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企業のミッション・ビジョン・価値・ゴールの定義 Defining the Company’s Mission, Vision, Values, and Goals

企業のミッション・ビジョン・価値・ゴールの定義 Defining the Company’s Mission, Vision, Values, and Goals マネジメント
企業のミッション・ビジョン・価値・ゴールの定義 Defining the Company’s Mission, Vision, Values, and Goals

企業のミッション・ビジョン・価値・ゴールの定義 Defining the Company’s Mission, Vision, Values, and Goals

●戦略的計画プロセス

#ステップ内容
1MVVG定義企業のミッション・ビジョン・価値・ゴールの定義
2外部環境分析機会と脅威を明らかにするため、企業外部の競争環境の分析
3内部環境分析強みと弱み、組織の限界を明らかにするため、企業内部の業務環境の分析
4戦略策定
(SWOT分析)
組織のミッション・ゴールと一貫性のある戦略の選択と策定
5戦略実行選択された戦略の展開・実行

ミッションステートメント The Mission Statement

企業のミッションステートメントは、企業戦略が策定されるべき社内のコンテキスト(文脈、背景、事情)を提供するものである。一般的に、ミッションステートメントは次の4要素を含むものと解される。

  1. [Mission] ミッション(使命)・存在理由(reason to be)
  2. [Vision] ビジョン(将来のあるべき姿)
  3. [Values] 組織が有する価値体系
  4. [Goals] 主要な目標・ゴール

ミッション(使命)・存在理由(reason to be)

企業ミッション(mission)とは、「会社はいったい何をするか(what the company does?)」である。文字化された企業ミッションは、経営者が自問自答すべき対象である。

企業ミッションとは、「会社はいったい何をするか(what the company does?)」の一言に尽きる。文字化された企業ミッションは、経営者が自問自答すべき対象である。「我々のビジネスとは何か?」「どんな企業になりたいか?」「どんな企業になるべきか?」

経営者は、顧客の視点を忘れずにそれらの問いに答えを準備する必要がある。

  • どんな顧客層をターゲットとするか
  • どんな顧客ニーズに対処するか
  • どうやって顧客ニーズを満たすか(スキル、知識・経験、尖ったコンピテンシー)

それらの回答は、製品中心主義(product-centered)ではなく、顧客中心主義(customer-centered)で考えるべきものである。言い換えると、企業は、単に製品を売るのではなくて、製品を供給することで与えられる便益によって顧客ニーズを満たすために事業を行うべきであるということだ。

例えば、公認会計士向け専門学校のケースを考えてみる。この専門学校は、公認会計士受験のための教材を販売しているだけでは決してない。むしろ、会計・経理分野における専門ハイキャリアを得るために必要な試験合格のスキル獲得機会を提供しているのである。

  • [顧客層] 会計・経理分野でのハイキャリアを目指すビジネスパーソン
  • [顧客ニーズ] 公認会計士試験の合格
  • [顧客ニーズを満たす方法] 試験合格水準に学力を上げるための教材開発とトレーニング環境の提供

ミッションステートメントは、かなり広範にわたって記述する必要がある。なぜならば、顧客要求は直ぐに変わり得るし、ひとつの顧客ニーズを満たす方法は複数存在することの方が多いからである。

企業が顧客ニーズを満たす手段をひとつしか有していなければ、それに関連する技術進歩が一たび起っただけで、その手段は即座に陳腐化して廃番(廃止)に追い込まれる。

ミッションステートメントは柔軟で経営環境の変化や顧客ニーズの変化に対応できるものでなければならない。

ビジョン(将来のあるべき姿)

ビジョン(Vision)とは、企業が何を達成したいか、どうなりたいか、何にチャレンジしていくべきかを決めるものだ。

良いビジョンとは、企業の挑戦的・野望的な将来の絵姿を上手に描いているものである。それは、❶全ての階層の従業員のモチベーション向上を実現し、❷ビジョンの実現のために経営者が策定・実行する戦略を促進するものである。

Our vision is to be the world’s most dynamic science company, creating sustainable solutions essential to a better, safer and healthier life for people everywhere.

Du Pont’s(デユポン)

ミッションとビジョンの違いは、二項対立として考えると理解しやすい。米国流経営戦略論から生まれたのだから、英語(述語)で既述されたものを並べると雰囲気で識別しやすくなるかも。。。

ミッションビジョン
what it doeswhat it wants to achieve
what isa desire future state
reason to bewant to be
should bewill be

組織が有する価値体系

価値(Vales)とは、マネジャーと従業員がどのように振舞るべきか、どうやって業務を遂行すべきかを示すものである。

企業の価値体系は組織文化(組織カルチャー)の基礎となる。組織文化は、価値(values)・規範(norms)・基準(standards)から構成される。この3要素は、企業ミッションとゴールの達成のために、従業員がどのように働くかを左右するものである。

この3要素がハイパフォーマンスであれ、悪いパフォーマンスであれ、かわるがわる従業員の行動に作用して、結果として企業全体のパフォーマンスの水準を決めるのである。

顧客・従業員・サプライヤ・その他のステークホルダーの利益に十分な配慮を払っていれば、自ずとハイパフォーマンスがもたらされるようになる。一方で、同様のステークホルダーたちの利益への十分な配慮を怠れば、すなわち、ミッションステートメントに価値(Values)が明確に示されていなければ、不良なパフォーマンスがもたらされるだけである。

企業活動においては、”口先だけ”(talk to talk)ではなく、”着実に実行する”(walk the walk)、すなわち、”有言実行” が必ず必要になるのである。

主要な目標・ゴール

ゴール(goals)とは、実現したいと企業が望む、詳細(precise)で測定可能(measurable)な将来の状態である。

ゴールセッティングの目的は、企業ミッションとビジョンを獲得するために何がなされるべきかを特定することである。

よく練られた目標設定は、マネジャーの業績評価指標としても役に立つものになる。よく練られた目標の条件は次のとおりである。

  1. 詳細(precise)で測定可能(measurable)である
  2. 重要(critical)で、重大事項へ紐づけ(address)られている
  3. 目標設定に使用される数値は、マネジャーが業務に集中できる限度内に収められている
  4. 現実的な条件下で十分に挑戦的(challenging)な水準である
  5. 目標達成されたときの緊迫感・切迫感(sense of urgency)を得られるように、目標が特定されている

【4. について補足】
目標数値があまりに非現実的だと、従業員が目標達成を諦めてしまうか、目標達成のために無理をして、非倫理的な行動に出る可能性が高くなる。一方で、あまりに低すぎる目標設定では、従業員がデモチベートされてしまう。

目標設定に用いられる言葉・数値は、明確に記述され、誤解の生じない表現が用いられるべきである。従業員間で解釈の余地が生じないように留意する必要があるからだ。

例えば、とある企業の目標が「財務体質の強化」という風に設定されたとする。この用語では定義が曖昧で、複数の解釈が可能になり、全く異なる意思決定を導いてしまう可能性が高い。

目標設定にはもっと具体的で特定できる用語で実施する必要がある。例えば「有利子負債を●●億円削減する」「現預金を●●億円確保する」等なら、解釈の余地なくそのまま理解することができる。

付け加えて言うなら、目標は、その目標に影響を与えることができる者皆が意思疎通できなければならない。

如何なる目標であっても、それが有効であるならば、組織内の各個人は須らく、その目標を受け入れていなければならない。

組織内の皆が完全に全ての目標設定を受け入れる/同意するという事態も想定しづらいけれども、目標に関する如何なる問題が起ろうとも、全員で対処できるように、目標設定の内容が明確に理解され、十分に議論されている必要がある。

個々の目標に同意していようがしていまいが、全従業員が目標達成に向けて力を合わせて業務遂行することが大事なのである。

矛盾なき目標設定の困難さ

主要な目標設定として「株主価値の最大化」が挙げられることが多い。株主価値の最大化は、往々にして、高い収益性(high profitability)と、持続的な利益成長(sustainable profit growth)の両立を必要とする。

従って、多くの企業で「収益性(profitability)」と「利益成長(profit growth)」の両方を含めて目標設定されることが多くなる。

しかしながら、現下の利益を追求することで、経営者に対して、長期的な収益性と利益成長に有害な意思決定を許すことはあってはならない。

たとえば、今期の会計的利益や配当可能額を増やす目的で、足下のR&D費、マーケティング費、新規事業投資のカットを行うことは、長期的な将来利益の獲得(の成長)を損なうことでもある。

ついでに言うなら、あまりに高すぎる短期業績の目標設定は、経営者に対して非倫理的な行動を促してしまう恐れが発生する。

経営者が高いプレッシャーに耐え切れず、株主に対して外部開示する業績指標を偽り、嘘の財務開示をしてしまうように追い込むリスクにも留意すべきである。

ゴールと目標 Goals and Objectives

  • 用語上の異同について
  • 経営計画と経営者の務め
  • ゴール・目標達成のメカニズム

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