かんたんシャープレシオ【2021年6月】更新しました

ビジネスモデルの学び方

ビジネスモデルの学び方ビジネスモデル

ビジネスモデル論を進める意義

ビジネスモデルという言葉は多くの論者や学者、コンサルタント、実務家から、様々な定義をされて世の中に紹介されている。

ここで、新たに記述的(descriptive)な定義を始める意図はない。

おそらく、広く世の中でそう呼ばれているビジネスモデルを体系化し、ビジネスモデルと呼ばれているものを整理整頓をすることが本意である。

そのために、整理整頓する対象となる概念・コンセプト・しくみをあえて言葉で表現するならば、以下のようになる。

  • 持続的な競争優位を獲得および継続するための事業の進め方
  • イノベーションを生み出すアイデアの効果的な探索方法と、とイノベーションを実行するプロセスと、イノベーションがもたらす超過利益を活用するしくみ
  • 人間が創意工夫して業績改善や課題解決に結びつくアイデアを構成する要素

数字や言葉で表現されるビジネスモデルをこうやって分析の対象にする以上、分析結果が世のため人のためにならないと、分析作業の意味はないことになる。

20世紀初頭、ジョン・デューイ、ジョージ・ハーバート・ミードらによって発展した、プラグマティズムの精神に立ち返って説明を試みたい。

概念や認識は、それがもたらす客観な事実、もっというと、何かの目的に活用して得られる効用、お役立ち度、道具性の高さ、有用性で定義・評価されるべきである、という考え方・哲学である。

よって、ビジネスモデルを、その構成要素の一つ一つ至るまで、次の新しいビジネスモデルを生み出して、顧客による提供価値の消費を通じて社会に貢献し、同時に、価値を提供した企業が対象事業から超過利益を得るために役立てることができるアイデア・要素・しくみ・方法論として議論していきたい。

ビジネスモデルのフレームワーク

世の中に溢れている数多のビジネスモデルを我田引水、牽強付会ばりに、自らのフレームワークに無理やり押し込めて、交通整理したつもりでいい気分に浸ろうということはない。

複数のビジネスモデルを体系化すること、ビジネスモデルを構成する要素のひとつひとつをあきらかにすること、は、どんなに優秀な個人またはグループがどんなに努力しても、万人が納得する整理に落ち着くことはない。

また、そうした整理整頓が、整然と非の打ち所のない様で実現したところで、そうした整理整頓された結果が、次のビジネスモデル構築の役に立たないと、整理整頓をする行為そのものの意味・大義が失われてしまうことになる。

とはいえ、突飛な整理法を持ち出し、整理法自体の是非を議論するエネルギーは無駄なので、ここでは、現存する中で、筆者が最も整理能力の高いビジネスモデル・フレームワークではないかと考える、「ビジネスモデルキャンバス」に、独自の「ビジネスモデル階層」という属性もあわせて説明に使用することで議論を進めていくことにする。

「ビジネスモデルキャンバス」とは、アレックス・オスターワルダ―が、2005年にリーンスタートアップのためのテンプレートとして開発したものが嚆矢こうしとなっている。

電子書籍版もあるが、是非、リアルな紙で備え置くことをお勧めする。

ビジネスモデルの構成要素を以下の9つの視点で整理するためのフレームワークである。これは、ビジネスモデルを構成する9つの要素の特徴から、その要素を含むビジネスモデルの特徴をつかむことに優れている。

出典「ビジネスモデル・ジェネレーション」P44

還元主義を遡行して、それ自体を観察する手法を採る。

同じ手法でビジネスモデルを構成要素からパターンを抽出して体系化したものに次のオリヴァーガスマンらによる「ビジネスモデルナビゲーター」という書籍がある。

ここでは、ビジネスモデルキャンバスでは少々並べてみるには数が多すぎるので、4つの視点でビジネスモデルのパターン化を試みている。

  • Who? 顧客は誰か?
  • What? 提供価値は何か?
  • How? どんな手段で価値を提供するのか?
  • Why? その収益モデルはなぜ儲かるのか?
出典「ビジネスモデルナビゲーター」P20

ならば、ビジネスモデルキャンバスの9要素をこの4軸で層別化しておこう。

もうひとつの特徴づけが、「ビジネスモデル階層」である。これは、今、議論しているビジネスモデルが、事業環境の中でどういった位置づけにあるものかを示すものである。

こちらは、アプリオリ(先験的)に、それぞれのビジネスモデルの有効範囲を階層定義する概念で、これをビジネスモデル論に使用するのは筆者オリジナルのものである。

こうした作業は、フレームワークに落とし込むというより、属性を明確にする(タグ付け)の性格の方が強い。万人受けするフレームワークを、構築することは至難の業であるからである。

ビジネスモデルをいくつか頭の中で整理すためには、タグ付けで十分である。

マイケル・ポーターの「ファイブフォース分析」ですら、受け付けない人は少ながらず存在するのだ。

ビジネスモデルを体系化する意義とは

イノベーション理論の始祖といっても過言ではない、シュンペーターも言及しているように、イノベーションとは新結合である。無から有は生まれない。AとBが新結合して、新たにCが生まれる。

過去のビジネスモデルをできるだけ、「構成要素」と「位置づけ」の2面から整理整頓することで、新たに有効なビジネスモデルを思考する材料にするためにこの整理作業を進める。

過去のビジネスモデルが永続的に超過利益を企業にもたらしてくれることはない。新しく登場したビジネスモデルは、登場した瞬間から陳腐化が始まる。

ブルーオーシャン戦略で話題になった「シルク・ドゥ・ソレイユ」だが、 新型コロナウィルスの影響という環境変化により、事業再生手続きに入ることを2020年6月30日に発表した。

また、ビジネスモデルは、時代を超えて再発明されることも我々は知っている。

2001年に米国アップル社からiPodが発売された。ここからiPhoneに至るまでのアップル社の驚くほどの隆盛は、従来のビジネスモデルの組み合わせであったことはよく知られている。

  • コンピュータ産業では水平分業が常識だった当時に、フォード創成時を彷彿とさせる垂直統合による技術とブランドの死守
  • T型フォードを思い起こすほどの、機種モデルの極端な少なさ(さすがに色のバリエーションは存在したが)
  • ジレットモデルの名で有名な替え刃モデルから逆替え刃モデルへ(ソフトよりハードウェアの付加価値を追求)

万物は流転する

歴史は繰り返すのである。温故知新は古くて新しい知恵のひとつである。

Bundesarchiv Bild 146-2005-0057, Otto von Bismarck.jpg

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

オットー・フォン・ビスマルク(1815 – 1898)|ドイツ帝国首相

ビジネスモデル体系(概要)

ClassBlock説明
ターゲット
Target
顧客セグメント
Customer Segments
企業が関わろうとする顧客を明確にする
(顧客としないセグメントは無視する)
顧客との関係
Customer Relationships
顧客獲得・顧客維持・販売拡大の3点について、
顧客とどのような関係を構築したいか
チャネル
Channels
顧客セグメントとのコミュニケーションの方法
顧客セグメントに価値を届ける方法
バリュー
Value
価値提案
Value Propositions
対象顧客に対して、企業が提供できるベネフィットの総体
顧客が必要とする製品とサービスの組み合わせ
ケイパビリティ
Capability
リソース
Key Resources
ビジネスモデルの実行に必要な経営資源の明確化
リソース獲得に必要な対価と収益の流れの相対的関係
主要活動
Key Activities
価値提供するために欠かせない活動
製造・問題解決・プラットフォーム・ネットワーク
パートナー
Key Partners
どのリソースをサプライヤーから得ているか
どの主要活動をパートナーが行っているか
収益モデル
Profit Models
コスト構造
Cost Structure
ビジネスモデルの運営にあたって発生する全てのコスト
収益の流れ
Revenue Streams
企業が顧客セグメントから生み出すキャッシュフロー
顧客が支払いたいと思っている対象と望む支払方法

企業が関わろうとする顧客を明確にする
(顧客としないセグメントは無視する)

  1. 細分化・セグメンテーション
  2. マス市場
  3. スモールマス
  4. ニッチ市場
  5. 特定市場の支配
  6. プロダクトライフサイクル(PLC)
  7. BOPビジネス
  8. エシカル消費
  9. 究極の逸品
  1. 多角化
  2. マルチサイドプラットフォーム
  3. ロングテール
  4. ハイエンドからの新規参入
  5. ローエンドからの新規参入
  6. アズ・ア・サービス
  7. ロビンフッド
  1. ローカル・リーダーシップ
  2. 地域ドミナント
  3. クリームスキミング
  4. ペネトレーション・プライシング
  5. スキミング・プライシング

顧客獲得・顧客維持・販売拡大の3点について、顧客とどのような関係を構築したいか

  1. ポータル[広告]
  2. 検索語[広告]
  3. アイテム課金
  4. B2B eMP 有料会員
  5. 決済
  6. CGS 有料会員
  7. 友だち[広告]
  8. 仕事関係[マッチング]
  9. パーソナルアシスタンス
  10. セルフサービス
  11. 顧客ライフサイクルマネジメント
  12. 顧客の代理購買
  13. プラットフォーム
  14. ピアツーピア(個人間取引)
  15. 事業間顧客流入
  16. コバンザメ
  17. 外部リストの利用
  18. 御用聞き
  19. スイッチボード
  20. ロックイン
    • 商品ロックイン
    • ベンダーロックイン
  21. カスタマーロイヤルティ
  22. シェアリング
  23. 顧客データ活用
  24. プロシューマ―

顧客セグメントとのコミュニケーションの方法
顧客セグメントに価値を届ける方法

  1. 世界統一プラットフォーム
  2. 2サイド・プラットフォーム
  3. コミュニティ
  4. オムニ・チャネル
  5. マルチレベルマーケティング
  6. 店舗内出店

対象顧客に対して、企業が提供できるベネフィットの総体
顧客が必要とする製品とサービスの組み合わせ

  1. 時間利益
  2. イノベーション
  3. カスタマイゼーション
  4. ワンストップ・ショッピング
  5. スイッチボード
  6. フリーミアム
  7. 感動サービス
  8. 体験の販売
  9. スマイルカーブ
  10. ソリューション
  11. 同質化
  12. バンドリング
  13. アンバンドリング
  14. デファクトスタンダード
  15. ブルーオーシャン
  16. インテグレーター
  17. アグリゲーター
  18. データハブ
  19. 自社製品からの情報フィードバック
  20. マルチコンポーネント
  21. マルチウインドウ(利益増殖)
  22. IP (intellectual property)
  23. 製品ピラミッド
  24. サードパーティ利益
  25. デジタル化
  26. 稼働保証
  27. マス・カスタマイゼーション
  28. 格安商品
    • LCC
  29. リサイクル

ビジネスモデルの実行に必要な経営資源の明確化
リソース獲得に必要な対価と収益の流れの相対的関係

  1. 機能外販
  2. リソース先制
  3. マニュアル化
  4. プロフェッショナルサービスファーム
  5. コーポレートベンチャーキャピタル
  6. 専門家利益
  7. ストックオプション
  8. 資金調達
    • コーポレートファイナンス
    • プロジェクトファイナンス
    • ソーシャルインパクトボンド
    • 優先株式
    • 転換社債
    • 荷為替信用状
    • ファイナンスリース

価値提供するために欠かせない活動
製造・問題解決・プラットフォーム・ネットワーク

  1. レイヤーマスター
  2. オーケストレーター
  3. 製販分離型買収統合
  4. グローバル化
  5. インターナショナル化
  6. マルチナショナル化
  7. トランスナショナル化
  8. 直販モデル
  1. 垂直的マーケティング
  2. ブランド利益
  3. 素材ブランディング
  4. バーター
  1. リバースエンジニアリング
  2. リバースイノベーション
  1. VMI
  2. リベート
  3. 割引
  4. ボリュームディスカウント
  5. アローワンス
  6. 特売
  7. 補完的価格政策
  8. 系列システム(流通)
  9. 受発注
    • 定時発注
    • 発注点発注
    • かんばん方式
    • JIT
    • 買取仕入
    • 委託仕入
    • 返品条件付き買取仕入
    • 消化仕入
  10. 仲立人
  11. 民事仲立人
  12. 問屋
    • 金融商品取引業
    • 商品先物取引業
    • 委託販売
  13. 準問屋
    • 金融商品取引業(金融指標の数値の先物取引等の受託)
    • 商品先物取引業(商品指数などの先物取引等の受託)
    • 広告業者
  14. 運送取扱人
  15. 代理商
    • 締約代理商
    • 媒介代理商
    • 取次代理商
  16. 特約店
    • フランチャイズ
  17. 海外代理店
    • 総代理店
  1. 大量生産
  2. 垂直統合
  3. 川上統合によるブラックボックス化
  4. 水平分業
  5. 分散統治
  6. ITクラスター
  7. リーン生産
  8. 系列化(調達・生産)
  9. LCC
  10. 水平分業
  11. A&D
  12. 知財専業
  13. C+D
  14. オープン・イノベーション
  15. クラウド・ソーシング
  16. メイカームーブメント
  17. オープン・オーガニゼーション
  18. OEM
  19. ODM
  20. 見込生産(MTS)
  21. 受注組立生産(ATO)
  22. 受注仕様組立生産(CTO)
  23. 受注加工組立生産(BTO)
  24. 繰り返し受注生産(MTO)
  25. 個別受注生産(ETO/DTO)
  26. 混流生産
  27. セル生産
  1. SPA
  2. 売切SPA
  3. QR SPA
  4. クラウド・サービス
  5. 素材 SPA
  6. クラウド・システム
  7. オープン・サービス・イノベーション
  8. サプライチェーン種別の変更
  9. PB商品
  1. 在庫販売(STS)
  2. 小売業
  3. 卸売業
  4. 小型店チェーンストア
  5. 百貨店
  6. GMS
  7. 自己陳腐化
  8. 多ブランド化
  9. CVS
  10. 大規模店
  11. ディスカウントストア
  12. D2C
  13. B2B eMP
  14. C2C eMP
  15. C2B eMP
  16. フリート・マネジメント
  17. 会員制フラッシュセール
  18. クロスセル
  19. アップセル
  1. 物品運送
  2. 旅客運送
  1. 普通倉庫
  2. 冷蔵倉庫
  3. 水面倉庫
  4. トランクルーム
  5. 保護預り
  6. 一時預り
  7. 保税蔵置場
  1. 有線電気通信
  2. 無線通信
  3. 放送
  4. 専用回線再販サービス
  5. VAN(付加価値通信網)サービス
  6. インターネット接続サービス
  7. 電話サービス
  1. 民営保険
  2. 公営保険
  3. 少額短期保険
  4. 生命保険業
  5. 損害保険業
  6. 傷害保険・疾病保険(第三分野)
  1. 公益信託
  2. 私益信託
  3. 目的信託
  4. 特別法に基づく信託業
  5. 管理型信託業
  6. 信託業を営む金融機関の業務
  7. 信託銀行以外の金融機関の業務
  8. 信託契約代理業
  9. 金銭信託
  10. 金銭信託以外の金銭の信託(金外信)
  11. 有価証券の信託
  12. 金銭債権の信託
  13. 動産の信託
  14. 不動産の信託
  15. 知的財産権の信託
  1. 国際為替
  2. 公金為替
  3. 現金販売
  4. トラベラーズチェック
  5. クレジットカード
  6. 勧進帳
  7. マイクロ・クレジット
  8. マイクロ・ペイメント
  9. モバイル端末決済
  10. クラウド・ファンディング
  11. レンタル
  12. リース
  13. コーポレートファイナンス
  14. プロジェクトファイナンス Project Finance
  15. ヘッジファンド
  16. イスラム金融
  1. コーポレートガバナンス
  2. マネジメント
  3. ポートフォリオ管理

どのリソースをサプライヤーから得ているか
どの主要活動をパートナーが行っているか

  1. アフィリエイト
  2. エコシステム
  3. オープンソース
  4. 提携先のレバレッジ
  5. 強者連合
  6. 資源の動的アロケーション
    • コードシェア
    • 共同配送
  7. クロスライセンス

ビジネスモデルの運営にあたって発生する全てのコスト

  1. 規模の経済
  2. 範囲の経済
  3. 多角化の経済性
  4. 休眠資産の活用
  5. 多重目的の利用
  6. 副産物
  7. ロスリーダー
  8. 景気循環利益
  9. 相対的市場シェア利益
  1. シェアードサービス
  2. BPO
  3. 休眠資産の活用
  4. 価格破壊
  1. 替え刃(インストールベース利益)
  2. 広告
  3. 従量課金
  4. 定額制
  5. カートリッジ[替え刃]
  6. 逆替え刃
  7. アドオン
  8. ダイナミックプライシング
  9. サブスクリプション
  10. 敵の収入源の破壊
  11. リカーリング
  12. 残存者利益
  13. 自然独占
  14. 成功報酬
  15. コミッション
  16. ロイヤルティ
  17. コミットメントライン
  18. 保証プレミアム
  19. イールドマネジメント
  20. オークション
  21. 薄利多売
  22. ベストプライス
  23. EDLP
  24. ライセンシング
  25. 建値制度
  26. オープンプライス制
  27. ノープリント化
  28. ブロックバスター
  29. リース
  30. サブリース
  31. レンタル
  32. キャッシュマシン
  33. 投げ銭
  34. レベニューシェア
  1. 事業施設の所有権の移転による事業分類
    • BTO事業(Build-Trasfer-Operate Projects)
    • BOT事業(Build-Operate-Trasfer Projects)
    • BLT事業(Build-Lease-Trasfer Projects)
    • BOOT事業(Build-Own-Operate-Trasfer Projects)
    • BOO事業(Build-Own-Operate Projects)
  2. 事業協定 (Project Agreement) による事業分類

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