プロジェクト型ビジネス Projected Business
事業施設の所有権の移転による事業分類
この分類のポイントは、
- 事業の資産がオフテイカーや公共契約機関に移転するか否か
- 移転する場合はどの時点で移転するか
BTO事業(Build-Transfer-Operate Projects)
プロジェクトカンパニーが事業施設を建設した時点で、公共セクターに事業施設の所有権が移転される。
BOT事業(Build-Operate-Transfer Projects)
プロジェクトカンパニーは事業に必要な資産を保有することはない。所有権は公共セクターに残る。
プロジェクトカンパニーは公共契約機関との事業協定において定められた事業施設を建設し、事業運営による収入を得る権利を有する。
例:PPP事業 (Public Private Partnerships)
→ DBFO (Design-Build-Finance-Operate) 事業とも呼ぶ。
→ 日本でよく用いられる BOT (Build-Own-Transfer) 事業は、下記の BOOT事業と同義
BLT事業(Build-Lease-Transfer Projects)
BOTとの違いは、事業期間にわたって事業用地・関連施設をプロジェクトカンパニーに対してリースする点。
→ BLOT (Build-Lease-Operate-Transfer)事業とも呼ばれる。
この形態は、事業の公共性の観点から、民間企業が事業施設を所有することが適切ではないケースに適用される。
BOOT事業(Build-Own-Operate-Transfer Projects)
プロジェクトカンパニーは、事業施設を建設・所有し、定められた期間にわたって事業運営し、ユーザから収益を上げる。
プロジェクトカンパニーは、事業期間終了時に施設の所有権をオフテイカーや公共契約機関に移転する。
例:発電所を建設し、契約期間(20年等)にわたって電力を供給し、事業終了後に発電所の所有権をオフテイカーに移転
BOO事業(Build-Own-Operate Projects)
プロジェクトカンパニーは、事業施設を建設・所有する。所有権の移転は発生しない。
プロジェクトカンパニーは、事業施設の残存価値を活かし、追加的な利益を享受することができる。
例:民営化された発電所・携帯電話ネットワーク
事業協定 (Project Agreement) による事業分類
この分類のポイントは、資産の残存価値に着目して、
- 資産返還型契約 (Reverting Asset Contract)
- 契約終了時に施設の所有権がオフテイカーや公共契約機関に戻る
- 資産非変換型契約 (Non-Reverting Asset Contract)
- 契約終了時に施設の所有・運営権がプロジェクトカンパニーに残る
オフテイク契約 (Off-Take-Based-Contract)
プロジェクトカンパニーが何らかの製品を生産し、オフテイカーに販売する。
※ オフテイカー:プロジェクトファイナンスにおいて、事業会社が生み出すサービスを購入する者(引き取り手)
例:プロセスプラント事業
プロジェクトファイナンスにおいて、レバレッジの高い資金調達を行う場合、プロジェクトカンパニーが負うリスクを限定することの必要性が高い。
オフテイク契約は、最も容易にリスクを限定する契約締結方法のひとつ。
- テイク・オア・ペイ契約 (Take-or-pay Contract)
- テイク・アンド・ペイ契約 (Take-and-pay Contract)
- 長期販売契約 (Long-term Sales Contract)
- ヘッジ取引契約 (Hedging Contract)
- CfD (Contract for Differences)
- スループット契約 (Throughput Contract)
- インプットプロセシング契約 (Input-processing Contract)
- PPA (Power Purchase Agreement)
- EPC契約
- ランプサム契約
- コストプラスフィー契約
- タイムアンドマテリアル契約
アベイラビリティ契約 (Availability-Based-Contract)
公共契約機関がプロジェクトカンパニーに事業のアベイラビリティの対価を支払う。
例:PFI事業
- サービスフィー
- アウトプット仕様
- アベイラビリティ
- パフォーマンス
- シャドウトール
- RO (Rehabilitate-Operate)
- サービス購入型
- 独立採算型
- ミックス型
コンセッション契約
プロジェクトカンパニーが、公共サービスを提供し、そのユーザから対価を徴収する。
例:コンセッション事業
- ユーザーチャージ
- レベニューシェアリング
PPP的契約
※ PPP: Public Private Partnership(官民連携)
(狭義)民間セクターによる事業の設計・建設・資金調達・運営のための長期契約
- コンセッションとPFIによるPPPを両方含むケース
- 全ての収入がユーザの支払に依存するコンセッションによるPFI契約に限定するケース
(広義)公共セクターと民間セクター間で締結される契約全般
- フランチャイズ (Franchise)
- アフェルマージュ (Affermage)
- リース (Lease)
- フォーフェイティング (Forfaiting)
- ジョイントベンチャー (Joint Venture)
- 公共所有物に関する条項 (Provision of Public Property)
- サービス契約 (Service Contract)
- マネジメント契約 (Management Contract)
- GOCO (Government-Owned, Contractor-Operated)
- 設計・建設契約 (Design & Build Contract)
ビジネスモデル体系(概要)
Class | Block | 説明 |
---|---|---|
ターゲット Target | 顧客セグメント Customer Segments | 企業が関わろうとする顧客を明確にする (顧客としないセグメントは無視する) |
顧客との関係 Customer Relationships | 顧客獲得・顧客維持・販売拡大の3点について、 顧客とどのような関係を構築したいか | |
チャネル Channels | 顧客セグメントとのコミュニケーションの方法 顧客セグメントに価値を届ける方法 | |
バリュー Value | 価値提案 Value Propositions | 対象顧客に対して、企業が提供できるベネフィットの総体 顧客が必要とする製品とサービスの組み合わせ |
ケイパビリティ Capability | リソース Key Resources | ビジネスモデルの実行に必要な経営資源の明確化 リソース獲得に必要な対価と収益の流れの相対的関係 |
主要活動 Key Activities | 価値提供するために欠かせない活動 製造・問題解決・プラットフォーム・ネットワーク | |
パートナー Key Partners | どのリソースをサプライヤーから得ているか どの主要活動をパートナーが行っているか | |
収益モデル Profit Models | コスト構造 Cost Structure | ビジネスモデルの運営にあたって発生する全てのコスト |
収益の流れ Revenue Streams | 企業が顧客セグメントから生み出すキャッシュフロー 顧客が支払いたいと思っている対象と望む支払方法 |
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