概要
BRICs/BRICS は、投資銀行ゴールドマン・サックスの経済学者であるジム・オニールによって書かれた、2001年11月30日の投資家向けレポート『Building Better Global Economic BRICs』で初めて用いられた呼称が始まりである。
ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の5カ国の英語の頭文字を並べたものである。当初は、今後、著しい経済成長の発展が見込まれる新興国の代表国というグルーピングで、もともとはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を表す造語であった。
2009年からBRICs4か国が首脳会議を開催し、2011年に南アフリカ共和国が首脳会議参加した後は、南アフリカを加えて、複数形を表していた小文字の「s」が南アフリカを表す大文字の「S」となり、BRICS(新興5か国)と称されるようになった。
BRICs 原構成国(2009年 – )
時期 | 状況 | メンバーシップ |
---|---|---|
2009.6.16 | 創立 | ブラジル、ロシア、インド、中国 |
2010.12.24 | 新規加盟 | 南アフリカ共和国 |
2024.1.1 | 新規加盟 | イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア |
ブラジル連邦共和国
Federative Republic of Brazil
- ラテンアメリカ最大の領土・人口を擁する国家で、面積は世界第5位、人口は世界第5位
- 大統領制を敷き、大統領を元首とする連邦共和制
- 南北アメリカ大陸で唯一のポルトガル語圏の国
●首都
ブラジリア
ロシア連邦
Russian Federation
- 国土面積は17,090,000 km2 と世界最大、人口は1億4202万人で世界9位
- 国際連合の安全保障理事会 常任理事国のひとつ
- 1991年のソビエト連邦の崩壊後、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国を継承して成立
●首都
モスクワ
インド共和国
Republic of India
- 南アジア随一の面積(世界では7位)と世界第1位の人口を持つ
- 連邦共和制国家で、世界最大の民主主義国家と呼ばれる
- 連邦公用語はヒンディー語だが、他にインド憲法で公認されている言語が21ある
●首都
ニューデリー
中華人民共和国
People’s Republic of China
- 国土面積は世界3位、人口は世界2位
- 1949年10月の建国以来中国共産党による事実上の一党独裁体制
- GDPは米国に次いで2位(当時世界第2位だった日本のGDPを中国が抜いたのは2010年)
●首都
北京
BRICS首脳会議(2011年 – )
南アフリカ共和国
Republic of South Africa
- 国土面積は122万km2(日本の約3.2倍)で世界24位、人口は5,752万人で世界26位
- 全国州評議会(上院)・国民議会(下院)の両院制、大統領は、国民議会の議決で選出される
- アフリカ唯一のG20参加国で、1994年にアパルトヘイト政策を撤廃
- 金、ダイヤモンド、プラチナ、ウラン、鉄鉱石など鉱業資源が豊富
●首都
プレトリア(行政)
ケープタウン(立法)
ブルームフォンテーン(司法)
拡大版BRICS/BRICS+(2024年 – )
2022年の第14回首脳会議には、BRICSの5か国以外にも13か国が参加した。こうした動きからBRICSを多国間協力の組織体と捉え直し、拡大版BRICSはBRICS+とも表現されることがある。
2023年の首脳会議において、2024年1月1日よりアルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が会議参加国に正式加盟し、11か国体制となることを承認した。これのグループを表す呼称として「BRICS11」を用いることも併せて公表された。
なお、インドネシアは2023年7月に正式にBRICS不参加を決めた。その背景には、①インドと中国の国境紛争などBRICS加盟国間の連帯が欠けている、②ロシアのウクライナ侵攻後にロシアと並ぶ組織に参加するのは負担が大きい、③インドネシアが特定の政治ブロックに同調していると見られる恐れがある、などを挙げている。
2023年12月に就任したハビエル・ミレイ大統領がアルゼンチンの加盟を撤回、2024年1月16日の世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)で、サウジアラビアがBRICSには未加盟である事を明らかにした。
エジプト・アラブ共和国
Arab Republic of Egypt
- 国土面積は1,010,408km2(日本の約2.7倍)で世界29位、人口は1億426万人で世界14位
- 共和制、直接選挙で選出される大統領が国家元首、半大統領制、代議院(下院)・元老院(上院)の両院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界33位、購買力平価(PPP)で世界22位
●首都
カイロ
エチオピア連邦民主共和国
Federal Democratic Republic of Ethiopia
- 国土面積は1,129,300.4km2(日本の約3倍)で世界26位、人口は1億1366万人で世界12位
- 連邦共和制、下院により選出される大統領が国家元首、議院内閣制、上院(連邦院)・下院(人民代表院)の二院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界62位、購買力平価(PPP)で世界70位
●首都
アディスアベバ
イラン・イスラム共和国
Islamic Republic of Iran
- 国土面積は、1,648,195km2(日本の約4.4倍)で世界17位、人口は8676万人で世界17位
- 立憲イスラム共和制、専門家会議が選出する最高指導者が国家元首、大統領は最高指導者の専権事項以外で、執行機関たる行政府の長として憲法に従って政策を執行、イスラム議会の一院制
- 名目国内総生産(GDP)は世界21位、購買力平価(PPP)で世界18位
●首都
テヘラン
アラブ首長国連邦
United Arab Emirates
- 国土面積は83,600km2(日本の約4分の1。北海道程度)で世界113位、人口は937万人で世界91位
- 7首長国による連邦制、各首長国は世襲の首長による絶対君主制、最高意思決定機関は連邦最高評議会(FSC、Federal Supreme Council)、国家元首である大統領、および首相を兼任する副大統領はFSCにより選出、実際には大統領はアブダビ首長のナヒヤーン家、副大統領はドバイ首長のマクトゥーム家が世襲により継ぐのが慣例化
- 名目国内総生産(GDP)は世界34位、購買力平価(PPP)で世界32位
●首都
アブダビ
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