かんたんシャープレシオ【2021年5月】更新しました

目標利益(税前利益)を達成する売上高を求める – 目標利益率法

目標利益(税前利益)を達成する売上高を求める – 目標利益率法経営分析
目標利益(税前利益)を達成する売上高を求める – 目標利益率法
目標利益(税前利益)を達成する売上高を求める - 目標利益率法
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計算手法

損益分岐点売上高の計算式では、利益=0と置くからこそ損益分岐点売上高を求めることができる。

利益ゼロの代わりに、目標利益を置けば、その目標利益を達成するために必要な最低売上高は、損益分岐点売上高を求める公式をそのまま応用することができる。

それに加えて、目標利益が売上高に対する利益率という形で与えられた場合でも、損益分岐点売上高を求める公式の応用が可能である。

つまり、売上高目標利益率を何%かと置いたときの計算方法である。

目標利益の計算式

売上高 - 変動費 - 固定費 = 目標利益

売上高から変動費と固定費というコスト(費用)を差し引くことで利益を計算することが一般的である。

損益分岐点売上高は、この利益計算式において、利益にゼロを置くことで求められたが、今回は利益には、利益達成目標としてある水準の税前利益が設定されているものとする。

ここで、変数を減らして式をよりシンプルにするために、変動費が常に売上高の一定割合(変動費は売上高と比例の関係)である点に着目して、変動費と目標利益を売上高で表すことにする。

変動費 = 変動費率(%) × 売上高

目標利益 = 目標利益率(%) × 売上高

これを、目標利益の計算式に当てはめて、売上高で整理すると、

売上高 - 変動費率(%)× 売上高 - 固定費 = 目標利益率(%)× 売上高

(1 – 変動費率 – 目標利益率)× 売上高 = 固定費

\( \displaystyle \bf 売上高= \frac{~~~~~~~~~~~~~~~固定費~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~}{(1 – 変動費率 – 目標利益率)~~~~~~~~~~}\)

損益分岐点売上高を求める公式を応用した上式で十分に実務に耐え得る計算式になっているが、さらに、

1 - 変動費率 = 貢献利益率

であることに着目すると、上式は次のように表記することもできる。

\( \displaystyle \bf 売上高= \frac{~~~~~~~~~~~~~~~固定費~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~}{(貢献利益率 - 目標利益率)~~~~~~~~~~}\)

目標利益を達成するための必要売上高の計算手順

前章における目標利益の計算式から、以下のシミュレーションプロセスが考えられる。

目標税前利益を達成する売上高を求める手順(目標利益率法)
  • 目標利益の
    設定
    売上高利益率で目標利益を設定する

    ・売上金額一単位当たりの目標利益額を定めておく

  • コストの試算
    目標利益をあげるターゲットビジネスにかかるコストを試算する

    ・変動費:当該ビジネスの活動量に比例して発生するコスト(単価)
    ・固定費:当該ビジネスオペレーションの維持・運用の全体にかかるコスト(金額)

  • 目標売上高の計算
    目標利益達成に必要な最低限度の売上高を計算する

    ・損益分岐点の公式を使って必要売上高で解く

シミュレーション

Excelテンプレート形式で目標利益(税前利益)の計算方法を示す。

入力欄の青字になっている「変動費率」「固定費」「目標税前利益率」に任意の数字を入力すると、必要売上高が求められる。

どんな入力をしても、元ファイルが壊れることはない。入力し直したい、元に戻したい場合は、画面を更新(F5押下など)すれば、初期値に戻る。

自分の手元でじっくり検証したい場合は、上記のダウンロードボタンから、Excelをダウンロードすることをお勧めする。

計算目的と使い方

事業損益管理

製品やサービスの販売数量単位で利益管理を行うのではなく、多品種の製商品を一括りで損益管理したり、事業全体の収益性管理をする場合に、売上高目標利益率という指標は最も使い勝手があるKPIとなる。

計量単位(1個、1m、1t、1時間など)が異なる製商品・サービスの販売数量単位の損益管理を個別に実施するのはとても煩雑であり、管理工数倒れの ”木を見て森を見ず” という計数管理の罠に陥りがちである。

とりあえず、計量単位の異なる分析対象を「売上高」という共通の物差しで計量し、それらの金額比で利益を図ることは管理会計上、効率的であるといえる。

使用上の注意点

売上高目標利益率は、計算が容易なため、かなりの頻度で管理会計に用いられる。

しかし、そのKPIが意味する利益率の限界も同時に知っておきたい。

今回取り上げている目標利益は「税前利益」を基本としているため、当然にこの利益計算には固定費を含む。

また、営業外費用(営業収益)や特別損失(特別利益)も考慮されている。

それらは、売上高の増減に対して比例的に発生または実現するとは言えないため、固定費と同様に、売上高に対して固定的な関係(独立的な関係)であるとみる。

この割り切りによってこそ、比較的簡単に売上高目標利益率を計算することができるとも言える。

よって、売上高目標利益率は、その内部に固定費を包含しているため、売上高の増減が激しくなればなるほど、最終的に計算される利益額の妥当性は薄くなる。

鋭利な刃物ほど、よく切れるもので重宝するが、誤って使用すると大きなけがにつながる。

使い勝手がある道具ほど取り扱い注意ということは、どの世界でも共通のことかもしれない。

解説

貢献利益率法との使い分けのポイント

目標利益(税前利益)が、「金額」で示される場合は「貢献利益率法」、「売上高比率」で示される場合は「目標利益率法」を用いる。

他の変数も含めて同一条件ならば、双方の計算結果は一致する。

利益目標の設定方法は、その企業がおかれている市場環境と提供する製商品・サービスの特質によって、「金額」形式か「売上高比率」形式か取り扱いが様々である。

特筆するとしたら、固定費比率が低く、売上高の増減に関連して費用も同調して増減する事業を営んでいる企業の方が「目標利益率法」を使いやすい。

貢献利益率法と目標利益率法の計算式の突合

一方の計算式からもう一方の計算式を導くことができれば、同根の計算方式であることがわかる。

●貢献利益率法

\( \displaystyle \bf 売上高= \frac{固定費 + 目標利益}{貢献利益率}\)

上式の 目標利益 を、目標利益率 × 売上高 で置き換えると、

\( \displaystyle \bf 売上高= \frac{固定費 + (目標利益率 × 売上高)}{貢献利益率}\)

\( \displaystyle \bf 売上高= \frac{~~~~~固定費~~~~~}{~~~~~貢献利益率~~~~~~~~~~}+ \frac{目標利益率 × 売上高}{~~~~~~~~~~~~~~~貢献利益率~~~~~~~~~~~~~~~}\)

\( \displaystyle \bf 売上高-\frac{目標利益率 × 売上高}{~~~~~~~~~~~~~~~貢献利益率~~~~~~~~~~~~~~~}= \frac{~~~~~固定費~~~~~}{~~~~~貢献利益率~~~~~~~~~~}\)

\( \displaystyle \bf \left(\frac{貢献利益率-目標利益率}{~~~~~~~~~~~~~~~貢献利益率~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~}\right) × 売上高= \frac{固定費}{貢献利益率}\)

\( \displaystyle \bf 売上高=\frac{固定費}{貢献利益率}×\left(\frac{~~~~~~~~~~貢献利益率~~~~~~~~~~~~~~~}{貢献利益率-目標利益率~~~~} \right) \)

上式の右辺の分子分母にある 貢献利益率 を約分で消去すると、

●目標利益率法

\( \displaystyle \bf 売上高= \frac{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~固定費~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~}{(貢献利益率 - 目標利益率)~~~~~~~~~~}\)

CVP分析/損益分岐点分析の全体像

粗利、変動費、固定費の関係で儲ける会社づくりをストーリー仕立てで理解できる。

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