件

この3つの外部環境は相互に関連しており、注意深く観察されなければならない。

  • 産業・業界
  • 国家(国民社会)と国際関係
  • もっとも外側にあるマクロ環境(強いて言うならグローバル環境)

産業・業界は、自社が提供する製商品・サービスと類似する商材を提供する同業他社からなるグループで、似たような顧客ニーズを満たそうと努力している点で共通している。

同じ産業に属していて、同じ顧客ニーズを満たそうと努力している競合他社は一番近いところにいるライバルである。

外部環境分析において、自社が競争している産業の構成を明らかにすることは最初に手掛けるべき手順である。

産業分析(業界分析)は、まず産業・業界全体を総体(まるごと)で調べる。次いで、自社の市場内での競争状況を調べる。そして、主要なライバル企業の競争的位置について調べることになる。

産業固有の性質や特質、産業の成長ステージ、産業史や産業構造の変化・推移なども分析対象に入る。

例えば、自社が属している業界の競争が非常に激しいか競争がぬるいか、市場競争から受ける販売価格抑制のプレッシャーがどの程度か、マーケティング努力はどの程度必要とされているか、R&Dの必要度と逼迫度はどの程度か、等である。

同様に、産業が成長期にあるならば、自社はどれくらいその市場成長(市場拡大)の恩恵にあずかれるか、市場が衰退状況にあるなら、その対応にどんな/どれだけの準備が必要になるか等も検討されねばなるまい。

国民と国際環境には国際政治リスクと同様に国内政治リスク、産業内のグローバル競争状況が含まれる。国際政治リスクには国家収用や戦争(従業員の安全確保やそのための追加コスト)を含む。

マクロ環境には、産業全体や経済全体に影響を与えるマクロ経済を構成する要素がすべて含まれる。戦略的計画や予算立案にとって最も重要なマクロ環境として、

  • 経済成長(economic growth)はより多くの消費をもたらし、企業がより多くの業務を内部に取り込んだり、利益を増やすことに貢献してくれる。経済不況(economic reccession)は、消費支出を打ち砕き、成熟市場にあっては価格戦争を引き起こす。どちらも、将来の需要・売上高・純利益に影響する。産業に属する企業は全て、経済成長と経済不況の影響下にある
  • 金利水準(level of interest rates)は、企業が属している市場における需要が金利に左右されるとしたら、企業収益と純利益に影響を及ぼし得る。例えば、住宅市場や資本財産業など。金利上昇は需要の減退を招き、金利低下は需要を喚起する。金利は全ての企業の資本コストを左右することで、起業や成長投資を促進もするし減退もさせる
  • 外国為替変動(changes in currency rates)は、国際貿易における企業の競争力に作用する。自国通貨(local currency)の下落は、外国通貨の上昇中は、海外輸出を増やすチャンスを増やしてくれる。一方で、自国通貨の上昇は、その逆で、海外輸出を価格競争力の点で困難する
  • インフレ(inflation)デフレ(deflation)は、企業の新規プロジェクトへの投資を抑制する働きを持つ。インフレ増進中は、投資から回収されるべきリターンが目減りするため、新規プロジェクトを起す意欲が損なわれる。デフレ継続中は、経済の安定が損なわれ、企業債務に対する負担が増し、固定金利といえども利払い負担が増加し、債務返済に苦しむことになる。そういう企業は新規プロジェクトを起す余力を持ちにくい

併せて、マクロ環境には環境問題、政府・公共、法規制、国際関係、技術革新などのような企業と産業に影響を及ぼす社会的要素(social factors)も含まれる。代表的なものとして例えば、

  • 環境保護当局による環境保護法制の強制力の程度は、その時々の国際情勢によって異なる。米国の場合は、EPA(Environmental Protection Agency)の人事や日本の場合は環境省の人事、国会審議を通った環境規制法規、政党間勢力の趨勢など
  • 現在および将来の税額控除(tax credit)は全産業の需要を喚起もするし、税額控除が期限を迎えると関連需要が落ち込みもする。例えば、近年でいえば、太陽光パネル投資や固定価格買い取り制度(FIT)など。その影響は、太陽光パネル部材のメーカー、太陽光パネルのメーカー、太陽光パネルの設置業者にまで及んだ

ファイブフォース(5フォース)分析

マイケル・ポーターが著書『競争の戦略』で広めた有名なビジネスフレームワークに「Porter’s Five Forces Framework/ Five Forces Model」がある。

このフレームワークは、マネジャーが市場環境における競争力を機会と脅威の観点から分析することを手助けしてくれるものである。

  • 内的要因
    • 「供給企業の交渉力」Bargaining power of suppliers
    • 「買い手の交渉力」Bargaining power of customers
    • 「競争企業間の敵対関係」Competitive rivalry
  • 外的要因
    • 「新規参入業者の脅威」Threat of new entrants
    • 「代替品の脅威」Threat of substitutes

ポーターによれば、これら5つの競争要因のうち、ひとつ以上が強ければ、企業の値上げ力とそれに伴う高収益に制限が加えられ、収益性は頭打ちとなる。強力な競争要因と市場における脅威は収益性を抑制するのである。

弱い競争要因は、企業が値上げするのを許容し高収益を招く。市場機会も同様である。

5つの力の強弱は時とともに変化するし、業種・業界が異なれば示される特徴も変わり得る。

マネジャーは、適切な戦略的対応をとれるように、これらの5つの力の変化を認識できるようになる必要がある。

ポーターは、戦略的行動の選択を通して、5つの競争要因のうち、ひとつ以上の強みを積極的に得ることで企業に高収益をもたらすことができるという。

「競争企業間の敵対関係」The intensity of rivalry among established companies within an industry

ここでの競争とは、一つの産業内におけるマーケットシェアを同業他社間で相互に奪い合うことである。

この競争における武器は、価格・製品デザイン・マーケティング努力・販促活動・アフターサービスなどである。

もし競争が激しいなら、低販売価格でかつ高コストで、利益がかなり削られていくだろう。それゆえ、激しい市場競争は強力な脅威そのものである。

しかしながら、もし競争が激しくない場合は、その産業内に位置する企業は販売価格を上げるかコストを下げることが可能になる。それは企業の利益を増やすことにつながる。

市場退出障壁の高さは、産業内の既存の競合他社同士の競争の激しさに大いに影響を及ぼす。市場退出障壁はその産業からライバル企業が退出するのを妨げようとする。

市場退出障壁が高ければ、どの企業もその産業に縛り付けられて、需要減退がもたらす過剰設備により価格戦争が起こる。

高い市場退出障壁の例として、具体的には、特定の産業特有の(他には転用不可能な)資産への膨大な投資が挙げられる。

ある産業が過剰設備状態(overcapacity)となり、ある企業が市場退出しようと既存設備を競合他社(あるいは新規参入希望会社)に売却しようとしても多額の売却損の発生が不可避である状態に陥ることである。

「買い手の交渉力」The bargaining power of buyers

もし買い手が大手のディスカウント・ストア・チェーンだったなら、大幅な値切り交渉力に長け、程よい品質の製商品・サービスで製造業者がかなりコストをかけて開発・製造したものを購入しようとする市場の魅力度はとても低いものになるだろう。

製造業者はかけたコストを回収するのもままならない程の低収益に陥る。強力過ぎる買い手は脅威以外の何物でもない。

「供給企業の交渉力」The bargaining power of suppliers

強力なサプライヤーもまた市場における脅威である。もし、サプライヤーが高い部材費や直接労働費を吹っかけて、受け入れられなければ、低品質のものしか供給しないと脅してきたとしたら、その購入者が集う産業全体のコストが跳ね上がることになる。

(注:直接労働費コストアップは、強硬な賃上げ要求などを行う労働組合をイメージすると分かりやすい)

「新規参入業者の脅威」The risk of entry by potencial competitors

潜在的な新規参入業者とは、現在は市場参入していなくても将来は市場参入してくるであろう業者のことである。

新規参入障壁が高ければ高いほど、例えば、コストが高つくものであったり、法規制が厳しいことは、新規参入者を阻む高い障壁となり、既存業者との間の決定的な差となる。

初期投資負担が莫大な金額に上り、収益をプラスにするのに大きな事業規模を必要とする経済的負担もまた、既存プレイヤーを守る大きな参入障壁となり得る。

「代替品の脅威」The closeness of substitutes to an industry’s products

ある産業が生み出す製商品・サービスに類似する代替品が存在することは脅威のひとつである。

なぜなら、既存産業内で生み出された製商品へのコストの価格転嫁を妨げ、低価格での販売を余儀なくされるからである。

もし代替品が皆無かほとんどない製商品ならば、買い手がよそへ逃げることをあまり恐れることなく、販売価格に製造・販売コストを転嫁して、十分に利益を享受できる価格で販売することが可能となるだろう。

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