- 概要
- 原参加国(1989年)
- 日本
Japan - アメリカ合衆国
United States of America - カナダ
Canada - オーストラリア連邦
Australia - ニュージーランド
New Zealand - 大韓民国
Republic of Korea - フィリピン共和国
Republika ng Pilipinas
Republic of the Philippines - タイ王国
ราชอาณาจักรไทย
Kingdom of Thailand - ブルネイ・ダルサラーム国
نڬارا بروني دارالسلام
Negara Brunei Darussalam - シンガポール共和国
Republic of Singapore
Republik Singapura
新加坡共和國
சிங்கப்பூர் குடியரசு - マレーシア
مليسيا
Malaysia - インドネシア共和国
Republic of Indonesia
- 日本
- 1991年参加
- 1993年参加
- 1994年参加
- 1998年参加
- 2023年参加
- マカオ
Macao - インド共和国
Republic of India - パキスタン・イスラム共和国
Islamic Republic of Pakistan - ブータン王国
Kingdom of Bhutan - グアテマラ共和国
República de Guatemala
Republic of Guatemala - コスタリカ共和国
República de Costa Rica
Republic of Costa Rica - エルサルバドル共和国
República de El Salvador
Republic of El Salvador - パナマ共和国
República de Panamá
Republic of Panama - コロンビア共和国
Republic of Colombia - エクアドル共和国
Republic of Ecuador
- マカオ
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- 参考リンク
概要
アジア太平洋経済協力(APEC: Asia-Pacific Economic Cooperation〈エイペック〉)は、アジア太平洋初の経済協力を目的とする非公式協議体 (informal forum)である。アジア太平洋経済協力会議ともいい、アジア太平洋地域の21の国と地域(エコノミー)が参加する経済協力の枠組みのことである。
アジア太平洋地域は、経済規模で世界のGDPの約5割、世界全体の貿易量及び人口の約4割を占めるとともに、世界経済の成長エンジンとも呼ばれるようになっている。その持続的な成長と繁栄を実現するための協力の重要性は一層高まっている。APECでは、メンバー国・地域の自主性及び発展段階の多様性を重視しながら、貿易・投資の自由化・円滑化、地域経済統合の推進に向けた取組、域内の格差の縮小と成長の障害の除去を目指す経済・技術協力等を推進している。
公式オブザーバーとして、「ASEAN」「太平洋諸島フォーラム」「太平洋経済協力会議」がある。
発足
日本の大平首相とオーストラリアのフレイザー首相により、1980年9月に太平洋経済協力会議(PECC: Pacific Economic Cooperation Council)が設立された。数年後に、太平洋経済協力評議会(Pacific Economic Cooperation Conference)に改称されたが、この評議会では、政府や企業の主要な意思決定者が非公式の場に集まり、アジア太平洋地域が直面する最も重要な課題について議論し、アイデアを策定することで、地域の安定した経済発展を支援するための地域政策イニシアチブを定期的に策定・提唱していった。
こうした土台をもとに、1989年にオーストラリアのホーク首相の提唱で、日本・アメリカ合衆国・カナダ・韓国・オーストラリア・ニュージーランド及び当時の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟6か国の計12か国でAPECが発足、同国のキャンベラで第1回閣僚会議(Ministerial Meeting)が開催されて、以後、毎年の恒例会議となる。
目的
APECの目的は、地域の成長と発展を持続し、世界経済の成長と発展に貢献することである。
具体的な活動としては以下の通り。
- 貿易・投資の自由化・円滑化
- 地域経済統合の推進
- 経済・技術協力
- 人材養成
1991年に発表された「ソウル宣言」で、APECの目的が挙げられた。
- 地域の成長と発展を持続し、世界経済の成長と発展に貢献する
- 経済的相互依存関係の進展による利益の増進を図る
- 開かれた多角的貿易体制の推進・強化を促進する
- 物財・サービスの貿易・投資に対する障壁を緩和する
更に、同宣言には、目的達成のために「貿易・投資の自由化」「貿易・投資の円滑化」「経済・技術協力の推進」が掲げられている。
1994年のインドネシアにおける非公式首脳会議では、参加メンバー首脳による共通の決意表明として、「ボゴール宣言」が採択された。そこでは、「アジア・太平洋地域における貿易・投資自由化の長期的目標」「将来的な経済・技術協力の方向性」が決定された。同宣言において発表された主要目標は以下の通り。
- 域内における自由で開かれた貿易・投資という長期的な目標をGATT(現WTO)の枠組みで達成する
- 域内における貿易・投資の自由化を、先進国については2010年、途上国については2020年までに達成する
- 貿易及び投資の自由化を目指す過程において、現状以上の保護水準を高める措置を採用せず、規制緩和を推進する
APECは、開かれた地域協力によって経済のブロック化を抑え、域内の貿易・投資の自由化を通じて、世界貿易機関(WTO)のもとでの多角的自由貿易体制を維持・発展することを目的としてきた。しかし、近年のWTOの新ラウンドの停滞や自由貿易協定締結の動きの活発化などによって、その実効性と存在意義が問われている。
特徴
APECでは、自主的、非拘束的、かつコンセンサスに基づく協力が特徴である。APECメンバーの国・地域を指す場合には「エコノミー」と呼ばれる。
(これは、過去に「新興工業国(NICs:Newly Industrialized Countries)」が「新興工業国・地域群(NIEs: Newly Industrialized Economies)」に改められたのと同根のアジアの国際政治情勢がある。つまり、香港と台湾の独立性の問題である。)
よって、参加国・地域の国旗や国歌の使用は禁止されている。また、「加盟」ではなく、「参加」という語が用いられている。
ビジネス界と緊密に連携している点も特徴である。APECビジネス諮問委員会(ABAC)が、ビジネス界の重視する課題を首脳に直接提言する形となっている。
1993年には米国のシアトルで初の首脳会議の際に、ボンバージャケットを各国首脳が着用したことから、これ以降に開かれているAPECの会議で参加者が主催国の伝統衣装を着る慣例の始まりとなった。
組織
首脳会議、外相・経済担当相による閣僚会議をそれぞれ年1回開いている。1989年に閣僚会議として開始、1993年から首脳会議も開始された。常設の事務局はシンガポールに所在し、開催国から任期1年で事務局長が選任されている。
- 首脳会議
- 1993年、クリントン米大統領(当時)の呼びかけにから年次開催。当初はAPECの首脳が非公式に参集し、経済問題に関して幅広い見地から自由に意見交換を行う場として開催。その後、APECの具体的指針について協議・採択が行われる等、事実上の最高意思決定機関となった。首脳会議において採択されたAPECの長期的な基本方針は、首脳宣言により発表される
- 閣僚会議
- 参加メンバーの経済産業大臣及び外務大臣により構成され年次開催される。APECの活動の方向性や実施のための最高意思決定機関である。
- 高級実務者会合(SOM)
- 毎年開催される閣僚及び首脳会議の準備を行い、APECの活動全体の調整を行うために、外務省及び対外経済関係省の高級実務者により年3ないし4回開催される
- APECビジネス諮問委員会(ABAC)
- APEC唯一の公式民間諮問機関。貿易・投資の自由化、円滑化に向けたAPECの政策や、その実施状況についての意見や評価をまとめ、APEC首脳や閣僚に提言を行う
- 分野別担当大臣会合
- 財務大臣会合
- 財務高級実務者会合(SFOM)
- 貿易投資委員会(CTI)
- 財政管理委員会(BMC)
- 経済委員会(EC)
- 経済・技術協力運営委員会(SCE)
- 財務大臣会合
実績
- 1993.11. シアトル閣僚・首脳会議:初の非公式首脳会議、議長国の米大統領・ビル・クリントンから貿易・投資の自由化促進が示される
- 1994.11 ボゴール閣僚・首脳会議:2020年までの域内での貿易自由化「ボゴール宣言」を打ち出す
- 1995.11 大阪閣僚・首脳会議:ボゴール宣言実施のための行動指針(大阪行動指針:OAA)を採択、13分野にわたる各国の自主性に委ねる個別行動計画の検討に合意
- 1996.11 マニラ閣僚・首脳会議:大統領・フィデル・ラモスの「APECはビジネスだ」の合言葉が強調された、大阪行動指針に基づいて具体的な行動計画(マニラ行動計画:MAPA)が策定
- 2005.11 釜山閣僚・首脳会議:ボゴール宣言の実施状況を評価、今後の道程(釜山ロードマップ)を示す中間評価報告書を策定
- 2006.11 ハノイ閣僚・首脳会議:釜山ロードマップを実施するための行動計画(ハノイ行動計画)を策定
- 2011.11.12-13 アメリカ・ハワイで首脳会議、13日に地域経済統合を推進するとした「ホノルル宣言」を採択
- 2014.11 北京閣僚・首脳会議:アジア太平洋自由貿易圏の工程表である「北京ロードマップ」を策定
- 2018.11 米中貿易戦争での米中の対立が深く、1993年以降、首脳会議で初めて首脳宣言が採択できず
- 2019.10. – 11. 首脳会議を開く予定だったチリのセバスティアン・ピニェラ大統領は、チリ暴動の激化を受け開催を断念
- 2020.11 COVID-19パンデミックを受けて首脳会議がオンライン形式で実施、ワクチン開発などの協力や自由で公正な貿易の実現を明記した3年ぶりの首脳宣言「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」を採択
参加国・地域
時期 | メンバーシップ |
---|---|
1989 | 日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、大韓民国、フィリピン、タイ、 ブルネイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア |
1991 | 中華人民共和国、チャイニーズ・タイペイ(台湾/中華民国)、ホンコン・チャイナ(1997年の香港 返還により香港に名義変更) |
1993 | メキシコ、パプアニューギニア |
1994 | チリ |
1998 | ロシア、ベトナム、ペルー |
2023 | マカオ、インド、パキスタン、ブータン、グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカ、パナマ、 コロンビア、エクアドル |
原参加国(1989年)
日本
Japan
- 国土面積は377,973.89km2で世界62位、人口は1億2491万人で世界11位
- 議院内閣制、衆議院と参議院の両院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界3位、購買力平価(PPP)で世界4位
●首都
東京
アメリカ合衆国
United States of America
- 国土面積は985万km2 で世界3位、総人口は約3億3,200万人で世界3位
- 大統領制の連邦共和国で、上院と下院の両院制、民主党と共和党の二大政党制
- 名目国内総生産(GDP)は世界1位、購買力平価(PPP)で世界2位
●首都
ワシントンD.C.
カナダ
Canada
- 国土面積は9,984,670km2 で世界2位、人口は3774万人で世界39位
- 連邦立憲君主制国家、イギリス連邦加盟国で英連邦王国の一つ、議院内閣制、上院と下院の両院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界9位、購買力平価(PPP)で世界15位
●首都
オタワ
オーストラリア連邦
Australia
- 国土面積は7,692,024km2(日本の約20倍、アラスカを除く米とほぼ同じ)で世界6位、人口は2550万人で世界55位
- 立憲君主制・連邦制、イギリス国王・女王と同一人物であるオーストラリア国王が国家元首、上院・下院の両院制で議員内閣制
- 名目国内総生産(GDP)は世界13位、購買力平価(PPP)で世界19位