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社会学の構造 The Structure of Sociology

社会学の構造 The Structure of Sociology 分類する
社会学の構造 The Structure of Sociology

「社会」の意味付け

社会学は「社会」を研究対象とする学問である。

「社会」とは、複数の人間の集まりが次の4要件を満たす集団のことをいう。

  1. 成員同士の相互行為やコミュニケーション行為による意思疎通が十分に成立している
  2. 成員同士の相互行為やコミュニケーション行為が持続的に行われており社会関係が形成されている
  3. 成員たちは何らかの度合いにおいて組織化されている
  4. 成員と非成員とを区別する境界が確定している

上記の4要件のいずれかが欠ける場合は「準社会」と呼んで「社会」とは区別する。

個人の外に客観的に実在すると認められるものが「マクロ社会」「マクロ準社会」である。

個人に認知されて主観の中に存在する(個人の内面に存在する)と考えられるものが「ミクロ社会」である。

社会学の学問的立場を考えるものに、「総合社会学」「特殊科学的社会学」とがある。

「総合社会学」は、法学や経済学のような他の諸社会学より一段上位にあって、それらを総合する学問であるとする立場である。

「総合社会学」が研究対象とするのは「広義の社会」とされ、人間にとって所与である自然に対して、人間が意志的な活動を通じて作り出した総体であると考える。社会科学が相手にするもの全てである。

これはまだ社会科学の専門分化がまだ進んでいなかった社会学第一世代、コント、スペンサーの時代の考え方である。

「特殊科学的社会学」は、法学や経済学と並び、社会科学の一分野の学問であるとする立場である。

これは、社会学が大学の中に制度化された地位を持ち始めた社会学第二世代、ジンメル、デュルケーム、マックス・ウェバー、パレートの時代の考え方である。

「特殊科学的社会学」が研究対象とするのは「狭義の社会」とされ、「マクロ社会」「マクロ準社会」「ミクロ社会」から構成される。

広義の社会経済、政治、法、宗教、教育、言語、道徳
狭義の社会マクロ社会家族、学校、企業、官庁、村落、都市、国家、国民社会
マクロ準社会群集、市場、社会階層、民族
ミクロ社会個人レベルの相互行為、自我形成、共感・相互主観、共通社会意識

マクロ社会の基本類型

マクロ社会を分析する際に、相互に2つの独立的な分析軸、「全体社会 ⇔ 部分社会」「社会集団 ⇔ 地域社会」がある。

  • 「全体社会」:その内部において成員の生活上の欲求充足手段が大部分調達可能な社会
  • 「部分社会」:その機能が特定の欲求充足手段の調達のみに関わる社会
  • 「社会集団」:一定の目的のために人間(構成員)を組織化するもの
  • 「地域社会」:目的とは無関係に、居住地域を共通にすることで生態学的な関係を生じた住民の地縁社会
社会集団地域社会準社会
部分社会基礎集団機能集団村落、都市群集
家族、親族企業、官庁
全体社会国家国民社会社会階層、市場、
民族、国際社会

注1:テンニースによるゲマインシャフトはここでは主に「基礎集団」と地縁に基づく「地域社会」に対応し、ゲゼルシャフトは主に「機能集団」と「国家」(全体社会×社会集団)に対応する

注2:「国民国家」は「国民社会」の基盤の上に成立する。国民国家 ⊃ 国民社会 人為的に国境が引かれて、自国の国家主権が及ばない地域に自国民と社会意識を同一とする集団が他国家内でマイノリティー化していることがある

個人と社会 ミクロとマクロ

社会を、家族のような小さな社会から、中規模の学校や企業を経て、東京のような都市、日本やアメリカのような国家まで、人数的集約的にも、面積的広がり的にも、これらをミクロ・レベル、メゾ・レベル、マクロ・レベルという風に階層化し、分類・研究するアプローチもあるにはある。

しかし、そこでのミクロやマクロの定義は相対的なものであり、研究手法・分析手法に対象の違い由来以外の違いはない。そうした曖昧な規模的な階層化・分類は意味がない。

(約1000人のバチカン市国と、14億人を超えるインドを同じ国家なのに、規模の違いのみに着目してどのような効果的な研究ができるのか考えてみてほしい)

社会学で有効なミクロとマクロの区別は、個人と社会(集団)に分けることである。

ミクロ・レベルの主要概念は、あくまで個人の「行為」である。家計・企業・国家において、購買・投資・戦争の意思決定をするのは個人である。

マクロ・レベルの主要概念は、上記の個人による行為と敢えて対比的に表現するならば、集団・組織による「パフォーマンス」となる。

これは行為をパフォーマンスに言い換えただけだが、集団・組織レベルの行為(パフォーマンス)に必要不可欠となるのが、当該集団・組織を構成している多数個人の意志を何らかの方法で集約し、集約された意志に基づいて集団・組織レベルの行為(パフォーマンス)が実行に移されるとする手順にある。

個人 :動機付け ➡ 行為

集団・組織:動機付け ➡ 意志の集約 ➡ パフォーマンス

個人とは異なるプロセスを必要とする集団・組織をマクロ・レベルと定義し、個人とは異なるメカニズムが発揮されるところを、「行為」の代わりに「社会システム」:意見集約➡社会レベルの行為 とする。

ミクロ・レベルマクロ・レベル
研究対象個人の「行為」社会システム
主要概念欲求(動機付け)機能的要件
目的欲求充足(満足)機能的要件充足

社会システムとして企業を例にとる。企業にとっての機能的要件を利潤を得ることだ。買って・作って・売るという経営プロセスを行う結果として利潤を得ると、帰納的要件充足が果たされ、一連の経営プロセスは一旦終結する。

もしも、企業が所定の利潤をあげられない場合は、社会システムとしての企業は解体(企業倒産)して新たに作り直すか、現行の構造を変革する(利益体質強化に向けてリストラする)ことになる。

個人社会集団には死(家族の解散、企業倒産)という手段があるが、地域社会準社会には明確に、己の目的充足のために死という手段を選ぶという選択肢はない。

個人が社会を形成するのは、個人単独では己の欲求充足ができない場合である。しかし、社会システムの機能的要件の充足は、しばしば個人の欲求を阻害することで満たされるというパラドックスが発生する。

例:国家の外交目的韓遂のために行われる戦争が、戦争に参加した個人としての兵士に死を強要する。個人にとって、自身の死が常に欲求充足につながるとは限らない。

よって、単純に、個人の欲求を足し算したものが社会システムの機能的要件になるとは限らない。

社会学の研究領域

研究対象による区分

研究領域・対象の違いによる区分

  • ミクロ社会学:個人レベルの欲求充足プロセスにおける行為を分析
    • 行為者の内部に向ってなされる分析
    • 個人の外部に向ってなされる分析
  • マクロ社会学:社会システムの機能欲求充足に必要な役割配分・社会的資源分配を分析
    • 社会集団
      • 基礎集団
      • 機能集団
      • 全体社会(国家など)
    • 地域社会
    • 準社会
  • 領域社会学(連字苻社会学)
    • 内包的領域社会学:マクロ社会学の各分析領域に対応するもの
    • 外延的領域社会学:マクロ社会学の各分析領域に属せず、広義の社会に含まれる領域に対応するもの

注:「連字符」社会学とは、ドイツ語で「ハイフンでつないだ社会学」の意。例えば、「経済-社会学」「知識ー社会学」のように、「分析対象名+社会学」という構成で表される

認識方法による区分

研究目的・研究アプローチ(認識方法)の違いによる区分

  • 理論社会学:普遍的意味を持つ諸概念を確立、普遍的に妥当し得る命題を立てる
    • ミクロ理論社会学
    • マクロ理論社会学
    • 領域理論社会学
  • 経験社会学
    • 一次資料の収集目的で社会調査を行ってデータを作成する研究活動
      • 個性記述的研究
      • 法則定立的研究
    • これらのデータを解析してデータの中から一般化命題を引き出す研究活動
  • 社会史:経験社会学の研究対象が過去の事象である場合
    • 社会学的仮説命題の検証が歴史学の方法によるもの
  • 社会政策:価値判断に基づく規範的な命題の定立に対する研究活動
理論経験歴史政策
総論社会学原理経験社会学社会史
社会学史
(学説史)
第一世代
第二世代
(マクロ社会学)

(ミクロ社会学)
社会問題
社会政策
社会調査
統計的調査
計量社会学
ミクロ社会学行為者の内部分析自我理論
社会意識論
ミクロ社会
調査・解析
ミクロ
社会史
ミクロ
社会政策
社会システム内の相互行為
と社会関係分析
相互行為論
役割理論
社会関係論
社会的交換論
マクロ社会学社会システム
構造論
マクロ社会
調査・解析
マクロ
社会史
マクロ
社会政策
社会システム
変動論
領域社会学内包的領域
社会学
基礎集団家族家族社会学家族調査家族史家族政策
機能集団企業組織社会学
産業社会学
組織調査・
モラール調査
組織史
労働史
経営社会政策
労働政策
全体社会
×社会集団
国家国家社会学国勢調査国家史福祉国家政策
地域社会農村農村社会学農村調査農村史農村政策
都市都市社会学都市調査都市史都市政策
準社会社会階層社会階層理論社会階層調査社会階層史不平等問題
外延的領域
社会学
経済経済社会学経済行動・
市場調査
(経済史)(経済政策)
政治政治社会学投票行動・
政治意識調査
(政治史)(政治政策)
法社会学法行為・
法意識調査
(法制史)(法政策)
宗教宗教社会学宗教行為・
宗教意識調査
(宗教史)(宗教政策)
教育教育社会学教育行為・
教育意識調査
(教育史)(教育政策)

参考リンク

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主な経歴:電機メーカー(当時東証1部/現プライム)、監査法人(BIG4)、外資系IT企業、外資系コンサルティングファーム、PEファンド(ハンズオンの企業再生担当)

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