[定点観測] 経営指標 企業ランキング2024.3.29 追加しました
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機能別戦略 Functional-Level Strategy

機能別戦略 Functional-Level Strategy マネジメント
機能別戦略 Functional-Level Strategy

機能別戦略 Functional-Level Strategy

機能別戦略は、企業内部におけるオペレーション(業務運営)の有効性(effectiveness)をカイゼンするために設定される。

有効性が高められたオペレーションをさらにカイゼンし続けることで、企業の4つの汎用的な固有能力(コンピテンシー)である、❶効率性、❷高品質、❸イノベーション、❹顧客対応力の達成能力がさらに増すことになる。

自社の固有能力(distinctive competencies)こそが、機能別戦略を自社が追求可能なものとして選別する。

自社製品から顧客が享受する効用を差別化と低コスト化によって増進させたとき、自社には高い収益性と利益成長がもたらされる。そして、高収益性と利益成長は競争優位の強化にもつながるのである。

企業の4つの汎用的な固有能力(コンピテンシー)である、❶効率性、❷高品質、❸イノベーション、❹顧客対応力の達成能力は、自社が差別化戦略を採り得るか、それとも低コスト戦略を採り得るかを決定づける。

経営者は、自社の固有能力(コンピテンシー)をさらに伸長させるために、機能別戦略の中で、経営資源とケイパビリティを様々なパターンで組み立てていく。

高効率性(Superior Efficiency)

業務オペレーションでの高効率性を実現するためには、

  • 規模の利益(economies of scale)を享受するための組織学習を推進する
  • 生産の柔軟性を高める生産技術を採用する
  • 顧客維持率を上げる
  • 在庫管理にジャストインタイム(JIT)方式を採り入れる
  • 製造容易化に向けた新製品設計を進める
  • 従業員トレーニングを実施する
  • 自主管理作業チーム(self-managed work team)を構成する
  • 業績給(pay to performance)を導入する
  • 業務調整のための自社とサプライヤ・顧客間のコミュニケーションコストを低減させるため、例えばWebベースの情報システム等を導入する
  • オペレーション全体をカバーする効率性に関するコミットメント(業績評価制度)を構築する
  • 組織間の壁を壊して、効率性を高めるための協力を促進する組織横断的制度を設立する

上記項目はいずれも目新しいものではない。当たり前のことを当たり前以上にこなすことこそが肝要で、新奇の目標を探し出すこと自体はあまり重要ではない。

高品質(Superior Quality)

高品質は、信頼性(reliability)卓越性(excellence)から構成される。品質に関する評判は、競合他社に対する差別化の手段を与えてくれる。

品質が高まれば高まる程、顧客が認知してくれる効用も高まる。認知される効用が高まれば、企業には価格選択権の幅が広がる。

さらには、製造工程における欠陥率を引き下げることで、企業全体のコスト低減にもつながる。もちろん、コスト低減は高収益性の裏返しともなる。

製品の信頼性向上は、シックスシグマ(Six Sigma)の方法論を用いることでも実現できる。シックスシグマでは、ある品質特性値が(平均値標、準偏差σ)の正規分布に従う製品不良の発生状態において、「100万回の作業を実施しても不良品の発生率を3.4回に抑える」ことを目標に品質管理を行う。

母数は、製品を構成する部品(parts)、部品構成(components)、設計(designs)で、いわゆるBOM(Bills of Materials)を構成する要素の全てである。

シックスシグマの遂行により、欠陥率を引き下げて顧客満足が高まれば、結果として収益性も高まることになる。

シックスシグマは、1980~1990年代初頭にかけて運用されていた総合的品質管理(TQM: Total Quality Management)の後継である。

卓越性(excellence)のカイゼンは、製品属性に限らず、製造工程を支援する企業内のサービスや人材の面でも進められなければならない。

まず第1に、顧客が重要だと考える製品属性を明らかにする必要がある。それは製品設計から製品属性を構成する機能・サービスにまで広がるものである。製造工程を含むサプライチェーン全体に関わる人材要件と人材トレーニングも考慮に入れる必要がある。

差別化のために考慮すべき製品属性はいくつもあるが、従業員に対するメッセージとして、それらすべてを周知徹底させることはできない。何より数が多すぎるし、優先順位も明確にすべきだからだ。

よって、経営者は、何が優先されるべき製品特性化を決定し、自社製品の市場でのポジションを明確化したうえで、メッセージを社内に伝えなければならない。

いわば、マーケティング・メッセージを創り出す、つまり、顧客の思いに寄り添った製品イメージを経営者は創り出して、社内に通知する必要がある。

経営者が強調する製品属性次第で、自社と自社製品の市場におけるポジションが決まる。それは、顧客の心中でのポジションが決まることと同義である。

卓越性(excellence)は、企業の不断の製品属性のカイゼンを必要とする。従って、自社製品の設計を絶えずアップグレードできる強力なR&D体制が社内に必要になる。

イノベーション(Superior Innovation)

イノベーションは、数ある中で、最も重要な競争優位を高める方法である。イノベーションは、新製品のみならず既存製品の卓越性をカイゼンした結果でも実現することができる。強いて言うなら、コスト低減できる方法を新たに見つけたことでも実現できる。

従って、新製品や新規プロセスを開発するための革新能力は、❶新製品の差別化を図り、プレミアム価格の設定を許す、❷競合他社より圧倒的に低コストで製品を提供する、ことを可能にして競争優位を築くことに貢献してくれる。

しかしながら、こうして築かれた競争優位は、不断のイノベーションを必要とし、競合他社から模倣される機会も増える。

そして、R&Dプロジェクトのせいぜい10~20%程度しか商業ベースの成功をもたらしてくれない。

成功確率を上げるためには、R&Dにかける努力をマーケティング、製造、資金調達の各分野の努力とうまい具合に調整していかねばならない。

トップマネジメントこそ、こうした開発プロセス全体を見渡した調整業務の主要責任者に相応しい。

優れた顧客対応力(Superior Responsiveness to Customers)

優れた顧客対応力とは、顧客が欲しいと思ったものを、欲しいと思った時に、支払ってもよいと感じる値段で提供し、そのうえで自社に利益をもたらしてくれるビジネスを遂行する力である。

顧客対応力は、顧客のブランドロイヤリティを育む大切な方法であり、競合他社から差別化を図るための重要な方法でもある。

仮に、自社が強力な製品差別化を図り、強力なブランドロイヤリティを享受していたならば、より幅広い価格選択権を得ることができる。

高価格で販売することでプレミアムを得ることもできるし、価格据え置きのまま、販売数量を拡大して利益を増やすこともできる。

高効率性・高品質と優れた顧客対応力との組み合わせは抜群だ。それに、新製品や既存製品に加えられる新機能を開発するイノベーション能力まで兼ね備えていると鬼に金棒である。

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