構成要素
- エクイティ(事業のインベスターによる出資)
- デット(金融機関による融資)
プロジェクト関連契約(Project Contracts)
- 事業協定(Project Agreement)
- オフテイク契約
- オフテイカーが一定の価格で長期にわたって、事業が生み出す製品を購入する契約
- 公共事業契約
- 公共事業施設の建設・運営について、公共契約機関とプロジェクトカンパニーが締結する契約
- オフテイク契約
- 再委託契約
- プロジェクトカンパニーが直接外部企業との間で、事業が生み出す製品の販売やインフラの提供を再委託する契約
注)公共契約機関(Contract Authority)
政府中央官庁、地域・州政府、県・市政府、その他の公共機関・公的機関
ストラクチャー
- プロセスプラント事業
- 事業の原材料に一定の処理が施され、最終的な製品が生み出される
- インフラ事業
- 経済インフラの民営化(港湾、空港など)
- PPP(Public Private Partnerships)
- コンセッション(Concession)
- インフラ投資資金は完成後のユーザ課金により回収
- PFI(Private Finance Initiative)
- 施設整備と運営コストを公共契約機関がサービス対価として支払う
- コンセッション(Concession)
プロジェクトファイナンスを利用する際のデメリット
- 企業全体の与信を前提にしたコーポレートファイナンスの方が、よりシンプル・迅速・低コストで融資を受けることができる
- プロジェクトファイナンスはD/Eレシオが相対的に高いため、ハイ・レバレッジのリスク(貸し倒れ、デフォルト)に慎重に対応するため、より入念なデューデリジェンスを必要とする
- プロジェクトファイナンスはハイ・レバレッジのリスクが高いため、短期的に発生する問題に耐えられるだけの頑強性(Robustness)を準備しておくことが必要になる
- プロジェクトファイナンスはハイ・レバレッジのリスクが高いため、貸し手(レンダー)はプロジェクトカンパニーの事業運営を常にモニタリングしていなければならない
- 貸し手(レンダー)の常時モニタリングは、インベスターにとって経営の独立性と自由度が低くなることを意味している
プロジェクトファイナンスを利用する際のメリット
インベスターにとってのメリット
- ハイ・レバレッジを可能にする
- 資金調達コストの縮減
- 借入限度額の増加
- 投資リスクの限定
- リスク分散
- 対インベスターの地位向上
- 異業種パートナーシップ
- 長期資金の調達
- 信用力の向上
- インベスター間の意思決定管理
- タックスベネフィット(タックスシールド)
- オフバランス化
オフテイカーや公共契約機関にとってのメリット
- 安価な製品たサービスの安定供給
- 公共インフラへの追加的投資
- キャピタル・アット・リスク(Capital at Risk)
- 初期投資費用の低減
- 第三者によるデューデリジェンス
- 透明性
- 追加的な対内投資
- 金融市場の発展
- 技術移転
プロジェクトファイナンスのアクター
- スポンサー
- 二次的な出資者
- 公共セクター
- アドバイザー
- 共同事業体(JV)
- プロジェクトカンパニー
プロジェクトファイナンスの市場
- 商業銀行
- ボンド
- 銀行以外の貸し手
- その他の資金調達ソース
- 劣後デット
- メザニンデット
- リースファイナンス
- ベンダーファイナンス
- イスラム金融
- 比較的新しいモデル
- 規制されたアセット・ベースド・ファイナンス(RAB)
- アウトプット・ベースド・エイド(OBA)
- ソーシャル・インパクト・ボンド(SIBs)
- タックス・インクリメント・ファイナンス(TIF)
プロジェクトファイナンスにおけるレンダーの業務
- 商業銀行
- ボンドの発行
事業協定
- 事業期間の決定
- 事業施設の耐用年数
- インベスターのアフォーダビリティ
- デットの返済期間
- 投資回収期間
- 残存価値
- 事業内容の柔軟性
- 大規模修繕と更新
- 減価償却期間
- 変更可能な事業期間の割合と部分
- オフテイカー・公共契約機関による契約モニタリング
- 設計と建設のモニタリング
- 運営のモニタリング
- 再委託契約のモニタリング
- 資金調達のモニタリング
- 契約履行保証
- 損害賠償事由
- 免責事項
- 救済事由
- 事業協約の解除
- 所有権の変更
- 紛争解決
その他の契約
- 建設契約
- O&M契約/メンテナンス契約
- ビルサービス契約
- 原料供給契約
- 保険契約
- 事業用地のリース/その他の使用権
- 許認可
- 再委託契約
- 下請企業に対する親会社の保証(PCG)
- 直接協定
プロジェクトファイナンスのリスク
コマーシャルリスク
- 建設リスク(Construction Risk)
- 収入リスク(Revenue Risk)
- 運営リスク(Operating Risk)
- 原料供給リスク(Input-Supply Risk)
- 保険対象外リスク(Uninsured Risk)
- 環境リスク(Environment Risk)
- 残存価値リスク(Redisual Value Risk)
マクロ経済リスク
- 金利変動リスク
- 物価変動リスク
- 為替変動リスク
- リファイナンスリスク
政治リスク
- 法令変更リスク
- 投資リスク
- 広義の政治リスク
- 契約履行拒絶
- 裁判
- 強制収用
- サブソブリン・リスク
クレジットリスクの改善施策
- 建設リスクの分離
- メザニンデット
- スタンバイ・ファイナンス
- ブレンディッド・テナー
- 増資
事業のファイナンシャル・ストラクチャリングと文書
資金調達ストラクチャー
- エクイティの構造
- EqIRR
- ブレインディッドEqIRR
- デットカバーレシオ
- D/Eレシオ
- デットサービス計画
- 金利/手数料
- 追加コスト
- 利払に対する源泉徴収税
- 規制関連コスト(マンデトリーコスト)
ファイナンシャルモデル
ドキュメンテーション
- タームシート
- 建設期間:デットのドローダウン
- 運営期間:キャッシュフローの管理
- 報告義務
- 融資契約の解除と期限前返済
- 担保
- 貸出先行条件
- 表明/保証
- コベナンツ
- 許可/権利放棄・変更
- 期限の利益の喪失事由
- レンダーによる意思決定過程
- 債権者問題
- 金利スワップ・プロバイダー
- 固定金利の提供者
- 異なる担保権を有するレンダー
- リースの供与者
- 融資不能
- 適用法と裁判管轄
- リファイナンス
- エクイティの譲渡
プロジェクトへの外部支援
公共セクターによる事業への財政支援
- 融資
- メザニンデット
- スタンドバイ・ファイナンシング
- リファイナンス
- 政策銀行/開発銀行
- クレジットギャランティ・ファイナンス
- 補助金等
- キャピタル・グラント
- VGF
- 部分建設
- 補完投資
- 債務保証
- フル・デットギャランティ
- ファーストロス・デットギャランティ
- パリパス・デットギャランティ
- デット・アンダーピニング
- 収入支援
- 最低収入保障(MRG)
- 料金補助
- 公的プロジェクトカンパニー
輸出信用機関(ECA)
- 事業に係る資本設備を当該国から輸出する際に、ローンまたは財務リスク・政治リスクをカバーする保険・保証を提供する機関
開発金融機関(DFI)
二国間開発金融機関(二国間DFI)
- 当該国外で実施される事業のために、アンタイドローンまたは政治リスクをカバーする保険・保証を提供する機関
多国間発金融機関(多国間DFI)
- 世界銀行
- IFC
- IDA
- MIGA
- アジア開発銀行
- アフリカ開発銀行
- 欧州復興開発銀行
- 欧州投資銀行
- 米州開発銀行
- 北欧投資銀行
- イスラム開発銀行
- ユーラシア開発銀行
- アンデス開発公社(CAF)
- 北アメリカ開発銀行
- 中米経済統合銀行(CABEI)
プロジェクト型ビジネス(Projected Business) - ビジネスモデル体系
▲ビジネスモデル体系 TOP ▲収益モデル TOP ▲収益の流れ TOP プロジェクト型ビジネス Projected Business 事業施設の所有権の移転による事業分類 この分類のポイントは、 事業の資産がオフテイカーや公共契約機関に移...
オフテイク契約 (Off Take Based Contract) - ビジネスモデル体系
▲ビジネスモデル体系 TOP ▲収益モデル TOP ▲プロジェクト型ビジネス TOP オフテイク契約 Off Take Based Contract プロジェクトカンパニーが何らかの製品を生産し、オフテイカーに販売する。 ※ オフテイカー:...
アベイラビリティ契約 (Availability Based Contract) - ビジネスモデル体系
▲ビジネスモデル体系 TOP ▲収益モデル TOP ▲プロジェクト型ビジネス TOP アベイラビリティ契約 Availability Based Contract 公共契約機関が、利用者に代わり、プロジェクトカンパニーに事業のアベイラビリテ...
ビジネスモデル体系(概要)
Class | Block | 説明 |
---|---|---|
ターゲット Target | 顧客セグメント Customer Segments | 企業が関わろうとする顧客を明確にする (顧客としないセグメントは無視する) |
顧客との関係 Customer Relationships | 顧客獲得・顧客維持・販売拡大の3点について、 顧客とどのような関係を構築したいか | |
チャネル Channels | 顧客セグメントとのコミュニケーションの方法 顧客セグメントに価値を届ける方法 | |
バリュー Value | 価値提案 Value Propositions | 対象顧客に対して、企業が提供できるベネフィットの総体 顧客が必要とする製品とサービスの組み合わせ |
ケイパビリティ Capability | リソース Key Resources | ビジネスモデルの実行に必要な経営資源の明確化 リソース獲得に必要な対価と収益の流れの相対的関係 |
主要活動 Key Activities | 価値提供するために欠かせない活動 製造・問題解決・プラットフォーム・ネットワーク | |
パートナー Key Partners | どのリソースをサプライヤーから得ているか どの主要活動をパートナーが行っているか | |
収益モデル Profit Models | コスト構造 Cost Structure | ビジネスモデルの運営にあたって発生する全てのコスト |
収益の流れ Revenue Streams | 企業が顧客セグメントから生み出すキャッシュフロー 顧客が支払いたいと思っている対象と望む支払方法 |