アメリカ哲学の特徴
合衆国建国時代のアメリカ哲学は、主に、ヨーロッパの啓蒙主義の延長から発展したのだと考えられている。その後、アメリカ発祥の哲学として、プラグマティズムと超越主義(超絶主義:Transcendentalism)が知られている。
17世紀
十分な教育を受けたピューリタンがニューイングランドに到着したことから始まる。初期のアメリカの哲学は、宗教的伝統 (ピューリタンプロビデンシズム)に基礎がある。個人とコミュニティの関係にも重点を置き、宗教的寛容を旨とし、コミュニティで宗教的均質性が不可欠と主張した。
- ジョン・ウィンスロップ John Winthrop(1588 – 1649)
- ロジャー・ウィリアムズ Roger Williams(1603 – 1683)
18世紀
第一次大覚醒
ニューイングランドを中心に北東部で起こった宗教再生運動(宗教復興運動、First Great Awakening)。啓蒙主義の自然哲学の影響を受けた改革派ピューリタン・カルヴァン主義の神学に端を発する。
- ジョナサン・エドワーズ Jonathan Edwards(1703 – 1758)
- ジョージ・ホウィットフィールド/ホイットフィールド George Whitefield(1714 – 1770)
道徳哲学/倫理学
土着のアメリカ啓蒙主義から発展。
- サミュエル・ジョンソン Samuel Johnson(1696 – 1772)
- トーマス・クラップ Thomas Clap/Clapp(1703 – 1767)
- ベンジャミン・フランクリン Benjamin Franklin(1706 – 1790)
- ジョージ・メイソン George Mason(1725 – 1792)
- エズラ・スタイルズ Ezra Stiles(1727 – 1795)
- ウィリアム・スミス William Smith(1727 – 1803)
- ジョン・アダムズ John Adams(1735 – 1826)
- トマス・ペイン Thomas Paine(1737 – 1809)
- イーサン・アレン Ethan Allen(1738 – 1789)
- ジェイムズ・ウィルソン James Wilson(1742 – 1798)
- トーマス・ジェファソン/トマス・ジェファソン Thomas Jefferson(1743 – 1826)
- ジェームズ・マディソン・ジュニア James Madison, Jr.(1751 – 1836)
- アレクサンダー・ハミルトン Alexander Hamilton(1755 – 1804)
スコットランド常識学派
長老派系の大学(例:プリンストン大学)の教養科目として幅広く利用された。
- ジョン・ウィザースプーン John Witherspoon(1723 – 1794)
- ベンジャミン・ラッシュ Dr. Benjamin Rush(1745 – 1813)
- ノア・ポーター Noah Thomas Porter III(1811 – 1892)
- ジェームズ・マコッシュ James McCosh(1811 – 1894)
- チャールズ・サンダース・パース Charles Sanders Peirce(1839 – 1914)➡プラグマティズム
19世紀
超越主義/超絶主義
19世紀アメリカ・ロマン主義思想。客観的な経験論よりも、主観的な直観を強調する。暗い正統的ピューリタニズムや、理性的で冷たいユニタリアニズム(ユニタリアン教)に反抗し、人間の内面の神聖さ、神・自然との交流、個人の無限の可能性など、人間の明るい側面を主張し、日常的経験を「超絶」した直感による真理の把握を訴えた。
- コンバース・フランシス Convers Francis(1795 – 1863)
- エイモス・ブロンソン・オルコット Amos Bronson Alcott(1799 – 1888)
- トーマス・トレッドウェル・ストーン Thomas Treadwell Stone(1801 – 1895)
- ジョージ・リプリー George Ripley(1802 – 1880)
- ウィリアム・ヘンリー・ファーネス William Henry Furness(1802 – 1896)
- オレステス・ブラウンソン Orestes Augustus Brownson(1803 – 1876)
- ラルフ・ワルド・エマーソン Ralph Waldo Emerson(1803 – 1882)
- ナサニエル・ホーソーン/ホーソン Nathaniel Hawthorne(1804 – 1864)
- エリザベス・ピーボディ Elizabeth Palmer Peabody(1804 – 1894)
- フレデリック・ヘンリー・ヘッジ Frederic Henry Hedge(1805 – 1890)
- マーガレット・フラー Sarah Margaret Fuller(1810 – 1850)
- セオドア・パーカー Theodore Parker(1810 – 1860)
- ウィリアム・ヘンリー・チャニング William Henry Channing(1810 – 1884)
- ジェームズ・フリーマン・クラーク James Freeman Clarke(1810 – 1888)
- シルベスター・ジャッド Sylvester Judd(1813 – 1853)
- ジョーンズ・ヴェリー Jones Very(1813 – 1880)
- チャールズ・ティモシー・ブルックス Charles Timothy Brooks(1813 – 1883)
- クリストファー・パース・クランチ Christopher Pearse Cranch(1813 – 1892)
- ジョン・サリバン・ドワイト John Sullivan Dwight(1813 – 1893)
- ヘンリー・デイヴィッド・ソロー Henry David Thoreau(1817 – 1862)
- ウィリアム・エラリー・チャニング William Ellery Channing II(1817 – 1901)
- ハーマン・メルヴィル Herman Melville(1819 – 1891)
- ウォルト・ホイットマン Walter Whitman(1819 – 1892)
- ルイーザ・メイ・オルコット Louisa May Alcott(1832 – 1888)
- クリス・マッキャンドレス Christopher Johnson McCandless(1968 – 1992)
プラグマティズム 実用主義 道具主義 実際主義
認識の形而上学的な基礎づけを排し、その妥当性を行為の効果に求める。真理と価値の追求とを社会的協働の中に求める。
- ジョサイヤ・ロイス Josiah Royce(1855 – 1916)
- ジョージ・サンタヤーナ / サンタヤナ George Santayana(1863 – 1952)【西】
前期 形而上学クラブ
西欧の伝統的な抽象的・観念論な哲学(形而上学)を離れ、新たな思想を作り出そうとした。ダーウィンの進化論とキリスト教との対立の折衷に苦心する中で、実生活の行動と結びついた思想を模索していく。
- チャンシー・ライト Chauncey Wright(1830 – 1875)
- ニコラス・セイント・ジョン・グリーン Nicholas St. John Green(1830 – 1876)
- チャールズ・サンダース・パース Charles Sanders Peirce(1839 – 1914)➡スコットランド常識学派
- オリバー・ウェンデル・ホームズ・ジュニア Oliver Wendell Holmes, Jr.(1841 – 1935)
- ウィリアム・ジェームズ William James(1842 – 1910)
- ジョーゼフ・ウォーナー
後期 シカゴ学派
進化論の影響、科学主義、相対論物理学の影響という特徴があり、行為者を彼の周囲の環境から影響を受けている社会的な存在としてみる。
- ジョン・デューイ John Dewey(1859 – 1952)
- ジョージ・ハーバート・ミード George Herbert Mead(1863 – 1931)
20世紀
ネオプラグマティズム
言葉の意味とは、言葉がいかに使用されるかを定める機能のことであり、人々が言葉によって記述しようと意図するものを表すわけではない、と主張
- ウィラード・ヴァン・オーマン・クワイン Willard van Orman Quine(1908 – 2000)➡分析哲学
- ヒラリー・パトナム Hilary Whitehall Putnam(1926 – 2016)
- ドナルド・デイヴィドソン Donald Herbert Davidson(1917 – 2003)
- リチャード・マッケイ・ローティ Richard McKay Rorty(1931 – 2007)
- ジョセフ・フレッチャー Joseph Francis Fletcher(1905 – 1991)
ニューリアリズム/新実在論
、ジョン・ロックの認識論的二元論と古い形態の実在論の拒絶。
- ウォルター・テイラー・マーヴィン Walter Taylor Marvin(1872 – 1944)
- エドウィン・ホルト Edwin Bissell Holt(1873 – 1946)
- エドワード・グリーソン・スポールディング Edward Gleason Spaulding(1873 – 1940)
- ウィリアム・ペパレル・モンタギュー William Pepperell Montague(1873 – 1953)
- ラルフ・バートン・ペリー Ralph Barton Perry(1876 – 1957)
- ウォルター・ピトキン Walter Boughton Pitkin(1878 – 1953)
プロセス哲学/プロセス神学
「現実の本質とは何か」という問について、時間の現れの〈プロセス〉即ち変化や発達に答を見出す。「有機体論の哲学」とも呼ばれる。アメリカで発生した「プロセス哲学」と結びつける形で、世俗神学に対抗するものとしての神学を再建するプロセス神学が起った。
- チャールズ・ハートショーン Charles Hartshorne(1897 – 2000)
- ノーマン・ピッテンガー
- ダニエル・デイ・ウィリアムス Daniel Day Williams(1910 – 1973)
- シュバート・オグデン
- ジョン ボズウェル コブ ジュニア John Boswell Cobb, Jr.(1925 – )
- ユージン・H・ピーターズ Eugene H. Peters
- デヴィッド・レイ・グリフィン David Ray Griffin(1939 – 2022)
- ステパノ・T・フランクリン Stephen T. Franklin(1946 – )
アリストテレス哲学
- モーティマー・アドラー Mortimer Jerome Adler(1902 – 2001)
- シスター ミリアム ジョセフ ラウ Sister Miriam Joseph Rauh(1898 – 1982)
- リチャード・マッケオン Richard McKeon(1900 – 1985)
分析哲学
超越的な思弁によるのではなく、経験主義的意味論の立場からの言語の論理的・社会的分析によるアプローチを図る哲学。
- ウィラード・ヴァン・オーマン・クワイン Willard van Orman Quine(1908 – 2000)➡ネオプラグマティズム
- ソール・クリプキ Saul Aaron Kripke(1940 – 2022)
- デイヴィド・ルイス David Kellogg Lewis(1941 – 2001)
- トーマス・クーン Thomas Samuel Kuhn(1922 – 1996)
- ジョン・ロールズ John Bordley Rawls(1921 – 2002)
- ロバート・ノージック Robert Nozick(1938 – 2002)
アメリカ記号論(セミオティクス)
- スザンヌ・キャタリーナ・ランガー Susanne Katherina Langer(1895 – 1985)➡プロセス哲学
- チャールズ・W・モリス Charles W. Morris(1903 – 1979)
- マイケル・シルヴァスティン Michael Silverstein(1945 – 2020)
共同体主義
共同体(コミュニティ)の価値を重んじる政治思想。
- アラスデア・マッキンタイア Alasdair MacIntyre(1929 – )
- アミタイ・エツィオーニ Amitai Etzioni(1929 – )
- チャールズ・マーグレイヴ・テイラー Charles Margrave Taylor(1931 – )【加】
- マイケル・ウォルツァー Michael Walzer(1935 – )
- マイケル・サンデル Michael Joseph Sandel(1953 – )
現代
心の哲学
心的出来事、心の働き、心の性質、意識、およびそれらと物理的なものとの関係を研究する。
- ハーバート・ファイグル Herbert Feigl(1902 – 1988)【独】
- ドナルド・デイヴィッドソン Donald Herbert Davidson(1917 – 2003)
- ダニエル・デネット Daniel Clement Dennett III(1942 – )
- ダグラス・ホフスタッター Douglas Richard Hofstadter(1945 – )
- ジョン・サール John Rogers Searle(1932 – )
- パトリシア・チャーチランド Patricia Smith Churchland(1943 – )【加】
- ポール・チャーチランド Paul Churchland(1942 – )【加】
- デイビッド・チャーマーズ David John Chalmers(1966 – )
理想主義
- ニコラス・レッシャー Nicholas Rescher(1928 – )
- ジョン・マクダウェル John Henry McDowell(1942 – )
- ロバート・ブランドム Robert Boyce Brandom(1950 – )
- コリン・マレー・ターベイン Colin Murray Turbayne(1916 – 2006)
身体化された認知
- ショーン・ギャラガー Shaun Gallagher(1948 – )
- アルバ・ノエ Alva Noë(1964 – )
政治哲学/法学
- ロナルド・ドウォーキン Ronald Myles Dworkin(1931 – 2013)
- リチャード・ポズナー Richard Allen Posner(1939 – )
プラグマティズム
- コーネル・ウェスト Cornel Ronald West(1953 – )
分析哲学
- アルビン・プランティンガ Alvin Carl Plantinga(1932 – )
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