世界史年表について
世界史の誕生はいつか?
歴史年表は過去から現在まで、時間軸だけで追っていくより、同時代の地域間比較の目線をもって眺めるとより理解が深まる。
時間軸と地域軸の2次元(2D)で世界史年表を読めるようになるのがいい。
年表は、「縦読み」よりも「横読み」が役に立つ‼
現代は、通信と移動に関するテクノロジーの発達から、グローバルに世の中が変わっていくという一つの時代特性をもっている。では、人類史上で、同時代に複数の地域がひとつのイベントに連動して動く、いわゆる”世界史”が誕生したのは何時だろうか?
西洋中心史観だと、15世紀頃から始まった”大航海時代”から世界が一つにつながりだしたという見方ができる。定義や個人の好みもあるから議論百出かもしれないが、一応ここでは、それより200年ほど早い13世紀のチンギス・カンに始まるモンゴル帝国によるユーラシア大陸の大征服に始まる説に一票を入れたい。
ただ、人類史は地域に等しく同じ時間軸で流れている。よって、ホモサピエンスが多様な文明を築き始めた時から人類の歴史は始まっており、世界史がいつ成立(誕生)したかを問うこと自体には本質的な意味はない、という意見にも説得力がある。
世紀を表す用語
多くの日本人にとって、1872年に「西暦(グレゴリオ暦)」を採用した後、宗教的な意味も深く考えずに、当たり前のように B.C. や A.D. の略称を使って、紀元前、紀元後と年数をカウントしている。
B.C. は、イエス・キリストが生まれたとされる年(実際には異なるらしい)の翌年を紀元とした紀年法で用いられる。
これが「before Christ」の意味である。
では、A.D. は、「after death」の略かといったら不正解である。こちらは中世ラテン語「anno Domini」の略で、「その年の主(その年の救世主ーイエス・キリスト)」を意味する。
しかも、現在ではイエスの誕生は紀元前4年頃と考えらているため、二重の意味で、宗教・信仰をあまり重視しない人にとっては、単なる世界共通で使える年数のカウント方法としての意味合いでしかない。
中国の古からの「天帝」を重んじる伝統だと、時の権力者(=皇帝)は、天に代わって地上を支配するもので、同時に時も支配する、よって年号は統治者・支配者の支配構造の見える化そのものだったという意識を持つ人もまだまだ多いことから、全世界の人が同じ年号で意思疎通できることの方が大切かもしれない。
イスラム教圏の国では、当然、ヒジュラ暦(イスラム歴)に従って生活が営まれている。単なる記号だとしても、従来の B.C. や A.D. の用語はどうにも宗教的な意識の差や、インクルーシブな社会の形成の障害になるかもということで、別の呼び方もなされるようになってきている。
紀元前は、BCE(Before Common Era)
紀元後は、CE(Common Era)
最近のアメリカでは、多宗教・多民族の社会での共生のために、クリスマスに「Merry Christmas」という挨拶をやめて、シンプルに「Happy Holidays!」という言葉を交わすのが主流になっているとか。
まあ、表面的な体裁は別として、世界年表では、紀元前100年は、呼称の変化に影響されずに、変わらずそのまま紀元前100年でよかった。もしどこかの瞬間で年号のカウント方法が変わってしまったら、世界史のテストで年号の出題に苦しむ学生が増えてしまうところだった。出版業界とIT業界にとっては年号(紀元)が変わることは短期的には歓迎されるかもしれないが。
世界対照年表
下記世界対照年表の横軸は、大西洋を中心に置いた世界地図(日本が極東に来るやつ)をベースに、日本史と世界史(地域史)を横串で(対照的に)並べてみたい配列になるように、❶西欧/アメリカ(大陸)、❷東欧(ドイツからロシアまで)、❸中東/アフリカ、❹インド/東南アジア、❺北アジア(遊牧民族が活躍したユーラシア大陸中央)、❻中国(伝統的な中華帝国の版図)、❼朝鮮(半島)、そして❽日本の順になっている。
この年表は横スクロールで全体を確認できる。なお、各年代・地域にあるアイコンは、テーマ別のより詳細な年表のページへのリンクとなっている。
なお、本サイトで扱う歴史年表の一覧は「世界史年表まとめ」にある。併せてご参考頂きたい。