電気通信業 Telecommunications
電気通信事業の概要
電気通信とは、有線・無線その他の電磁的方式により符号・音響・影像を送信・媒介・受信することをいう(電通事2条1号)。
- 符号:テレックス、データ通信
- 音響:電話
- 影像:ファクシミリ、テレビ会議
電気通信役務とは、電気通信を行うための電気的設備(電気通信設備)を他人の通信の用に供する行為であり、主に、電気通信設備を用いて他人の通信を媒介することを指す(電通事2条3号)。
電気通信事業とは、電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業である(電通事2条4号)。
電気通信事業法第2条1号-6号に、電気通信に関する各用語の定義がある。
電気通信事業は、営業的商行為に含まれないが(商502条)、会社が事業として行う場合には商行為となる(会社5条)。
- 有線電気通信
- 送信場所・受信場所間に線条その他の導体を利用する通信(有線電通2条1項)
- 導体には銅線等の電気伝導体、光ファイバ等電磁波の伝導体がある
- 有線電気通信法の規制により、自家用・営業用を問わず設備の設置者に総務大臣への届出義務(3条)、技術基準への適合義務(5条)がある
- 無線通信
- 放射により空間を伝播する電波(300万MHz以下の周波数の電磁波)を利用して符号・音響の送受を行うもの(電波2条)
- 電波は周波数の数が有限であるため、電波法により利用が制限されている
- 通信と放送の違い
- 通信
- 特定の者に自己の意思を伝えまたは事実を通知するもの(有線電通9条、電波59条)
- 放送
- 公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信(電波5条4項、放送2条1号)であって、一方的な番組の供給にすぎず、受信者を通信相手として認知していないので、放送は電気通信役務には当たらないと法解釈されている
- なお、契約者のみが受信できる場合も放送に該当し得る
- 通信
事業規制
電気通信事業については、
- 通信の秘密の維持(電通事3条・4条)
- 利用の公平の確保(電通事6条)
- サービス提供の安定的確保 等
の利用者の利益を保護する必要があり、それと同時に、事業の運営を適正かつ合理的なものとする必要もあるため、一般的に、事前規制として、電気通信事業法に基づく行政的な規制が行われる
一般的規制
- 電気通信事業者としての登録・届出
- 総務大臣の登録
- 設置する電気通信回線設備の規模・区域の範囲が一定の基準を越えない場合には、総務大臣への届け出をすれば足りる
- 利用者に対する義務
- 総務大臣が指定する電気通信役務の提供に関する契約の締結・媒介をする場合、当該役務に関する料金その他の提供条件の概要について利用者に説明義務がある
- 当該契約締結後、総務省令で定める内容を記載した書面を遅滞なく利用者に交付しなければならない
- 役務利用者からの苦情・問合せの適切・迅速な処理義務を負う
- 契約獲得のため、故意に事実を告げずもしくは不実のことを告げる、執拗に勧誘する行為が禁じられる
- クーリングオフ制度がある
- 電気通信事業者による上記項目への違反行為は、業務改善命令の対象となる
業態別規制
基礎的電気通信役務
- アナログ電話用設備である固定端末系伝送路設備のみを用いて音声伝送役務を提供する等、国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきもの(ユニバーサル・サービス)として総務省令で定める電気通信役務(電通事7条、電通施規14条)
- この役務を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定的な提供に努めなければならない(電通事7条、電通事25条1項[締結強制])
- 当該役務に関する料金その他の提供条件につき契約約款を定めて総務大臣に届け出を行う
- 原則としてその契約約款に定める条件により役務を提供しなければならない
- 該当事業者
- NTT東日本
- NTT西日本
- ソフトバンク
交付金制度
基礎的電気通信役務の提供に要する費用がそこから生ずる収益の額を上回ると見込まれる場合、基礎的電気通信役務支援機関が一定以上の事業規模の電気通信事業者から負担金を徴収し、基礎的電気通信役務を提供する事業者であって一定の基準に適合すると認められるもの(適格電気通信事業者)に対しその費用の一部に充てるための交付金を交付する制度がある(電通事106条-116条)。
指定電気通信役務
- 第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が当該設備を用いて提供する電気通信役務であって、それに代わる電気通信役務が他の事業者によって十分に提供されないことその他の事情を勘案して、利用者の利益を保護する必要から、総務省令で指定されたもの(電通事20条1項、電通施規18条)
- この役務を提供する電気通信事業者は、当該役務に関する料金その他の提供条件について契約約款を定め、総務大臣に届け出なければならない
- 役務提供の相手方との間で料金その他の提供条件につき別段の合意をすることは妨げられない(電通事20条5項、電通事25条2項[保障契約約款の条件による締結強制])
- 第一種指定電気通信設備を設置する事業者
- NTT東日本
- NTT西日本
- 第二種指定電気通信設備を設置する事業者
- NTTドコモ
- KDDI
- 沖縄セルラー電話
- ソフトバンク
- Wireless City Planning
- UQコミュニケーションズ
第一種指定電気通信設備と第二種指定電気設備の定義
総務大臣は、全国の区域を分けて区域ごとに、その一端が利用者の電気通信設備(移動端末設備を除く)と接続される伝送路設備のうち同一の電気通信事業者が設置するものであって、区域内のシェア(回線数による)が一定以上のもの等を、他の電気通信事業者の電気通信設備との接続が利用者の利便の向上等に欠くことができない電気通信設備として指定することができる(電通事33条1項、電通施規23条の2)。
その指定を受けた電気通信設備が「第一種指定電気通信設備」である(電通事34条)。
なお、移動端末設備と接続される伝送路設備等で同様の指定を受けたものは、「第二種指定電気通信設備」である(電通事34条)。
特定電気通信役務
- 指定電気通信役務であって、その内容、利用者の範囲等から見て利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定めるもの(電通事21条1項、電通施規19条の3)
- この役務に関し、総務大臣は、毎年少なくとも1回、その料金について、種別ごとに、能率的な経営の下における適正な原価及び物価その他の経済事情を考慮して、通常実現することができると認められる水準の料金を料金指数により定め(基準料金指数)、当該役務を提供する事業者に通知しなければならない
- 事業者が特定電気通信役務に関する料金を変更しようとする場合、当該変更後の料金の料金指数が基準料金指数を超えるものであるときは、通常の契約約款の変更の手続きではなく、総務大臣の認可を要する(電通事21条2項・3項)
- 総務大臣は、料金の料金指数が基準料金指数を超えている事業者に対し、相当の期間を定め、当該役務に関する料金を変更すべきことを命ずる(電通事21条4項)
- 該当事業者
- NTT東日本
- NTT西日本
通信量等の記録義務
特定電気通信役務を提供する電気通信事業者は、総務省令で定める方法により、提供する特定電気通信役務の通信量、回線数等を記録しておかねばならない(電通事22条、電通施規21条)。
電気通信役務
種類
- 基礎的電気通信役務の範囲
- 加入電話に係る役務(電通施規14条1号)
- 加入者回線アクセス(基本料)
- 離島特例通信
- 緊急通報(110番・118番・119番)
- 第一種公衆電話に係る役務(電通施規14条2号)
- 市内通信
- 離島特例通信
- 緊急通報
- 加入電話に相当する光IP電話(電通施規14条3号)
- 基本料
- 緊急通報
- 加入電話に係る役務(電通施規14条1号)
- 指定電気通信役務・特定電気通信役務の範囲
- 「指定」かつ「特定」
- 加入電話・ISDNに係る基本料
- 通話料(市内通話・県内市外通話)
- 公衆電話
- 「特定」以外の「指定」
- 音声伝送役務としてのひかり電話
- 専用役務としての
- 一般専用サービス
- 高速ディジタル伝送サービス
- DSL等接続専用サービス
- データ伝送役務としての
- IP通信網サービスに係るフレッツISDN
- フレッツ光(光コラボレーションモデル含む)
- 「指定」かつ「特定」
約款等
- 基礎的電気通信役務に関する約款
- 基礎的電気通信役務について、公平な役務の提供のため、事業者は、提供条件につき契約約款を定めて総務大臣に届出を行い、原則としてその約款に定める条件により役務を提供しなければならない
- 指定電気通信役務に関する約款
- 指定電気通信役務について、事業者は、役務提供条件につき契約約款(保障契約約款)を定めて総務大臣に届け出なければならない
- それ以外の約款および約款によらない契約
- 自らは電気通信回線設備を設置しない電気通信事業者の中には、特定ユーザのみを相手方として契約を締結するため、約款によることなく個別に役務内容・料金等の契約条件を交渉により決定するものもある
- 例)
- オンライン情報処理サービス契約
- 端末設備提供契約
- ソフトウェア開発委託契約
- 例)
- 自らは電気通信回線設備を設置しない電気通信事業者の中には、特定ユーザのみを相手方として契約を締結するため、約款によることなく個別に役務内容・料金等の契約条件を交渉により決定するものもある
電話サービス
以下の内容は、「NTT東日本・電話サービス契約約款」に基づく。
- 契約内容
- 電気通信事業者の義務
- 一般
- 義務の範囲
- 役務不提供の損害賠償責任
- 免責事由
- 賠償額の定型化
- 損害保険と賠償責任保険
- 加入電話契約者の義務
- 料金支払義務
- その他の義務
- 契約の成立と終了
- 契約の成立
- 締約強制
- 契約締結時に支払うべき費用
- 携帯電話契約のクーリングオフ
- 契約の終了
- 契約の成立
VANサービス
以下の内容は、「NTT東日本・電話サービス契約約款」に基づく。
- 電気通信事業者の義務
- VANサービス契約の特徴
- 事業者による役務提供
- 役務内容
- 役務不提供による損害賠償責任
- 事業者による機密保持・データ保全
- ユーザの行為に関する事業者の第三者に対する責任
- ユーザの義務
- 料金支払義務
- その他の義務
ビジネスモデル体系(概要)
Class | Block | 説明 |
---|---|---|
ターゲット Target | 顧客セグメント Customer Segments | 企業が関わろうとする顧客を明確にする (顧客としないセグメントは無視する) |
顧客との関係 Customer Relationships | 顧客獲得・顧客維持・販売拡大の3点について、 顧客とどのような関係を構築したいか | |
チャネル Channels | 顧客セグメントとのコミュニケーションの方法 顧客セグメントに価値を届ける方法 | |
バリュー Value | 価値提案 Value Propositions | 対象顧客に対して、企業が提供できるベネフィットの総体 顧客が必要とする製品とサービスの組み合わせ |
ケイパビリティ Capability | リソース Key Resources | ビジネスモデルの実行に必要な経営資源の明確化 リソース獲得に必要な対価と収益の流れの相対的関係 |
主要活動 Key Activities | 価値提供するために欠かせない活動 製造・問題解決・プラットフォーム・ネットワーク | |
パートナー Key Partners | どのリソースをサプライヤーから得ているか どの主要活動をパートナーが行っているか | |
収益モデル Profit Models | コスト構造 Cost Structure | ビジネスモデルの運営にあたって発生する全てのコスト |
収益の流れ Revenue Streams | 企業が顧客セグメントから生み出すキャッシュフロー 顧客が支払いたいと思っている対象と望む支払方法 |
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