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社会システム変動論 Social Change

社会システム変動論 Social Change リベラルアーツ
社会システム変動論 Social Change

社会構造と社会変動

人間の行為は、ロビンソン・クルーソーのような孤立した単独者の行為でない限り、複数の他者との相互行為となる。

複数の他者との相互行為は、地位・役割・社会関係の形成に向って、制度的に枠付けされていく。

こうした制度的枠付けが、人間の行為を「構造化」(社会構造形成)する。

制度化された地位・役割・社会関係の形成が、社会集団・組織、地域社会・国民社会・準社会としての社会階層にそれぞれ結晶化したものを、一般的に「社会構造」(social structure)と呼ぶ。

社会変動理論の主題は、社会システムの構造変化がどういう場合に起るのかを一般的に説明することである。

国民社会規模の社会変動のケースを考える。

専制政治が執られている場合、専制的な政治権力によって、意図的・計画的に社会制度が一方的に作り変えられる。

民主政治が執られている場合、構成員の判断によって自生的に構造が作り変えられる。人々の欲求構造・価値構造・権力構造などの変化が、所得分配、産業・職業構造、教育達成などの変化をもたらす。

いずれにせよ、社会変動が起るのは、現行社会システム構造が、様々な内生因・外生因の結果、より高度のシステム能力の達成のために最早適合的でなく、社会システムは現行の構造を変える機能的必要に直面していると多くのシステム構成員が判断する時である。

構成員の意志により社会システム全体が変動していく様は、まさに「自己組織化」「自己準拠」と呼ぶに相応しい。

社会システムの構造変動は、システムに課せられている機能的要件の充足のために、これまで行われてきた構造がもはや必要な構造的要件を満たさない、と多くのシステム成員が判断した時、これを満たすような方向に構造を変えることを目的として起こる

日本の明治維新にみられる近代化革命は、このことの古典的な例証となる。

社会学理論は、その歴史過程を機能主義的社会システム理論を拠り所として解明することができる。このような理論を「構造-機能-変動理論」と呼ぶ。

近代化と産業化

社会変動は、集団・組織・地域社会のような部分社会レベルでも、国家・国民社会のような全体社会レベルでも考えることができる。

全体社会レベルでの社会変動は、最もマクロで最も長期の社会変動である。全体社会レベルの社会変動を捉えるのに「近代化」(modernization)・「産業化」(industrialization)の視点がよく用いられる。

「近代化」と「産業化」の関係については諸説ある。

❶ 同義語の様に互換的に用いられるものとする
❷ 「産業化」を技術的-経済的側面における変動概念、「近代化」を政治的・社会文化的側面における変動概念と分けて考える
❸ 「近代化」を上位概念とし、「産業化」を下位カテゴリーのひとつとして、近代化の技術的-経済的側面を表すものと位置付ける

いずれにせよ、❷❸においては、4つの近代化(または産業化・近代化)のサブカテゴリー毎に考察を進めることができる。

技術的-経済的近代化

「産業化」
エネルギー使用が人力・畜力から機械力に移行するメカニゼーション(産業革命)に始まり、高度産業化といわれるオートメーション(自動化)を経て、ポスト工業化といわれる情報化・サービス産業化にまで至る発展段階

政治的近代化

「民主化」
中世封建制から近代国家への移行にはじまり、封建的束縛と王の専制からの離脱、人民主権、議会制民主主義の確立、男子普通選挙権、女性参政権にまで至る政治変動

社会的近代化

「自由と平等の実現」
家父長制家族の解体と核家族化、氏族・親族集団・村落共同体などの基礎社会(地縁・血縁によるゲマインシャフト)の解体と目的集団(ゲゼルシャフト)の優位、都市人口の膨張と都市的社会関係・都市的生活様式・都市的社会意識の拡大による都市化、初等・中等・高等の順に教育が大衆化していく教育の普及、身分制の解体、社会階層構造の平等化と社会移動による機会の平等化

文化的近代化

「合理主義化」
科学的思考の普及、迷信や呪術からの離脱、意識における合理化と理知化など、合理主義知性主義の広範な普及のプロセス

社会-文化的進化

生物学では、種のレベルにおける生物の環境に対する適応能力に関して、より高度のものが選択されていく累積的な仮定を進化と呼ぶ。

これに習い、社会システムの環境に対する適応能力が上記4つのサブカテゴリーにおける近代化・産業化のプロセスを通じて累積的に高められていくことを、社会-文化的進化と呼ぶことができる。

しかし、進化における累積的な変化は、ひとつの基準からすれば「進歩」であり得ても、他の基準からすればそうではないことがあり得る。よって、「進歩」が必ずしも良いことであるとする価値判断と結びつけることはできない。

例 恐竜が巨大化しすぎて隕石落下が引き起こした寒冷化に適合できず絶滅、大規模な産業化が環境破壊を招いた

社会学の構造 The Structure of Sociology

理論経験歴史政策
総論社会学原理経験社会学社会史
社会学史
(学説史)
第一世代
第二世代
(マクロ社会学)

(ミクロ社会学)
社会問題
社会政策
社会調査
統計的調査
計量社会学
ミクロ社会学行為者の内部分析自我理論
社会意識論
ミクロ社会
調査・解析
ミクロ
社会史
ミクロ
社会政策
社会システム内の相互行為
と社会関係分析
相互行為論
役割理論
社会関係論
社会的交換論
マクロ社会学社会システム
構造論
マクロ社会
調査・解析
マクロ
社会史
マクロ
社会政策
社会システム
変動論
領域社会学内包的領域
社会学
基礎集団家族家族社会学家族調査家族史家族政策
機能集団企業組織社会学
産業社会学
組織調査・
モラール調査
組織史
労働史
経営社会政策
労働政策
全体社会
×社会集団
国家国家社会学国勢調査国家史福祉国家政策
地域社会農村農村社会学農村調査農村史農村政策
都市都市社会学都市調査都市史都市政策
準社会社会階層社会階層理論社会階層調査社会階層史不平等問題
外延的領域
社会学
経済経済社会学経済行動・
市場調査
(経済史)(経済政策)
政治政治社会学投票行動・
政治意識調査
(政治史)(政治政策)
法社会学法行為・
法意識調査
(法制史)(法政策)
宗教宗教社会学宗教行為・
宗教意識調査
(宗教史)(宗教政策)
教育教育社会学教育行為・
教育意識調査
(教育史)(教育政策)

参考リンク

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