リスクとリターン Risk & Return
リスクフリーレート と マーケット・リスクプレミアム
凡そ、投資家はリスク回避志向である(risk averse)。リスク回避志向の投資家は、投資リスクの低減との引き換えに低いリターンを受け入れる。
この投資家によるリスク回避志向の存在があるからこそ、リスクの高い投資は大抵の場合、投資家の関心を惹きつけるためにより高い期待収益率を提示する必要が生じる。
同様に、低リスクを実現するために、リスク回避志向の投資家はそのリスクに相応しい、相対的に低いリターンを甘受する必要がある。
歴史的に最もリスクが最小の金融商品は米国国債(U.S. Tresury bills)であるとされている。米国債は固定金利で、その利率は証券市場に何が起ころうと変わることがない。
大抵の金融商品は、米国債に比べれば多少なりともリスクが増す。米国債によるリターンは、リスクフリーレート(risk-free rate)と呼ばれる。
それゆえ、大抵の投資家は、米国債以外の金融商品には、米国債以上のリターンを求めざるを得なくなる。
こうした、証券市場におけるあらゆる金融商品のポートフォリオと米国債のリターン(期待収益率)の差のことを、マーケットリスクプレミアム(market risk premium)という。
ハイリスクの金融商品からは高い期待収益率が得られるが、その代償として、ローリスクの金曜商品と比較して、元本償還がなされない(または元本が棄損してしまう)の確率が高くなる。
しかし、ローリスクの金融商品は、低いリターンの代わりに、元本の償還リスクや棄損リスクが相対的に低く抑えられることになる。
リターンの計算 Calculating return
- リターン Return
- リターン計算例 Examples
リスク Risk
- 概要 Outline
- リスク概念 Risk Concepts
- リスクの種類 Types of Risk
リスクとリターンの関係 Relationship between Risk & Return
リスクとリターンの間にはとてもシンプルでかつ強力な関係性がある。
より高いリターンが得られる可能性がある場合には、より高いリスクが存在する。両者は裏腹の関係だ。
大抵の投資家はリスク回避型(risk averse)である。追加リターンを享受することができる可能性を高めることに通じる十分な補償が得られる場合にのみ、投資家は追加的なリスクを引き受けるのである。
逆もまた真で、投資家は相対的に低いリスクと交換ならば低いリターンに甘んじるものである。
もしも、投資家が全く同じ収益率の投資案件を目の前にしてどちらかを選べと言われたら、より低いリスクの投資案件を選ぶだろう。同様に、全く同じリスクの投資案件を目の前にしてどちらかを選べと言われたら、より高い収益率の方を進んで選ぶだろう。
投資家というものは、与えらたリスクの条件下で、リターンを最大にする投資意思決定を行うことを好むものだし、同じリターンしか得られないのだとしたら、リスクを最小にする投資意思決定を行うものなのである。
リターンを最大化にして、同時にリスクを最小化する投資案件は投資の世界にはほぼ実在しない。
資本資産価格モデル(CAPM: Capital Asset Pricing Model)
- 概要
- 期待収益率 Required Rate of Return
- ベータ β, Beta
- CAPMの計算式 CAPM Formula
- 証券市場線 SML: Security Market Line
- 個別証券の市場リスクとβ値の関係
- CAPMとDDMによる理論株価の算定
- 定額配当割引モデル(ゼロ成長モデル)
- 定率成長配当割引モデル
- 二段階成長配当割引モデル
- 多段階成長配当割引モデル
- 証券市場線と株価の関係
- β値の変化に対する株価変動
- 市場環境の変化による証券市場線(SML)の変動
- リスクフリーレートの変化
- 投資家のリスク選好度の変化
投資ポートフォリオのリスクとリターン Portfolio Risk and Return
ファイナンシャルマネジメント Financial Management
コーポレートファイナンスを英語と日本語のデュアルで学ぶことができる。
原書と和訳の両方を揃えて本格的な学習を始める前段階に活用するとよい。
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